ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

若者よ、マルクスを読もうⅢ アメリカとマルクスー生誕200年に

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

突然ですが、

資本主義ってどう思いますか?

 

ウィンストン・チャーチルは…

 

資本主義の欠点は、

幸運を不平等に分配してしまうことだ。

社会主義の長所は、

不幸を平等に分配することだ。

 

このように述べていたそうですけど

わかったようなわからないような…。

 

ついでに言いますと…

チャーチルは民主主義については

こう述べています。

 

これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、

またこれからも過ちと悲哀にみちた

この世界中で試みられていくだろう。

民主主義が完全で賢明であると

見せかけることは誰にも出来ない。

実際のところ、

民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。

これまでに試みられてきた

民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。

 

こちらのほうがわかりやすいでしょうか。

そしてこの民主主義を資本主義に置き換えても

意味合いはスッキリと理解できるようにも思います。

 

我が国の首相は、

「新しい資本主義」とか言ってますけど

具体性や実体はありませんし、

もし今がそれを実行しているならば

国民にとっては全くいいものではないようです。

 

今までの資本主義は

すでに限界に近づいているのかもしれません。

 

別に新しくする必要なんかはなく、

誰のための資本主義なのか?

ここを熟慮して欲しいですね。

 

その点では

マルクスの功績はあまりにも大きいです。

 

いろいろ誤解はあるだけに

本書の役割は大きいんじゃないでしょうか。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 若者よ、マルクスを読もうⅢ 

  アメリカとマルクスー生誕200年に 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『若者よ、マルクスを読もうⅢ

 アメリカとマルクスー生誕200年に』

内田 樹 石川 康宏 かもがわ出版 を読みました。

 

3部作のうち

1、2を読んできましたから

当然3冊目も読みます。

 

ただ本書で知ったのですが

このシリーズは何と番外編もあるらしいですね。

 

思わずポチっとしましたが、

てっきり3部作だと思っていたら

2023年8月にもう1冊出たらしいじゃないですか!?

 

こちらは一応最終巻となっていますので

結局、全5巻ですか。

4巻+番外編なのかな。

 

よ~し、3部作の最後を読むぞという

意気込みでいたんですけど

まだ先があると知り、

嬉しいやら残念やら。

 

まあこのシリーズは面白いですし、

勉強にもなりますから

ずっと続いてくれてもいいんですけどね。

 

ちなみに1部、2部の書評は下記となります。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

今回も学ぶ気が満々で

モチベーション高く読み始めました。

 

目次

第1部 往復書簡『フランスにおける(の)内乱』

   (石川康宏から内田樹へ(2017年12月30日)

    内田樹から石川康宏へ(2018年3月30日))

 

第2部 報告と批評 アメリカとマルクス

   (報告 アメリカとマルクスマルクス主義ー受容と凋落(内田樹

    批評 現代アメリカ型「マルクス主義」への道(石川康宏))

 

第3部 報告と批評 生誕二〇〇年のマルクス

   (報告 マルクスとは何者であり続けてきたか(石川康宏)

    批評 現実から生まれた理論、外部から来た理論(内田樹))

 

第4部 新華社への回答

   『若マル』の著者が語る生誕二〇〇年のマルクス

   (マルクスを読むことにはどういう意味があるのか(内田樹

    資本主義の改革と本当の社会主義のために(石川康宏))

 

感想

実に面白かったです。

大変に勉強にもなりました。

 

特に第2部ですね。

アメリカとマルクス

 

この章はグッと引き込まれましたし、

アメリカという国の成り立ちから

思想的な変遷と背景にある経済状況など

マルクスを通して知ることに

実に価値があるように感じました。

 

そもそも本書は若者に対して

マルクスを読もうぜ!という

アナウンスなわけですけど

勉強不足のおじさんにとっても

メチャクチャ刺激になりますし、

今まで知らずに生きてきたのが

大変に恥ずかしく感じます。

 

でも元来ポジティブ思考な私としては

遅ればせながらでも

出会えて良かったと思ってますし、

自分にとっては今の年齢でこそ

読むべきだったのかなとも思いますね。

 

ホント若者の皆さんには

是非このシリーズは読んでいただきたいですし、

むしろおっさん達こそ読むべきかなとも感じます。

 

たぶんですね、

左寄りな思想の方よりも

ノンポリ(死語か?)とか

右寄りな思想の方のほうが

本書は学びに繋がると思います。

 

いやイデオロギーは不要です。

歴史や科学の書籍を読むくらいの感覚が

適切のように感じます。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

急いで申し添えますけれど、

レーニンのこの「不正確な祖述」は

彼の知性が不調なせいでも悪意のせいでもありません。

レーニンは彼なりにパリ・コミューンの悲劇的な結末から

学ぶべきことを学んだのです。

そして、パリ・コミューン

すばらしい歴史的実験だったし、

めざしたものは崇高だったかも知れないけれど、

あのような「新しい社会」を志向する、

開放的な革命運動は政治的には無効だと考えたのです。

革命闘争に勝利するためには、

それとはまったく正反対の、

服従と統制と官僚機構を

最大限に活用した運動と組織が必要だと考えた。

(P.59)

 

これは前後の文章がないと

少しわかりにくいところもあるかもしれませんが、

シンプルにレーニンロシア革命を成功させた

ひとつのプロセスなんだなと私は受け取りました。

 

キャリアや人生でもそうですが、

結果には必ず理由がありますよね。

 

それも歴史を学ぶ醍醐味ですね。

 

