ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

松平容保 悲運の会津藩主

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

会津には什の掟という教えがあります。

一、年長者の言ふことに背いてはなりませぬ

一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ

一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ

一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ

一、弱い者をいぢめてはなりませぬ

一、戸外で物を食べてはなりませぬ

一、戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ

ならぬことはならぬものです

 

私はこの最後の「ならぬことはならぬものです」というのが

非常に好きです。

 

現代社会の風潮から見れば

古い時代の考えと言わざるを得ないのは百も承知です。

 

それでも「ならぬものはならぬ」時は

今でも意外と多いんじゃないでしょうか。

 

むしろ「ならぬものはならぬ」と

言えないことによっての弊害が

実は大きくなるばかりとも思うんです。

 

そんなこんなで松平容保が読みたくなりました。

 

今回ご紹介する書籍は、

松平容保 悲運の会津藩主 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 松平容保 悲運の会津藩主 』

星 亮一 人物文庫 を読みました。

 

歴史上には悲劇の主人公と言われる方が

多くいらっしゃいます。

 

そして私たちは悲劇の物語が

結構、好きなのかもしれません。

 

幕末から明治維新は私の好きな時代でもあり、

松平容保公はどの本を読んでも

大抵登場することが多いですね。

 

でもよく考えてみると

あんまり詳しくは知らない気がしてきました。

 

そこで私の好きな人物文庫シリーズを調べてみましたら

案の定ありました。

 

すぐにポチッと購入して

ワクワクしながら読み始めました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

目次

第一章 京都守護職

第二章 公武一和

第三章 戊辰戦争

第四章 会津復興

第五章 最期

 

感想

率直に申し上げて

メチャクチャ面白かったです。

 

次のページが気になって

一気読みしてしまいました。

 

歴史小説といえども

おそらくほぼ史実に則っているでしょうし、

著者の星亮一さんの文体も

大変に読みやすかったです。

 

そして私が勝手に作り上げていた

松平容保公のイメージは

意外と偏りがあったことにも気づけました。

 

京都守護職となり、

幕府側の代表として京に上り

新選組などを配下にして大活躍。

 

でも薩長と対峙することになり…と思ってたのですが、

まあ大筋では決して間違いではないものの

容保は意外と病弱で寝込んでいる期間が長いのですね。

 

その分、家臣たちが働いてくれたわけですけど

こんなにも臥せっていたとは…。

 

孝明帝には寵愛されたようですけど

果たしてその期待に応えられたのか?といえば

正直物足りないところもあったかもしれません。

 

しかも容保はメンタル面も少し弱かったのか

こういう激動期の大将としては

心身ともに弱い感じがどうしてもあります。

 

それだけに会津藩の家臣たちは

自分たちの頭で考え行動するという

主体性を持てたとも言えそうですが、

例えば織田信長のような凄みは

容保にはありません。

 

別に誰もが信長のようになる必要はないですけど

歴史に名を残す人物としては

ちょっと弱さを感じてしまいます。

 

その一方で容保には誠実さであったり、

美学を貫き通すような愚直な真面目さがあります。

 

孝明帝はその部分を評価したのでしょうけど

これが吉と出るか凶と出るかは

その時代の流れというか

自分でグイグイ動くタイプではないだけに

周囲の環境に大きく左右されそうです。

 

で、容保にとっての最大のリスク因子だった

徳川慶喜…。

 

もう容保の人生というのは

慶喜に翻弄されたと言っても過言ではないでしょう。

 

しかも悪いほう、悪いほうに導かれてしまう。

そして最終的には全てを放り投げてしまい恭順。

 

錦の御旗を手にした薩長軍と対峙するのは

会津藩しかなくなってしまう。

 

奥羽越列藩同盟は成立したものの

あっという間に薩長に懐柔されてしまい、

挙句の果てには会津藩単体での戦いに巻き込まれ

容保としてもここまで追い込まれてしまえば

打てる手はほとんどない…。

 

しかも相変わらず健康状態には不安があり、

最前線では戦えない。

 

どう贔屓目に見たって

負けるべくして負けたとしか言いようがないのですが

これも容保の運命でしょうか。

 

冷静に考えてみれば

容保や会津藩に非があるとも思えず

ただこぶしを振り上げた

薩長軍の殴られ役になってしまったと言わざるを得ません。

 

だからこその悲運であり

悲劇とも言われるのでしょうけど、

白虎隊の件なども含めて

慶喜の気まぐれが歴史を決めたのでしょうし、

容保に立つ瀬はなかったでしょうね。

 

幸いというか、

いやむしろ不幸だったのかもしれませんが

会津藩斗南藩として

今の青森県に転封されて

何とか生き残ることはできましたけど

ただでさえ少なくなった家臣たちすら

食べさせていけない状態でした。

 

また容保自身は

日光東照宮宮司に任命され

さみしい老後を過ごすことになりました。

 

その頃、容保をここまで追い込んだ慶喜

静岡で悠々自適の生活を送っていたようですから

容保は本当に悲運としか言いようがありません。

 

まあこのあたりの歴史的な流れは

私自身もよく知っていたのですが、

優秀な方ではあったようですけど

慶喜に対しては悪い印象しか持てませんね。

 

おそらく多くの方が容保贔屓になってしまって

会津藩は今ではむしろ最後の最後まで戦い続けた姿勢を

好ましく思っている方が多いのでしょう。

 

賢者は歴史に学ぶと言いますけれど

松平容保の生涯を見て教訓となるのは…

 

①健康は大事です。

 

急に京都守護職に任命されて

準備をする間もなく

荒れ狂っていた都に赴任したわけですけど

もし容保が万全の健康状態であれば

もっとできることがあったかもしれません。

やはり人間は健康がすべての源ですね。 

 

②君主は選べないけれど…

 

もし将軍が慶喜でなかったら

容保の人生も大きく変わっていたことでしょう。

現代社会でも上司は選べませんけれど

ビッグモーターなどを見ていてもそうですけど

ロクでもない上司、経営者に

闇雲に付いていってはいけませんね。

 

歴史に「IF」はありませんけど

孝明帝が存命中に大政奉還が行われていたら

容保は中心人物として改革に邁進したかもしれません。

 

③世の中きれいごとだけでは…

 

慶喜の豹変という問題はあれど

薩長側の西郷、大久保、木戸などと比較すると

あまりにも容保はナイーブだったと言えるでしょうか。

 

人間としては容保のような人物のほうが信頼できますけど

政治家としては薩長に軍配が上がらざるを得なかったと。

 

夏目漱石の「草枕」の冒頭は…

 

智に働けば角が立つ。

情に掉させば流される。

意地を通せば窮屈だ。

とかくに人の世は住みにくい。

 

あまりにも有名ですけど

もし容保がこの文章を知っていたら

少しは違う手が打てたでしょうか?

 

えっと、思うに任せて

グダグダと書いてしまいましたが、

本書はとにかく面白かったです。

 

すでに松平容保について

詳しく知っている人には

少し物足りない感があるかもしれませんが、

いつか容保を勉強したいとか、

ちょっと興味のある人物であるという方には

本書は絶賛おススメできます。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

好き勝手にいろいろ書きましたけど

松平容保という人物は好きなんですよね。

 

明治維新という大変革期でなければ

もっと名君として慕われたのかもしれません。

 

ホント歴史って面白いですね。

学ぶところがたくさんあります。

 

この人物文庫シリーズ。

まだまだ未読の本がたくさんありますので

ライフワークとして読み続けてまいります。

 

それでは、また…。

 

 

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