ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

『低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論

大前 研一 小学館 を読みました。

 

 

低欲望社会…。

大志なき時代…。

 

ふむ…。

最近の男子は草食系になってしまって…

そんな話しを聞く機会も少なくなく、

なぜか本書のタイトルに惹かれて

手を伸ばしました。

 

しかも帯には、

「皆が等しく貧乏になる国」で本当にいいのか?

とまで書かれています。

 

まあそれもあるんですけど、

やはり著者が大前研一さんである事が

私が手を出す理由としては1番なんですけどね。

本書も大前「節」が炸裂しています(笑)。

 

ほら私が前の著書に書いた通りだ…という

若干の自慢話し的な部分に目を瞑れば、

読み応えたっぷりの刺激的な良書です(笑)。

 

大前研一さんの主張は

実に学ぶ所があります。

 

正直言うと全てに賛成!とまでは行かないのですが、

我が国の現状分析は非常に的確で、

実に鋭いですし、

独自の政策、改革案は

私たちの将来にとって

物凄く有効であるようにも感じます。

 

本書では、少子高齢化、人口減少、

そして1000兆円の借金という

目を背ける事ができない現状分析から話しをスタートし、

歳出削減、消費税増税、戦争のいずれかでしか

国債暴落は防げないだろうと述べています。

 

その上でアベノミクスは破綻するだろうと述べ、

以前来日して話題になったピケティ教授に対しても

日本の事を全くわかっていない勉強不足と切り捨てて、

安倍首相のブレーンやアベノミクス

自民党政権はもちろんの事、

野党も、官僚も、マスコミなどに対しても

ケチョンケチョンにぶった切ってます(苦笑)。

 

それが心地いいなんて事ではなく、

実際に政治、経済など

危機的な状況とも言えますし、

最悪のシナリオが起こってもおかしくない…

そういう可能性は決して低くはないとも思います。

 

まあホントにそうなるのかどうかはわからんのですが、

そういう見方も成立するのだろうなとは思うんです。

ただ大前さんの真骨頂は分析よりも発想。

 

本書でも斬新なアイデアが満載で、

それはすぐにでも実行すべきじゃないか!?とか、

なぜ日本のエリートはそれをやらんのじゃ?という

魅力的な提言も数多く書かれてあります。

 

もちろんそれはどうかな?と思うものもあるけれど、

私自身は、農業改革、IT改革、教育改革に関しては

非常に感銘を受けて、

国がやらんのなら我々国民1人1人が

できる範囲で進めなきゃ!と思った次第です。

 

今まで我が国は

「欧米に追い付け、追い越せ」を合い言葉に

戦前の富国強兵、殖産興業、

戦後は加工貿易立国で工業化社会を進めてきた訳で、

大量生産、大量消費に相応しい均質的な人材を育成し、

ひたすら平均値を高める教育を行ってきました。

 

しかし今は均質的な人材では世界と戦えなくなり、

「新機軸」、「海外」、「撤退」などの

新しい課目が中心となり

我々に求められるものが変わってきている訳です。

 

今までと同じような

工業会社会に必要な人材育成をしていたら、

中国を始めとする人件費が安い

新興国、途上国には勝てないだろう…。

 

これからの日本に必要なのは、

そこそこのレベルを量産するのではなく、

50人のクラスで1人か2人でよいから

世界で戦えるような

傑出した人材を育てなければならない。

 

文部科学省の指導要領に基づいて

全国一律で平等に行うのではなく、

音楽やスポーツと同じく、

将来有望な能力の高い子供たちに対しては

”英才教育”を施さねばならない。

 

日本の教育は「弱さ」のない人間を作ろうとしているが、

今の世の中は「強さ」で勝負する時代である。

 

もはや「オール5」の秀才は何の意味もないし、

国公立大学を受験する時のセンター試験

7科目もあるというのもおかしい。

 

最高学府としての大学は

1つの科目で傑出した人間を入学させて、

その能力をどこまでも伸ばせばよいのである。

 

ここらの下りは私にはスッと腑に落ちましたし、

ドイツの教育、職業訓練の仕組みなどは

日本にも導入すべきではないかと思いました。

 

ちょっと長くなってきましたので

ここらでまとめに入りますが、

オランダの農業改革や

エストニアのIT改革などは

すぐにでも取り入れるべき内容と感じました。

 

結局のところ、

古臭い頭の中のままである政治家と

旧態依然とした官僚システムがネックになる訳で

まずはここを改革できる人を選ばなきゃいけない…。

そう強く思った次第です。

 

最後に目次をご紹介します。

 

はじめに 「坂の上の雲」を見なくなった日本人

第1章 <現状分析>   「人口減少+低欲望社会」の衝撃

第2章 <政府の限界>  「アベノミクス・ショック」に備えよ

第3章 <新・経済対策> 「心理経済学」で考える成長戦略

第4章 <統治機構改革> 今こそ「国の仕組み」を変える

おわりに 日本が変わる最後のチャンス

 

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

結局、今の低欲望社会ってのは、

将来への不安が高位安定してしまっているのと、

未来への希望が見えないという事なんですよね。

 

そしてそれは従来の発想でしか政策を打ち出せず、

もう過去とは決別をして、

今ある改革案ではなく、

全く新しい改革を実行せねばならないのでしょう。

 

20世紀の企業にとっての成功の鍵は

「人、モノ、カネ」であった訳ですが、

21世紀における事業成功の鍵は

「人、人、人」であるという

大前氏の主張にも頷けます。

 

優秀で、従来の発想に縛られずに、

海外の改革の成功事例を日本流に移植し、

新しい世界を作っていく…。

 

とにかく今までの発想では通用しないという事は

よくわかりました。

 

そして既得権を壊す事が

いかに大事か…という事も…。

 

それでは、また…。

 

 

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