ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

白い巨塔が真っ黒だった件

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

医療従事者の皆様を除いて

医療に関心の高い方とは

どんな人が多いでしょうか?

 

私のように医療の片隅で

仕事をしている方は該当すると思いますが、

他には…

健康オタクの人などもそうですかね。

 

あとは医師が好きな人も結構いますね。

医師好きが高じて

医療に詳しくなった人もいそうです。

 

このコロナで急に医療に関心を持った方とか

ある領域だけやたら詳しいという人もいますね。

 

私は毎日のように医師の皆さんと

やり取りをしていますので、

この本を知った時には即ポチっとしちゃいました。

 

今回ご紹介する書籍は、

白い巨塔が真っ黒だった件 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

白い巨塔が真っ黒だった件 』

大塚 篤司 幻冬舎 を読みました。

 

実は著者の大塚先生とは

facebooktwitterで繋がっていただいています。

 

直接お目に掛かったことはありませんが

なぜか大塚先生もフォローして下さっており、

何だか嬉しく思います。

 

とにかくこのタイトルですよね。

 

白い巨塔…。

真っ黒い白い巨塔…。

 

もうこれだけでも読みたくなりますが、

少しだけ知っている大塚先生の著書であるということで

本書の存在を知った2分後にはポチッと購入し、

自宅に届き次第にすぐに読み始めたのでした。

 

目次

・暗闇の中で

・サイエンスの落とし穴

・燃えさかる悪意

・黒すぎる巨塔

怪文書のトリック

・C大学、お前もか……!?

 

感想

これだけ世間に浸透している白い巨塔ですし、

ドラマは何度もリメイクされていますから

ご存知の方は多いでしょう。

 

実は私自身は白い巨塔

読んでもいませんし、ドラマも観ていません。

 

本も映画もドラマも観ていないのですが

なぜか内容はそれなりに知っているのですね。

 

それだけの長い間を

愛され続けてきた作品と言えるのでしょうが、

医療を愛する私としては

あんまり触れたくない事実でもあるんですよね。

 

でも目を逸らしてはいけないとも思ってます。

 

実際にいろんな先生方から

大学医局について

実に様々なお話しを伺ってきましたが、

白い巨塔ほどヒドくはないと思ったり、

意外といいところもあったり、

白い巨塔よりスゲー世界だと思う

マイナス面もあったり、

大学医局の「闇」は深いなあと

感じることもしばしばです。

 

ただ大学医局と

ひとまとめにはできないのも現実としてあり、

大学によってかなりの違いがあります。

 

東京、神奈川、大阪、愛知といった

大都市圏にある大学と

一県一医大の地方では内情は相当に異なるようです。

 

また同じ大学でも

教室ごと、つまり診療科目によっても

結構な違いがありますので、

大学医局って〇〇だよね…とは言い難いです。

 

確かに現代という時代にそぐわない

古くさい伝統や慣例が一部にはあったりしますけど、

イチ早くそこから脱却している医局もあるのですね。

 

どうしても医師の皆さんは

自分の出身医局を中心に判断しがちですけど、

同じ大学医局といっても

実態は意外と違うものだという

認識を持っておいたほうが良いかもしれません。

 

さて、本書ですが、

どうやら著者自身が実際に味わってきた体験を

小説として、わかりやすく読みやすく

ストーリーにされたようです。

 

著者がそのまま主人公となっていますし、

大塚先生として登場していますので

かなりリアルな設定です。

 

メインとなるのは「教授選」です。

 

白い巨塔もそうでしたけど

大学医局においては

やはり大学教授が頂点となりますので

教授になるか、なれないかは

大きなファクターとなりそうです。

 

でもどうでしょうか?

私自身、何名かの医学部教授の先生ともお会いして

いろいろとお話しをさせていただきましたけど

強烈な出世志向を持っていたというよりは

何となく教授になっちゃったという先生もいらっしゃいます。

 

本書のようなドロドロした教授選ばかりではなく、

もっとオープンでクリアな教授選もあるのではないかと思いますけど

それは私がドロドロ系を知らないだけでしょうか。

 

実際に本書を読んでいると

今だにこんなことがあるのかよ?とか

白い巨塔の頃とあんまり変わってないのかなと思うことが

連発して出てきます。

 

これって例えば官僚の頂点は事務次官と言われますけど

大臣など政務三役は政治家が付くことが多いので

官僚のトップとしては事務次官となりますが、

その出世競争はとんでもないと聞くことがあります。

 

