ある読書好き医療コンサルタントの書評ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

逆立ち日本論

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを研究し続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

物事を考えるのは大事なことですが、

無から考えるというのは難しいことでありまして

有から考えた方が余程早いですよね。

 

しかし有なら何でもよい訳ではなく、

どうせ考えるならよいきっかけが望ましいものです。

 

本日のブログのタイトルは

【 逆立ち日本論 】 といたしました。 

  

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本書をピックアップした理由

『 逆立ち日本論 』

養老 孟司 内田 樹 新潮選書 を読みました。

 

医学博士、解剖学者として有名であり

バカの壁」という大ベストセラーを著した養老孟司さん。

 

そして敬愛する内田樹さんの対談本。

しかも日本論を語り合うようです。

さらにタイトルは「逆立ち」ですからね~。

 

その辺にある日本論から

相当にはみ出すのだろうな…と(笑)

 

きっとこの2人なら

物事を表面から見るだけでなく、

裏側やそもそもの背景なども含めて

かなり多角的に論じてくれるでしょう。

 

そりゃ読むしかないでしょ…と

ワクワクしながら手に取ったのでした。 

 

目次

第1章 われわれはおばさんである

第2章 新・日本人とユダヤ人

第3章 日本の裏側

第4章 溶けていく世界

第5章 蒟蒻問答主義

第6章 間違いだらけの日本語論

第7章 全共闘の言い分

第8章 随処に主となる  

 

感想

う~ん、さすがとしか言いようがない。

とても勉強になりましたよ。

 

世の中の事象をどう受け止めて

いかにして思考すればよいのか、

こうしなさいという指南ではなく

これもある、あれもある、と

実に様々な手法とノウハウを

教えてもらった気がします。 

 

若者の内田さんが

年配者の養老さんに挑戦し

たしなめられるようで面白い。

 

言いたい放題の内田さんだけど

さすがに養老さんにはかなり気遣いをしているようで、

聞き役に回っている養老さんだけど

時には内田さん以上に過激な発言をして、

何だかこの2人の関係性が

入れ替わり立ち替わりであって

展開が早く、自由気ままで、

でも掘り下げるべきところはグッと掘り下げて、

議論が非常に建設的でした。

 

決して難解な議論ではないのだけど、

とても視野が広く、視点が深く、

自分も一緒に議論しているような感じになり、

読後はとても爽快な気分になりました。

 

それではここらでいつもの如く、

私がグッときた箇所をご紹介します。

 

人間は自分の知的パフォーマンスを

コントロールできないことがわかりました。

知的パフォーマンスが上がった方が

生存戦略上有利であれば勝手に上がるし、

少し下げた方が生物として

バランスがいいよというときには

適当なレベルまで下がる。

(P.21)

 

集団を相手にしないで、

具体的な個人だけを攻めてゆけばいい。

さすが脅しのプロには戦略があるなあ、と。

(P.31)

 

ぼくたちの世界のルールというのは、

初めにみんなで集まって合意して、

「じゃあこれでいきましょう」というふうに

決めたものじゃない。

それだったら、

人間の作ったすべての制度は

その意味も機能も知られているはずです。

でも、ぼくたちは、

どうして言語があるのか、

どうして宗教があるのか、

どうして親族があるのか、

どうして貨幣があるのか、

そういう制度の根源については

相変わらず何も知らない。

「ルールというのは

プレイしながら部分的に発見されるものだ。

でも、その全貌は最後までわからないだろう」

(P.62)

 

生きる意味は、

自分だけで完結するものではなく、

常に周囲の人や社会との関係でこそ生まれる。

(P.75)

 

人生の意味というのは、

人生から何を期待するかではなく、

人生がなにをこちらに期待しているかを

考えることだと言うのです。

ぼくたちが人生の意味を問うているのではなく、

問われているのだと。

それはそれぞれが自分に与えられた使命を全うすること、

日常で正しい行動をとることにあり、

人によって具体的にそれは異なるのだというのです。

(P.76)

 

そこでぼくが問題にしたのは

普遍性の問題です。

だれかとだれかが違うということは、

概念的な世界では意味がない。

違うのは当たり前ですからね。

(中略)

日本の場合は議論がそこまで掘り下げられない。

どこがどう違うかを

しっかり議論していかないのです。

それですぐに日本異質論が出てしまう。

(P.84)

 

インターナショナルということは

辺境だということにそのとき初めて気づきました。

中心地がもっともインターナショナルだと思っているのは、

日本が島国だからでしょう。

大陸に行ったら、

異世界に接する辺境こそが

もっともインターナショナルなのです。

実際にそこで生活してみると

それがよくわかります。

具体的な事柄ではそうならざるをえません。

(P.98)

 

大学というのは学問をするところだから、

ただ今の時点で問題が解決するとは限らない。

だから、問題を抱えたまま

辛抱して待たなくちゃいけない。

それが最近の大学で見ていて思うのは、

問題をそのままベンディングしておくことができないということ。

むやみに解決しようとする。

安易な解決策を取ったり、

深く考えずに「これはこういうものだ」と

決めつけて終わりにしてしまう。

必要であれば時間をかけたり、

新しい発見を取り入れたり、

工夫をすべきです。

「閉じるな!」と叫びたい。

(P.164~165)

 

世界の深さは、

すべては世界を読む人自身の深さにかかっている。

浅く読む人間の目に世界は浅く見え、

深く読む人間の目に世界は深く見える。

どこにも一般的な真理など存在しないというのは、

究極の反原理主義ですよね。

(P.178)

 

加害者は事件のことを忘れても、

被害者は忘れない。

(P.206)

 

ぼくは日本の政治を見る限り、

システムを乱している連中は年齢的にはいくら爺さんでも、

基本的に世の中の仕組みが

よくわかっていない「ガキ」だと思いますよ。

何かというと、

「システムを若返らせよう」と

みんな呪文のように唱えていますけれど、

どうして「システムを成熟させよう」とは言わないのか。

その理由を吟味する知恵が働かないという一点をとっても、

日本の政治家やメディア知識人のほとんどが、

外見は老人でも、

中身は「見聞の狭い子ども」でしかないことの

証拠として十分だと思いますけどね。

(P.226

 

評価

おススメ度は ★★★★★ といたします。

 

養老さんはこの対談を

「高級漫才」のようなものとおっしゃってます(笑)。

 

まさに言い得て妙。

肩肘張らずに語り合う。

 

でもテーマは居酒屋で語られるようなものではなく、 

国家論であったり、人生論であったり、

知性、哲学、ユダヤ人論など

まあ何を持って高級とするのかの問題はあれど

自分の知性の枠組みを広げたいと考える人や

知的好奇心の強い方には

さっと読める割には学びの多い1冊として

機能するんじゃないかと思います。

 

あーだこーだと言いながら

テーマは次から次へと移り変わり、

その中の随所に見逃してはいけない

人生論や思想が散りばめられている。

 

そんな興味深い1冊であると私は感じました。

 

それでは、また…。

 

 

 

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