おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
人を知る。
社会の仕組みを知る。
何度か当ブログでも書いておりますが、
私の学びのテーマであります。
二十歳くらいから
真剣に本を読むようになり、
その時、その時で何となく自分の中では
何らかの目的を持っていました。
しかし30代後半くらいからは
ずっと人を知る、社会の仕組みを知るというのが
私の読書のテーマなんです。
だからどうした?という話しではありますが、
こうしてテーマが明らかになると
読むべき本が見えてくるんですよね。
おかげさまで自分の中では
とても良い読書ライフが送れていると
しみじみ思います。
今回も書棚のなかで
ピカーっと光ってました。
この本を読め!って。
ご紹介する書籍は、
【 若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱 】 です。
本書をピックアップした理由
『 若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱 』
この本の著者が言うには
ロバート・キヨサキの金持ち父さん貧乏父さんを読んで
それ以降の生き方や考え方が変わったそうです。
そんな文章を読んだからでしょうか。
マルクスが脳裏に叩き込まれ
次に何を読むかと積ん読書棚を見ておりましたら
お忘れですか?
あなたはマルクスを学ぼうと思って
この本を買ってあるんですよ…と
まるで私に誘いを掛けるかのように
本書がピカピカ光っておりました。
まあこれもご縁だよなと思いつつ
さあ敬愛する内田樹さんよ、
マルクスをどう解釈するの?と
楽しみにしながら読み始めたのでした。
目次
・『共産党宣言』
・『ユダヤ人問題によせて』『ヘーゲル法哲学批判序説』
・『経済学・哲学草稿』
・『ドイツ・イデオロギー』
・本書で対象となっているマルクスの著作について
感想
内田樹さんに関しては
もう何冊もの書籍を読んでおりますので、
何となくこう来るかな?という予想は付いていたのですが
今回は石川康宏さんとの共著。
残念ながら私は存じ上げなかったのですが、
このお2人が好対照で非常にいい感じ。
石川さんが引用し説明する役割。
内田さんはそれを解説また広げる役割。
このバランスが凄く良くて
グッと引き寄せられました。
別にイデオロギーとして
マルクスを学びたかったのではなく、
あくまでも教養として学びたかった私としては
この2人の掛け合いはピッタリでした。
マルクスを学ぶというよりは、
マルクスを通して学べることを
整理して理解させてくれる本書は
マルクスの著書を読んで理解が進まなかった方に
最適ではないでしょうか?
(私のことです 笑)
そんじょそこらのマルクス解説本とは違って
ポイント、ポイントをしっかり抑えつつも
そこからこう考えるべきという発展性があって
学びを深くしてくれる良書であります。
少しでもマルクスに興味を持った方は
いきなりマルクスの本を読むのではなく、
まず準備体操として本書を読むと
マルクスの言わんとしていることへの理解が進むと思われます。
読んで良かったと素直に思えました。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。
マルクスはぼくの問題を解決してくれない。
けれども、マルクスを読むと
ぼくは自分の問題を
自分の手で解決しなければならないということがわかる。
(P.42~43)
考えるってこういうことですよね。
課題は何か?
どうすれば解決できるのか?
他責ではなく、自責として
自分ごととして考え行動しなきゃいけませんね。
若いマルクスから
晩年のマルクスへの思想のバージョンアップには、
すさまじいものがあります。
そう考えると、
マルクスにとっての論理の飛躍の自覚は、
次に自分の知的情熱を差し向ける
その課題の明確化という
意味をもっていたのかも知れません。
(P.60)
当たり前ですけど
マルクスにだって甘さが残る若かりし頃があり、
人としてその後成熟したのですね。
思想のバージョンアップ。
私たちもこうありたいですよね~。
理論もそれが大衆をつかむやいなや物質的な力となる。
理論が大衆をつかみうるようになるのは、
それが人に訴えるように論証をおこなうときであり、
理論が人に訴えるように論証するようになるのは、
それがラディカルになるときである。
ラディカルであるとは、
ものごとを根本からつかむことである。
(P.74)
ラディカル。
過激なさまや急進的なさまという意味と
根本的や根源的という意味があるそうです。
ここでのラディカルはどちらか?
いずれにしても理論が物質的な力を得るためには
非日常的な深い活動が必要そうです。
地位の選択にさいして
われわれを導いてくれなければならぬ主要な導き手は、
人類の幸福であり、われわれ自身の完成である。
これら両方の利害がたがいに敵対的にたたかいあうことになって、
一方が他方をほろぼさなければならないのだなどと思ってはならない。
そうではなくて、人間の本性というものは、
彼が自分と同時代の人々の完成のため、
その人々の幸福のために働くときにのみ、
自己の完成を達成しうるようにできているのである。
(P.77)
人間の幸福と
自身の完成を重ね合わせようとする人生観。
本来はこの両立でしか
人類の発展に寄与しないのですよね。
しかし資本主義がそれを変えた?