医学部の教授選よりもさらにドロドロとした

これぞ政治と言われるような世界なのかもしれません。

実際に政治家も暗躍しますし…。

 

また大企業の取締役レースなども同様でしょうか。

 

古くは「島耕作」シリーズで赤裸々に描かれていましたし、

最近では「半沢直樹」などが当てはまるでしょうか。

 

これもおどろおどろしいことの連続です。

 

うちみたいな中小規模の組織では

こんなドロドロした世界はありませんけど、

大きな組織の頂点に立つとなれば

大学医局だろうが、省庁だろうが、企業だろうが

似たようなものなのかもしれませんね。

 

これはもう人間の因縁というか

定めみたいなものかと思います。

 

ただこれも昭和の時代と比較すれば

キャリアが多様化されたことにより、

大学に残る医師は減少傾向で

教授を目指す医師なんてのは

相当に減っているのではないでしょうか。

 

事務次官や取締役も同じと思いますが、

要は「出世」に対しての魅力が激減していると

言わざるを得ないかもしれませんね。

 

そもそものピラミッド型の組織が

機能不全を起こしていたり、

ピラミッドの頂点に立つことのメリットより

デメリットのほうが大きくなっているとも言えそうです。

 

本書を読んでいて、

最初の教授選、2回めの教授選で

大塚先生は想像以上の汚い世界に巻き込まれ

結果的に教授選に敗北しました。

 

このままだと読者としても

ちょっと辛いまま終わってしまいますし、

大学医局や教授選に

相当に悪いイメージを持ってしまいます。

 

どう物語を展開するんだ?と思ったところで

3回めの教授選の機会があり、

そこでは双方が引き寄せ合うように良い出会いとなり、

すんなりと教授に選ばれるのですね。

 

何となく「救い」になりましたし、

やっぱり合うところってあるものなんですね。

 

これって転職と似ているなと思いました。

 

なかなか合うところがないと

どこもこんなものなのか?と絶望しがちですけど

まさに捨てる神あれば拾う神ありで

必ずどこかに合うところってあるものなのです。

 

もちろんバラ色の世界がどこかにあるはずだと

永遠の旅人のようになってしまうのは良くないですけど、

自分自身がスキルと経験を身に付けて

確固たる実績を積んでおかないと

やっぱりチャンスってなかなか巡り合えません。

 

本書における大塚先生も

リアルな大塚先生も

臨床、研究、教育という

医師にとっての大事な3領域で

しっかりした実績があったからこそ

良い出会いがあったのでしょう。

 

本書の最後では…

 

ぼくと同じように辛い経験をしている人、

いまも苦しんでいる人がいたら、

ぜひ頑張ってほしい。

周囲の評判や悪意に振り回されるかもしれない。

でも、そんなことに負けないでほしい。

とても難しいことなのは十分に分かっているが、

やりたいことはやり通してほしい。

それがきっと、

閉塞した暗い日本の将来を明るく変えていくのだから。

(P.234)

 

どんな苦しい状況であったとしても、

ぼくにもあなたにも、味方は必ずいる。

大丈夫、前を向いて進もう。

(P.235)

 

このようにエールを送っています。

 

そして奥様から言われた…

 

「あなたの足を引っ張る人たちは、

 五年後に同じ舞台にはいない」

 

こんな言葉を紹介しています。

 

別に教授選に限った話しではなく、

医療業界だけの話しではありませんよね。

 

このクソったれな世の中は

歩みは遅いものの

少しずつ良くはなっていると思うのです。

 

既得権にしがみつく

老害と言わざるを得ないような人たちは

どうせこれから消えていきますから

この国の未来のために

力を合わせて頑張ってまいりましょう。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

大塚先生…今は近畿大学医学部の皮膚科学教室にて

主任教授に就任されています。

 

本書にあるようなご苦労を散々なさって

ここまで登れたのですから

心からの拍手とエールを送りたいです。

 

ただ時代はどんどん変わっていますし、

いつまでも権力を欲しいがままにする

一部の高齢者の言いなりではいけません。

 

大塚先生と同じ目に合う医師が少なくなるように

より良い未来のための改善は待ったなしですね。

 

人間にそこまでの知性があるのかどうかはわかりませんが、

後世を思えば、そうせざるを得ないと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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