おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
私は仕事柄ではありますが、
年柄年中、働くとは何か?を考えていて
それに付随するキャリアについても
常日頃から考えています。
だからどうだってことはないのですが、
事実としてそうなのです。
その延長として哲学や社会学を学んだり、
経営や組織論やマーケティングも学んでいます。
自分の頭の中にあるものだけではなく
仕事を通して人から学ぶことも多いですし、
やはり視野を広げるためには
読書は欠かせないと考えています。
今回ご紹介する書籍は、
【 世界基準の働き方 】 です。
本書をピックアップした理由
『 世界基準の働き方 』
PHP を読みました。
ネスレと言えば何を思い出すでしょうか?
ここ何十年も我が家のインスタントコーヒーは
ゴールドブレンドです。
そしてキットカットでしょうか。
別にチョコレート好きではない私でも
キットカットは時々食べます。
子どもの頃はミロが好きでした。
もう味の記憶はありませんが、
よく飲んでいたことを覚えています。
マギーブイヨンとかもそうらしいです。
料理をしない私には縁遠いですが。
ネスレと言えば
世界的な食品会社ですから
私たち日本人だけではなく、
きっと世界中の人に愛されているのでしょうね。
そのネスレの日本法人の代表である高岡社長が
世界基準の働き方を語るとなれば
そりゃ私は即買いです。
世界と日本は違うのか?
世界で通用するとは何なのか?
働き方は今後どうなっていくのか?なども含めて
これは読まねばと気合いを入れて読み始めたのでした。
目次
第1章 日本にいても世界で通用する人材、
世界に出ても通用しない人材
第2章 グローバル時代を生き抜くための「マーケティング力」
第3章 世界基準の「生産性」の高い働き方
第4章 成果を出し続けるための「コミュニケーション」術
第5章 これからの日本の未来を担う次世代へのメッセージ
感想
2017年5月に発行された本ですので
読み終わり、
高岡さんは今は何をやってるのだろう?
まだネスレ日本にいるのか?と思って
Wikipediaを見てみましたら
2020年3月に退任されていました。
グローバル企業ですから
長く社長を務めるというのは
そう簡単ではないのでしょうけど、
何となくちょっと残念。
現在は他の会社で社長を務めていたり、
サイバーエージェントの取締役や
ファンドを設立されたりしているようですから
ネスレ日本を離れてもご活躍されているようです。
他にも何冊もの著書があったり
テレビなどにも出演されているのですね。
正直、全く知りませんでした。
ちなみに本書ですが、
少し上から目線であったり
自慢話が多かったり、
正直、若干嫌な感じはありました。
まあ経営者の本なんて
だいたいがそういうものであるし、
世界的な大企業の日本法人のトップに上り詰めた方なので
多少はしょうがないか…と読み進めていくと
やはりなるほど、と勉強になるところは多く、
キャリア論としても参考にはなりました。
働き方という面では
社長としてネスレ日本を改革したところはあるものの
私が期待していたような
世界基準の働き方が書かれていたかというと
そうでもない感じでした。
とはいえ内容は良かったです。
ビジネスパーソンは読んで損はないですし、
仕事をする上での考え方や姿勢など
学びとなるところは多いと思われます。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
「どんな国や組織で働いていても、
世界に通用する人材になることは可能である」と。
それは単純なノウハウではない。
もっと本質的な原理原則のようなものだ。
(中略)
ただし、それはマニュアル化できるものではないから、
最終的には一人一人が自分の頭で考えて見つけ出すしかない。
(P.12~13)
共感です。
この原理原則に気づけるかどうか?
少なくともこの段階で
本書は薄っぺらい自己啓発本ではなさそうだと確信し、
読み進めていくのが楽しみになりました。
万人に共通する勝ち方などないからだ。
ビジネスにおける戦いは、
取り巻く環境も条件も、
扱う商品やサービスも、
使えるリソースも、
それぞれのケースですべて異なる。
よって、「こうすれば絶対に成功する」という
唯一無二の正解は存在しない。
つまり、勝ち方は自分で見つけるしかないのだ。
(P.46)
ここは「超」重要です。
さらっと読んだら見逃してしまいますけど
私はここにビジネスで成功する
「達観」が書かれていると感じました。
これを知らないと…
あれがない、これがない、
これがダメ、あれがダメ、
結局、ここは自分の居場所ではない、と
ないものねだりを他責にして
成功から遠ざかってしまうのですね。
本書では高岡さんがないない尽くしで
無能な上司の元でも成功した事例が書かれていますが
この考えこそが原点にあったからこそ
実現できたのだと思います。
できるかどうかは自分の考え方次第ですね。
日本では「マーケティング」という言葉を
「販売促進」や「広告宣伝」に近い意味で捉えている人も多い。
だが、そもそも顧客の問題を解決できないサービスや商品であれば、
いくらプロモーションに力を入れたところで、
市場に受け入れられるはずがない。
裏を返すと、正しい意味でマーケティングを実践していれば、
プロモーションしなくても
サービスや商品はヒットするということだ。
(P.63)
これも激しく同意です。
浅いマーケティングは害悪です。
売りたいだけの企業側の論理だけで
そこにあるのは「さもしさ」です。
本来のマーケティングは
社会を変え、経営を変え、会社を変え、
そして自分も大きく成長させてくれる
「仕組み」なのだと思います。
21世紀の今、
グローバルで通用する働き方とは
