ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

若者よ、マルクスを読もうⅡ 蘇るマルクス

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

子供の頃から古典を読めと

いろんな方に言われてきました。

 

でも古典って

どう捉えればいいかよくわかりませんし、

何が、どこまで、古典なのか、

また正真正銘の古典は読みにくくて

なかなか手が出なかったんですよね。

 

ところが不思議なことに

年を経るごとに自然と古典が読めるようになり

様々な古典に興味が持てるようになりました。

 

人間ってのはホント面白いものです。

成長すると言うか、変われるものですね。

 

そして散々古典を読めと言われて読めなかった私が

今は娘に古典を読めとうるさく言ってます(笑)。

 

本書を古典と言えるかはわかりませんが、

マルクスは読むべき古典のひとつでしょうか。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 若者よ、マルクスを読もうⅡ 蘇るマルクス です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 若者よ、マルクスを読もうⅡ 蘇るマルクス

内田 樹 石川 康宏 かもがわ出版 を読みました。

 

半年ほど前に

下記の書評を書きました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

読後、続編があることを知り、

すぐさまパートⅡ、パートⅢを購入しました。

 

なぜか、このシリーズは全て読みたいと

強く思ったのですね。

 

別に私自身は

強固なイデオロギーを持っているわけではなく、

完全にノンポリです。

 

ノンポリなんて言葉自体が

最近ではほとんど使われなくなっていますけど

別に思想的な問題でなくとも

マルクスは学んでおいたほうが良いと

前作で強烈に頭に叩き込まれたのですね。

 

いつも気になってはいたのですが

他に読みたい本がたくさんあって

早くも半年以上が経ってしまいました。

 

そろそろ読まねば…という使命感に駆られて

本書を手に取ったのでした。

 

目次

第1部 対談・もしマルクスが現代の日本に蘇ったら!?

第2部 往復書簡・『フランスにおける階級闘争

    『ルイ・ボナパルトブリュメール一八日』

第3部 往復書簡・『賃金、価格および利潤』

第4部 『若者よ、マルクスを読もう』第1巻をめぐって

 

感想

さすがのひと言ですね。

私のようなマルクスを読んだことのない人間でも

マルクスに対してとても興味が湧きますし、

何となくわかった気になってしまいます。

 

前作も素晴らしかったですが

本作もとても勉強になりました。

 

きっと次作もいいのだろうなと想像が付きましたし、

そう遠くない未来に必ず読みます。

 

本作はマルクスの青年期という位置づけで

前作の若かりし頃を過ぎて

成熟しつつある頃と言って良さそうです。

 

確かに概念や観念が

ブラッシュアップしているように感じますし、

深みというか、円熟味が出始めているように思いました。

 

そんな偉そうなことを言える身分ではありませんが、

自分自身のサバイバル戦略のためにも

知っておいたほうが良い内容でした。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

マルクシストというのは

マルクスの思想を

 マルクスの用語を使って語る人」のことである。

マルクシアンというのは、

マルクスの思想を

 マルクスの用語ではなく、

 自分の言葉を使って語る人」のことだと答えてくれました。

見事な定義だなと思いました。

(中略)

僕はマルクスの思想、マルクスのアイディア、

マルクスの心情、マルクスの倫理的誠実を

心から信じるものであります。

けれども、マルクスが理想と描いたような

人間的な社会を実現するためには、

必ずしもマルクスの用語やマルクスの概念を

排他的に用いる必要はないだろうと思っています。

僕自身はマルクスの言葉をそのまま使うことはしません。

それは「借り物」だからです。

(P.16)

 

内田さんが見事な定義だと述べてましたが、

それをさらにわかりやすく

定義付けて下さる内田さんに脱帽です。

 

よく日本人は大学入試までは勉強するけど

その後は勉強をしなくなるなんて言われますが、

要はこういう本当の勉強が足りないのでしょうね。

 

借り物ではない自分ならではの本物の言葉。

私自身も頭に叩き込んでおきます。

 

マルクスの思想は十九世紀のヨーロッパにとっては、

決して突然変異ではないのですね。

マルクス以前にも社会主義者共産主義者

名乗る人はたくさんいたし、

マルクスの同時代にもたくさんいた。

もちろん、マルクスの死後にもいっぱいいます。

考え方には違いがいろいろあるけれど、

大きく括れば、

資本主義にはいいところもあるが、

不健全なところもある、

そこをなんとか乗り越えようというものです。

そういう思想が連綿としてつづいている、

じっさいマルクスは革命だけでなく、

資本主義の改良にも熱心でした。

議会をつうじた労働時間の制限が必要だとか、

労働組合を育てるとか、

労働者の発達には労働時間短縮が必要だとか、

言論や出版の自由の獲得とか、

いろんなことを主張しました。

現在のヨーロッパは、

そういう取り組みの恩恵を

たくさん受けて成り立っているんですね。

(P.36)

 

実は以前に下記の映画を観ました。

 

www.hark3.com

 

この作品もとても面白かったのですが、

マルクスは日本で言えば

織田信長豊臣秀吉徳川家康

そして坂本龍馬西郷隆盛大久保利通などを

足して掛けたような人でしょうか。

 

著者のお2人に完全に感化されていますが、

マルクスは本当に読まねばならないと思い始めている私です。

 

僕が「いいから黙ってマルクスを読みなさい」と

若い人たちに言うのは、

マルクスが正しいことを言っている」からじゃないんです。

端的にマルクスを読むと「跳ぶ」というのが

どういう感じかわかるからなんです。

「跳ぶ」というのは言い換えれば

知性が急激に活性化することです。

そして、知性を活性化させるためには、

現に思考が異常な速度で回転している人のそばにいて、

その波動に同期し、

感染するのが一番効率的なわけです。

めちゃくちゃ頭のいい人の本を読んでいると、

ふだん自分が使っていない知性の部位まで

つられて動きます。

(P.39)

 

これ、スゴクないですか?