あらゆる時点において

未来はつねに「霧の中」です。

どんなことがこれから起きるか、

誰にもわからない。

確実な予測は誰にも立てられません。

蓋然性の高さに応じて、

「プランA」「プランB」「プランC」くらいまでは

対応策を講じておきますけれど、

実際には予測もしなかったことが起きて、

かねて用意のプランが全部無用になる、

というようなことは日常茶飯事です。

問題なのは、過去のある時点では、

「高い確率で起きると予測されたこと」が起きなかった場合、

僕たちは自分がそんな予測を立てていた事実そのものを

忘れてしまうということです。

でも、自分が過去のある時点で

どういうふうに未来を予測して、

その予測を勘定に入れて判断したり、

行動したりしていたのかを

ころっと忘れてしまうというのは

自分の知性の働きを検証する上では

あまりよいこととは思われません。

(P.65)

 

そうだな…と素直に思います。

人間って忘れやすい生き物ですからね。

 

でも、だからダメなんですよね。

大事なことは忘れてはいけません。

次に活かさねばなりませんよね。

 

僕らは世界史を各国史として習います。

でも、これはよく考えるとおかしな話で、

国民国家というのは

近代になって成立した政治単位ですから、

現存の政治的枠組みを前提にして、

その枠組みを通じて過去の出来事を叙述してゆくと、

国民国家形成以前の、

あるいは形成の渦中で起きたできごとのうち、

その後の国民国家の「物語」に

うまくなじまないものは自動的に排除されてしまう。

マルクスのような人物の場合は、

いったいどこの国の「国民国家」に回収できるのか。

(P.83)

 

枠組みの問題でしょうか。

何でも枠に当てはめようとしても

やっぱり稀に当てはまらないケースが出てきますね。

 

それが重要なんだと思います。

枠に収まるとか、枠に収めてはいけません。

枠にハマらない人こそが

この世を動かしていくわけですからね。

 

このようにマルクスの経済学には、

生身の人間が舞台の重要な人物として

終始登場してきます。

経済学というと、

数式やグラフや図表ばかりという

イメージの方もあるかも知れませんが、

そして、もちろん人の行動や発達の一面を

数値化することは可能でしょうが、

マルクスが経済学の対象として何より重視したのは、

生産方式の発展の中での人間の成熟、

それによる人間関係の変化なのでした。

そこは、1991年のソ連崩壊をきっかけに台頭した、

すべてを資本の自由にまかせよとする

新自由主義」の経済学との大きな違いとなっています。

(P.215)

 

この点は非常に重要であると思いました。

マルクスイデオロギーとして見てしまうと

肝心要の部分を見失ってしまうのではないでしょうか。

 

資本主義に対して

少しでも疑問があるならば

マルクスを学ぶべきなんだろうなと思います。

 

もう一つは、未来社会の問題でした。

マルクス未来社会のことを

社会主義とか共産主義といった言葉で表します。

しかし、それをより厳密に表現しようとする時には

「結合的生産方式」といった言い方をします。

実は『資本論』の中には

社会主義共産主義という言葉はほとんどなく、

未来社会については、

人々が自発的に結合し合う

経済にもとづいた社会といったところに

力点をおく表現が繰り返されています。

先にふれた「共同的生産手段で労働し、

自分たちの多くの個人的労働力を

自覚的に一つの社会的労働力として支出する

自由な人々の連合体」というのもその一つです。

(P.235)

 

言葉の定義は時代によって異なりますし、

意味合いまで含めて考えたら

マルクスの時代と全く同じということはなく

やはり私たちはどうしても現代での意味で

物事を考えてしまうので

当時の息吹とは違う

受け止め方をしてしまうのかもしれません。

 

う~ん、難しい問題ですけど

マルクスの言葉は意味を問うのではなく、

熱量を心で感じるくらいが

ちょうど良いのかもしれないなあ。

 

政治理論でも経済理論でも、

およそ理論というものは、

その内部的な整合性や「政治的な正しさ」だけでは

その価値はわからないのです。

そうではなくて、その理論を生かすために、

どれだけの数の生身の人間が、

おのれの人生を賭けて、

そこに投企しているか、

それによって計量されるべきだろうと僕は思います。

(P.245)

 

本当にそうだな…と思います。

現代の日本社会を覆っている

希望も夢もない現実は

結局のところ、そこに「人」の尊重が

欠けているからなのですね。

 

政治や経済だけでなく、

仕事、人間関係、会社、行政、ネットなど

もうあらゆるものが人を人として見ていない。

 

こういう時代の背景には

生身の人間を見ていないことにあるのかもしれません。

 

僕はマルクスを読むことの意味は

「政治的」に限定されないと考えています。

若い人たちが知性的・感性的に成熟して、

深く豊かな人間理解に至るためにマルクス

きわめてすぐれた「先達」だということを

申し上げているだけです。

このアドバイスはどの時代のどの国の若者たちに対しても

有効だろうと僕は信じています。

(P.273)

 

本書を読む意義は

もうこの言葉に集約されていると思います。

そして若者に限定せず

老若男女あらゆる人が

マルクスから学ぶところは多いように感じます。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と文句なしの満点です。

 

早く番外編と最終巻が読みたい心境ですが、

時間を掛けて、じっくりスタンスで読もうと思います。

 

マルクスエンゲルスと言えば

すぐに社会主義とか共産主義とか

つい短絡的に考えがちな私でしたが、

専門家である石川先生と

恐ろしいくらいの知的な内田さんが交わす会話は

非常に興味深く、

ああ、物事は多角的に捉えて

慎重に考えなければならないなと痛感します。

 

このシリーズ…絶賛おススメです。

 

それでは、また…。

 

 

*ジーネットTV 毎週新着動画をアップしています!

医師キャリア相談

*ZOOMキャリア相談を無料で行っています。

 

ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
ジーネット株式会社 公式ホームページ
医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>

よろしければ下記もポチっとお願いします!
      にほんブログ村 転職キャリアブログへ

診療圏調査バナー