そう言えるでしょうか。
でも資本主義は万能ではないことに
私たちは早晩気づかされるのではないかという気もします。
アメリカの独立宣言も、フランスの人権宣言も、
実際には多くの人々が祖国と同胞のために、
おのれの命も財産も自由も捧げた
政治闘争の成果として得られたものでした。
にもかかわらず、
これらの英雄的・非利己的な献身の目標が、
「利己的人間の権利承認を堂々と宣言」することだったという点に
マルクスは納得がゆかないのです。
(P.89)
人間の弱さ…でしょうか。
おそらく革命を目指した頃は
邪な考えはなかったのだと思います。
しかし革命が成就し、
権力を得ると人間というのは
恐ろしいほどに180度変わってしまうのですね。
社長は3年で馬鹿になる。
そう先輩社長から諭されたことがあります。
自戒せねば…と強く思います。
論理的には正しいけれど、
倫理的には正しくない。
人間は自分が手に入れたいと望むものを
まず他者に贈与することによってしか
手に入れることができない。
これもぼくが長く生きてきて
確信している教訓の一つです。
(P.102)
自分勝手な理屈で正当化してはいけませんね。
所詮、私利私欲の域を脱することができません。
無私の心で贈与をするところから
人のとしての第1歩が始まるのかもしれません。
「自分さえよければそれでいい」という
本音で生きている限り、
人間は他の人々を道具的に利用し、
収奪することを止められない。
だとしたら、どこかで、
「みんなの幸福を配慮する気持ち」が
「私ひとりの幸福だけを配慮する気持ち」と拮抗し、
ついには追い越すことが果たされなければならない。
(P.148~149)
今だけカネだけ自分だけ。
こういう人が増えている昨今、
もう1度、私たちは共存共栄を考えるべきですし、
人として生きる原点を
しっかり模索しなければならないのでしょうね。
「蓋し兵法者は勝負を争わず、
強弱に拘らず、
一歩を出でず、一歩を退かず、
敵、我を見ず、我、敵を見ず」
(P.156)
澤庵の「太阿記」にある武道的知見ですが、
リスクマネジメントの極意と言えるかもしれません。
先行き不透明な時代なだけに
リスク回避を常日頃からしたほうが良さそうですね。
現実的な解放を現実的世界のなかで、
また現実的手段による以外のやり方で
なしとげることは不可能である。
(P.176)
効率化が求められる時代ですが、
真の効率化を図るためには
愚直になすべきことをなすというのも
大事なのでしょう。
策を練り過ぎると
ドツボにハマったりしますし、
現実を軽視するのは危険ですしね。
意識が生活を規定するのではなくて、
生活が意識を規定する。
(P.199)
これは為政者は
頭に叩き込むべきではないでしょうか。
机上の空論のような政策では
何ら効果がないどころか害悪になりかねません。
よ~く庶民の生活を見て欲しいですね。
人間が何ものであるかは、
その人が「何であるか」という
本質的な条件によってではなく、
「なにを生産し、いかに生産するか」によって
決定される。
(P.212)
どんな人かよりも
何をしている人なのか?
そういうことでしょうか。
善人の全てが善かと問われれば
そうとは言い難く、逆も真なりですね。
イメージや風評に騙されちゃいけません。
自分のことを
善良で有徳な人間であると思い込んでいる人の方が
むしろ卑劣な行為や利己的な行為をすることを
ためらわないということです。
なにしろ彼らは
「本質的に善良であり、有徳である」わけですから、
「何をするか」ということには
副次的な重要性しかない。
何をしても彼らの人間的本質には影響が及ばない。
だから、いくら卑劣なことをしても、
「私は高潔な人間である」という自己規定は揺るがない。
(P.213)
これは膝を打ちましたね。
そうそう、そうだよって。
ま、ひと言で言えば勘違い野郎ってことですけど
こういう人は多いですよね。
そしてもしかしたら自分もそうかも?という
戒めは持っておいたほうが良さそうですね。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
マルクスを理解できたなんて
とても言えませんが、
石川さんのきちんとした解説と
内田さんの実践的な説明は
とでも勉強になりました。
続編もあるようなので
また機会を作って学びます。
私のように
マルクスは学びたいけど
なかなか難しくて手が出ないという方は
本書から入るといいかもしれません。
それでは、また…。
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