こういう体験をしてみたくなりませんか?

私はしたいです。

 

思わず「まんが学術文庫」の資本論

ポチってしまいました(笑)

 

まだまだ道は遠いです。

本書のパートⅢを読んでから考えます。

 

アメリカの独立戦争も、

フランス革命も、

多くの人々が祖国と同胞のために、

おのれの命も財産も自由も捧げた

苛烈な闘争の結果として得られたものでした。

これらの英雄的・非利己的な献身によって

近代市民社会は基礎づけられたのです。

でも、そうだとすれば、

近代市民社会

「すべての人が非英雄的・利己的に私利を追求できる社会」で

あってよいはずがありません。

誰でもが制約なしに「利己の権利」を享受できる、

というような貧しい目的のために、

人々はおびただしい血を流してきたわけではない。

マルクスはそう考えました。

もし、達成すべき理想社会というのがあるとすれば、

「公共の福利に対する配慮」が

「自己利益の追求」より

優先的に配慮される社会でなければならない。

(P.121)

 

人の生き方、考え方としてスゴイですよね。

私利私欲に走る人が多い時代だけに、

爪の垢を煎じて飲まなきゃなりません。

 

人間というのは

そこまでたどり着けるのかな?

やっぱり無理なのかな…。

 

われわれはまず最初にこう問わなければならない。

すべての商品に共通の社会的実体とは何か、と。

商品を生産するためには、

定量の労働がそれに投下されなければならない、

あるいはそれに費やされなければならない。

(P.185~186)

 

これは内田さんが

マルクスの著書からピックアップした箇所ですが

非常に考えさせられました。

 

商品の実体とは何か?

現代社会であればサービスの実体とは何か?も

含めて考察しなければなりませんね。

 

もちろん安易に答えを導くのではなく

これからずっと考え続けていきたいですが、

こうなると「若者よマルクスを読もう」どころではなく

「経営者はマルクスを読め」と言えそうですね。

 

マルクス

「このような事態が続くならば国民はその生命の源泉

 そのものにダメージを受けるだろうと警告したほど」でした。

この頃の資本家たちは余剰価値のうちの自分たちの取り分を

最大化することに夢中で、

労働者を身体的に壊滅させることのリスクを

あまり真剣に顧慮していませんでした。

「労働者の換えなんか、いくらでもいる」と思っていたのです。

(中略)

「労働者は、自分の労働力を売ることによって――

 そして現在のシステムのもとではそうせざるをえない――、

 資本家にその力の消費を譲り渡すのだが、

 それはあくまでも一定の合理的な限界内でのことである。

 彼が労働力を売るのは、

 それを維持するためであって、

 その自然の衰えを別にすると

 それを破壊するためではない」

(P.195)

 

今でもブラック企業の経営者だとか、

平気で詐欺的なビジネスをする輩もいますけど

これはもう労働基準法の問題ではなく

経営者としてのモラルであり、責務でしょう。

 

命にダメージを負わせるような

馬鹿な経営者や管理職の下で働く必要はありません。

即、辞めてやりましょう。

 

ここで労働者と資本家がゼロサム的に奪い合っているのは

「利潤」の配分率ですが、

それは具体的には時間です。

利潤をめぐる戦いの本質的な掛け金は時間なのです。

(中略)

人間にとってもっとも貴重な財産は

「自由に使える時間」なのだ。

マルクスはきっぱりそう言います。

「時間は人間の発達の場である。

 いかなる自由な時間も持たない者、

 睡眠や食事などによる単なる生理的中断を除いて、

 その全財産が資本家のための労働に吸い取られている人間は、

 役畜にも劣る。

 彼は単に他人の富を生産するための機械にすぎないのであり、

 体は壊され、心は荒れ果てる。

 だが、近代産業の全歴史が示しているように、

 資本は、阻止されないかぎり、

 しゃにむに休むことなく労働者階級全体を

 まさにこのような最大限の荒廃状態に投げ込むだろう」

(P.196)

 

確かに時間を奪ってしまえば

私たち人間はできることが急激に限られます。

 

ここでお金ではなく

時間を取り上げることができたマルクス

やはり経済的な分析のセンスも持ち合わせていて

天才的な主張をすることができた証と言えるでしょうか。

 

しかし言われてみれば

悪質な経営者、トップリーダーは

すべからく時間を奪ってきたのは

歴史を振り返れば証明されていますね。

 

逆に言えば現代でも

時間を奪わぬ経営をしているところには

人が集まっているように感じます。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

別に満点でもいいのですが、

それはパートⅢまで待とうかなと(笑)。

 

今回は資本家と労働者について

とても学びとなりました。

 

マルクスが見ていた時代とは異なりますが

そこで人が働き、暮らしていたことには変わりはありません。

 

現代人である私たちはマルクスから学び、

それを今に当てはめて研究すべきなのでしょう。

 

えっとすでにパートⅢは購入済みです。

また近いうちに読むと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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