「イノベーションを生み出すこと」と言い換えてもいい。
そんな人材になることができれば、
世界中のどんな国や組織からも引っ張りだこになるだろう。
(P.73)
そんな言うほど簡単じゃないとは思いますけど…。
ここで衝撃だったのは
昨今の働き方改革は、
いかに労働者に気持ち良く働いてもらうかばかりに
フォーカスしてしまっていて、
そこには「スキル」という発想はほとんどないのですね。
しかし高岡さんは
「イノベーションを生み出す」というスキルこそが
世界で通用するのだと述べています。
たぶん日本経済が低迷するひとつの要因でしょう。
長時間か短時間かよりも
「スキル」の有無ですよね。
「スキル」があれば長時間働く必要などないのです。
少なくとも自分が顧客の問題を考える時、
ターゲティングから入ることはない。
それよりも、今世の中で起こっていることを広く俯瞰で捉え、
大きな問題設定から入ることがほとんどだ。
すると必ず「新しい現実」が見えてくる。
それさえ発見できれば、
ターゲティングなどしなくても、
自分の顧客の問題解決につなげていけるはずだ。
(P.88)
問題を正確に掴めなければ
適した解決方法は見つかりませんよね。
マーケッターのロジックは
こねくり回す傾向にありますから
話し半分で聞いておかないと
現実から遠ざかるばかりです。
世界基準の働き方を目指すなら、
マーケティングほど強い武器になるものはない。
しかも、顧客の問題について考え続ける習慣さえ身につけば、
誰もがどんな場所でも確実に結果を出せる。
(P.97)
私もそう思います。
ただここで大事なのはマーケティングではなく、
その原則、「顧客の問題について考え続ける」ですよね。
自分や自社に都合の良いマーケティングなど害悪です。
顧客の問題解決に迫るマーケティングのみ必要なのですね。
あと数年後には、
ホワイトカラーの仕事の多くが
AIやロボットに取って代わられる時代がやってくる。
どんな場所や組織でも成果を出せる人材になるには、
いつまでに、どれくらい自分を成長させなくてはいけないのか。
誰もが、「人生の締め切り」を意識しなければ、
ホワイトカラーとして生き残れない時代が、
すぐそこに迫っているのである。
(P.143)
まあ日本のホワイトカラーの生産性の低さは大問題ですから
私は一掃されたほうがいいんじゃないかとすら考えています。
明治維新じゃないですけど
そのほうがイチから再構築できていいのです。
そして必ず新しい人材が出てくるとも思ってます。
問題は自分が生き残るか、敗者になるかですね。
海外の人たちに比べて、
日本人は交渉やプレゼン、
いわゆるコミュニケーションが苦手だと言われる。
だがそれは、話し方のスキルやテクニックに問題があるからではない。
その本当の理由は、
相手の立場になって考えていないからである。
(P.146)
その通り!…でしょうね。
営業の世界も同様です。
売ろう売ろうとすれば売れません。
ただ相手の立場に立って、
相手のことを考えに考え抜けば
自ずと売れてしまうものです。
人間関係なども同じでしょう。
なぜこの人はわかってくれないんだろう…ではなくて
相手の立場に立てば
そこに大事な発見があるはずで
それに気づけば劇的に関係性は変わるのですね。
他責にして文句を言い始めたら
完全に自分の都合です。
そりゃ上手く行きません。
日本のセールスマンは、
「お客様は神様だ」と思っている。
だが本来は、売り手も買い手も
対等なビジネスパートナーであるはずだ。
お互いが相手の立場で考え、
win-winの戦略を立てれば、双方が納得できる。
どんな相手との交渉であっても、
円滑なコミュニケーションができるだろう。
(P.152)
ビジネスに上下関係が生まれれば
その先には談合や賄賂や独占が生まれ、
既得権を死守するようになるでしょう。
くだらない。
そんな昭和の慣習はぶっ壊さないと
この国の衰退は止まらないでしょうね。
私が、どんな時代でも変わらず必要だと考えているものは、
以下の三つである。
・目標設定
・行動力
・「優秀さ」の定義
(P.204)
最初の目標設定が大事だと思います。
だから人生設計が必要で、
キャリアプランが必要なのですね。
目標がなければどこに向かうかが曖昧で
行動力が高まりません。
会社に雇われ、
会社のものを使わせてもらっているサラリーマンが、
仕事の成果をすべて自分の力によるものだと
思い込むのはうぬぼれである。
(P.223)
自信満々で転職したら
全く通用せずに成果が出せなくなったとか、
起業したり、ベンチャー企業に役員としてジョインしたが
これっぽっちも上手く行かなかったというケースでは
確実にこういううぬぼれがあるのでしょう。
会社の看板がなくなっても、
会社のあらゆるリソースがなくても
仕事ができる人なんて
そう滅多にはいませんからね。
サラリーマンは
サラリーマンとして謙虚に仕事をするか、
まだ誰もが気づいていない
顧客の問題解決をするか、
いずれかしかないのでしょうね。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
本書のサブタイトルは
「海外勤務を拒み続けた私が
超巨大グローバル企業の幹部になれた理由」です。
本書は働き方とかキャリアの本というよりは
高岡さんの出世ストーリーや成功談義、
仕事に取り組む姿勢が書かれています。
それはそれで勉強になるのですが
もう少し働き方やキャリアについて
書かれていると思っていたので
その点は残念でした。
ただその裏返しでしょうか、
仕事に対する「考え方」の部分では
かなり勉強になることが多かったです。
若手ビジネスパーソンには
参考になるところは多いと思いますよ。
それでは、また…。
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