ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け」

池田 晶子 新潮文庫 を読みました。

 

医師キャリア哲学

 

私が若かりし頃、

20代半ばの頃の話しですが、

岩波のソクラテスを読んだ事があります。

 

まあこれが読めない…(苦笑)。

 

何を書いているんだか、

何が言いたいんだか、

全く意味がわからずに…

でもなぜか妥協してはいけない、

絶対に読み終えないといけないと

変な使命感があって

何とか読了したのでした。

 

ま、案の定な~んにも覚えてませんが(笑)。

 

だからでしょうか?

ソクラテスは何となく苦手意識があったのですが、

本書のこのタイトル…。

これならイケるかも!?と思い

読み始めてみました。

 

これがもう大当たりです。

 

全編ほぼソクラテス

妻のクサンチッペの会話です。

 

2人の会話が哲学的に書かれているのですが、

ソクラテスは哲学家として理屈をこねる一方で

クサンチッペは感情的に言いたい放題…(笑)。

 

不思議とこれでバランスが取れていて、

結果的にはソクラテスがクサンチッペに近づき、

クサンチッペもソクラテスに近づき、

何だか程良いところでまとまるのです。

 

私の中では哲学は学ぶテーマのひとつとなっていて、

当ブログでも何度か書評を書いておりますが、

いやはやここまで読みやすく、

わかりやすい哲学本は初めてですね。

 

しかも取り上げているテーマが現代なんです。

 

ソクラテスとクサンチッペが

現代に生きていたら

こういう事をテーマにするよね?という風に

設定されていて

これがまたわかりやすさに拍車を掛けるんです。

 

平成14年に発行されてますので

若干古い話題ではあるのですが、

 

ソフィーの世界柄谷行人養老孟司シンドラーのリスト

岩波文庫、サミュエル・ハンチントン新潮45.マルチメディア、

永六輔西部邁大江健三郎立花隆、大震災、新興宗教

学歴、病気、戦争、マディソン郡の橋…などなど。

 

こういった身近な人物や

時事問題がテーマだけあって、

哲学的にはしっかりと論じてはいるのですが、

実に面白おかしく、現実的で人間味もあり、

禅問答のような難解さもあり、

これでいいじゃん!的なシンプルさあり、

もうこれ以上ないというくらい哲学を簡単に、

そして楽しく書いていますね。

 

著者の工夫と能力に

拍手を送りたいです。

 

とは言えしっかり哲学してるんです。

急所は外さないと言うか。

私がグッときた部分を紹介すると…

 

・僕らが誰か人を信頼するのは、

 その人の考えがその人の生き方を裏切らず、

 その人の生き方がその人の考えを示している、

 そういう時だけだ。

 

・人は本当のことがわからない、

 本当のことをわかりたいと言う。

 しかし、その「本当」という言い方で

 何を言っているのか、

 自分で必ずしもわかってない。

 

・人間がもてる知識を正しく使う技術、

 すなわち知恵を教えることができるのは、

 愛知の学としての哲学だけなのだ。

 

他にも数多くの学びがあったのですが、

哲学が嫌い、苦手、わからないという方でも

きっと本書だったら何かが掴めると思います。

 

生死。

無知の知

こういった事に対して

奥深さを手に入れられる事、

もう間違いなしですよ。

 

最後に目次をご紹介します。

 

・クサンチッペ登場

・ソフィーの馬鹿

・わかってないねえ、柄谷君

・脳でなくとも養老孟司

シンドラーのリスト

・あたしの岩波物語

・教授の警鐘「ハンチントン

・贅沢の探求

・鈍足マルチメディア

・大往生で立往生

・慌てちゃだめよ、西部君

・真面目がいいのだ、大江君

・待ちに待ってた臨死体験

地震と人生

・楽しいお花見

・神様信じて下さいよ

・学歴気にして考えられるか

・死ぬのが恐くて病気になれるか

・納涼ビアパーティ

・あたしもいつか、マディソン郡

 

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

この目次をご覧になって頂ければ、

かなり砕けた内容である事が

ご理解頂けると思います。

 

ただ砕けた…だけではないんです。

 

しっかりと哲学しながら

砕けさせてしまう

著者の技術に私はやられました。

 

池田晶子さん。

このソクラテスシリーズは

三部作になっているようで、

本書は2冊めとの事です。

 

う~ん、いずれ他の2冊も読んでみたいです。

 

それでは、また…。

 

 

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