ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

誰も書かなかった日本医師会

 

おはようございます。

 

毎日の読書が欠かせない

医療コンサルタントとして学び続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

ブックオフに行くのが趣味のような私…。

入店すると1~2時間は帰れません。

 

まだ読んでいない本が大量にあるにも関わらず

常に10数冊は購入してしまいます。

 

今年は神田古本祭りがなかったので、

例年より行く回数が多くなってもいます。

 

本書もブックオフで見つけて購入したのですが、

少し古くても当たりの本と出会う事が多く

当分、ブックオフ通いは止められそうもありません。 

 

今回ご紹介する書籍は、

【 誰も書かなかった日本医師会 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 誰も書かなかった日本医師会

水野 肇 ちくま文庫 を読みました。

 

日本医師会…。

 

名称は誰もが知っていますけど

たぶん誤解も多いし、

内情はほとんど知らないし、

その歴史も薄っぺらい知識しかない。

 

医療業界の端っこで仕事をする私としては

これは読まねばアカン!と思い、

購入後すぐに読み始めたのでした。

 

目次

プロローグ 日本医師会の五〇年

第1章 戦後医療行政のはじまりー武見太郎時代の幕開けへ

第2章 反官僚・反自民ー武見政権の樹立と安定

第3章 欲張り村の村長たちー武見太郎の奮闘

第4章 医師優遇税制撤廃ー武見時代の終わり

第5章 医療費亡国論ー花岡堅而会長時代(1982~83)

第6章 老齢医療の問題ー羽田春兔会長時代(1984~91)

第7章 「家庭医」構想をめぐってー村瀬敏郎会長時代(1992~95)

第8章 医療のグランドデザインへー坪井栄孝会長時代(1996~2004)

第9章 新しいリーダーシップの台頭

エピローグ 日本医師会の二十一世紀 

 

感想

いや~、実に面白かった。

とても勉強になりました。

 

2008年発行ですので

書かれている内容は少し古くはありますが、

むしろ日本医師会の歴史を学ぶという意味では

何ら問題ではありません。

 

正直私が日本医師会について知っている歴史は

初代会長は北里柴三郎であったこと、

武見太郎さんが随分と長く日本医師会長を務めたこと、

その程度だったんです。

 

ここ10年くらいのことは

それなりに詳しいつもりですけど、

やはり歴史は知っておきたい…。

 

その意味では読んでよかった1冊でした。

 

本書のメインテーマは

日本医師会を世に知らしめる事というのがありますが、

もうひとつのテーマは

武見太郎とはどんな人だったのか?

この2点かと思います。

 

そもそも著者が武見太郎氏とは近く、

公私ともに知り尽くしているからこそ

非常に興味深い内容となっています。

 

やはり日本医師会厚生労働省の攻防については

リアルかつ日本の医療の歴史の根幹ともいえ

私としては集中して読み込みました。

 

これがあったから今がある。

そんな感じです。

 

読み始める前は

変に日本医師会を持ち上げるのであれば嫌だな…とか、

逆に日本医師会を叩きまくるのも嫌だな…と思ってましたが、

いえいえそれは完全に杞憂でした。

 

著者のスタンスは是々非々。

実に冷静に分析されています。

 

著者にも関心が持てたので

Wikipediaで調べてみると…

非常に医療関係の著書が多く

興味深いタイトルが揃っています。

 

さすが医事評論家という新たなジャンルを

切り拓いた方です。

 

また本書でも度々触れられていましたが、

医療に関わるオフィシャルな委員会などに

参加していた事もあり、

一流の医療ジャーナリストと言える方なのですね。

知識や経験が半端ではない。

 

もう何十年も前の事ではありますが、

この著者だからこその臨場感というか

歴代の日本医師会長の人物像まで

手に取るようにわかります。

さすがとしか言いようのないリアル感です。

 

単なるルポタージュを超えて

小説的な部分あり、

歴史本としての機能もあり、

とても読み甲斐のある良書です。

 

医療優遇税制、制限診療、保険医総辞退、

家庭医構想、医療費亡国論など

現代にも繋がる政策なども

その背景や当時の様子や事情がよくわかり、

大変に良い勉強になりました。

 

本書でも何度か使われているフレーズ、

「欲張り村の村長さん」。

 

日本医師会が我が国最大の利権団体と言われたり、

日本最強の圧力団体などと言われる要因でもありますが、

その理由や歴史についてもよくわかりました。

 

本書の醍醐味は、

とにかく武見太郎氏の残したもの、

自民党厚生労働省日本医師会の三つ巴。

ケンカ太郎と言われた所以。

ひとつはここです。

 

もうひとつは日本医師会シンクタンク

日本医師会総合研究所を作った坪井栄孝会長。

この方もとても興味深かったです。

 

日本医師会の歴史を通して、

医療行政史、医療経済学、医療制度の歴史が学べる

大変素晴らしい内容でした。

  

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

別に五つ星でも構わないんですが、

日本医師会長といえば

やっぱり横倉義武先生だと思うんですよ。

現代人としては…。 

 

昨年から中川俊男先生が会長になりましたけど

その前は4期8年も横倉会長だった訳ですから、

私にとっての日本医師会長は横倉先生がなじみ深いです。

 

しかし本書は横倉先生の前の前の会長、

唐澤祥人会長までしか触れられていません。

 

う~ん、残念。

是非とも横倉会長まで加筆して欲しい。

そんな理由で★をひとつ減らしました。

内容的には五つ星でいいんですけど(笑)。

 

著者は一昨年にお亡くなりになられてますので、

叶わぬ夢でもあるんですけどね。

 

それでは、また…。

 

 

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