ある読書好き医療コンサルタントの書評ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

内田樹による内田樹

 

おはようございます。

 

読書が大好きな

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

この書評ブログは、

私にとって趣味の世界ですから

楽しみながら書いていますし、

書評を書くと読むほうにも力が入るのですね。

 

集中力が高まるというか、

真剣みが増すというか。

 

もともとは仕事のために書いていたブログでして

そちらは下記なんですけど、

オフィシャルブログは

こっちは苦しみながら書いています(笑)。

 

gnet-doctor.com

 

医師のキャリアに関する内容ですが、

しばらくは毎日更新していたんです。

 

さすがに毎日の更新はキツくて、

ネタ切れを起こすこともしばしば。

 

そこで苦し紛れに書き始めたのが

この書評ブログなのですが、

今は独立してこっちに書いています。

 

オフィシャルブログは

仕事を引退したら書くのを止めますけど

こちらの書評ブログは

生きているうちはずっと書き続けようと思ってます。 

 

今回ご紹介する書籍は、

【 内田樹による内田樹 です。

 

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本書をピックアップした理由

内田樹による内田樹

内田 樹 140B を読みました。

 

今回は敬愛する内田樹さんです。

かなり読んできたつもりなんですが、

まだまだ未読の本が多いです。

 

内田さんの書くスピードに

私の読むスピードが付いていけてません。 

 

さすがに内田さんの本ばかり読むわけにも行かず、

他にも勉強しなきゃいけないこと、

興味のある分野が多いものですから

こうして数冊読むと内田本を挟むという感じで

最近はずっと続いています。

 

でもそれでいいのです。

内田さんのほうが私よりも19歳年上ですので

縁起でもないですが、

内田さんがお亡くなりになったら

ようやく出版が止まりますので、

今度は私が死ぬまでに

全作品を読むつもりでおります。

 

そんなこんなで今回の本、

内田樹による内田樹…。

 

なんじゃいそれは?と思いながらも

とても楽しみにしながら手に取った次第です。 

 

目次

『ためらいの倫理学

『先生はえらい』

レヴィナス序説』

『困難な自由』

レヴィナスと愛の現象学

『街場のアメリカ論』『街場の中国論』『日本辺境論』

『昭和のエートス』『「おじさん」的思考』

下流志向』 

 

感想

内田さんが書いた本を

内田さんが解説、説明するという

非常に変わったスタイルです。

 

私の場合は、内田さんの本は

事前に何も確認せずに無条件に読み始めますので

へえ~、そんなスタイルも面白いかもね…と

素直な気持ちで読み始めました。

 

しかしこういうパターンって

変に自画自賛に走ったり、

当たり障りのない説明でお茶を濁したり、

印税欲しいだけなんじゃないの?という

そんなケースも少なくないように思うのですが、

そこはさすがの内田さん。

 

物凄い力の入れようですし、

おそらく書いていてゾーンに入るというか

また新たな考えが浮かんできて、

それを丁寧に説明して、

本の解説を大いに逸脱して、

それもご愛敬であり、

読者の知的好奇心が

大いに揺さぶられる1冊となっていますし、

未読の本はついポチっちゃいます(笑)。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。

少し長いですが、

ここだけ読んでも相当に学びが多いでしょうし、

本書を読んでみたくなるかもしれませんよ。

 

僕が僕であることを止めても、

誰もその代償について責任を取る気がない。

だったら、僕だって、そんなリスクは冒せません。

僕は僕であることで、

これまで何とか食べてきた。

人に言われる通りのことをして食べてきたわけじゃない。

その経験則が僕に

「僕以外の人間でも書きそうなこと」を

「食べるため」に書くというほど

リスクの高いことはないと教えています。

(P.19)

 

自分と同じ考えの人間が増えれば増えるほど、

自分は「いくらでも替えが効くので、

いてもいなくてもいい人間」になっていく。

マジョリティに属することの最大のリスクはそのことです。

「人混みに紛れる」というのは、

防衛的にはすぐれた機制です。

敵に追われているとか、

何かから逃げようとしているときには、

「自分と同じような人間」がいればいるほど安全です。

でも、その安全にはその分の代価を払わなければならない。

それはいなくなっても誰も気づかないということです。

(P.25)

 

ある種の言説が「ロジカルに正しい」ということと、

それが「生きる力を高める」ということは、

まったく水準の違う話であり、

僕は「正しいこと」よりも

「生きる力を高めること」のほうに興味があるのです。

(P.26)

 

「正しい」ということと

「倫理的」であることは違うということです。

(中略)

集団として生きるための理法とは何か。

「単一の原理に従って、

全員が同じ顔つきで、

同じ口調で、

同じ言葉を話す」という状態が

「倫理的」の定義であると僕は思いません。

そんなはずがない。

(P.30)

 

人間集団が生き延びるためには、

「多様性」と「秩序」の両方が必要です。

「拡散する力」と「統合する力」と言い換えてもいい。

ある程度の規模の集団がするためには、

この二つの相反する力が均等に働いていないといけない。

「多様化し、離散する力」と

「斉一化し、統合する力」、

この二つが拮抗しているときに、

集団は健全な状態にあります。

(P.33)

 

倫理とは本質的に「ためらう」ものであるというのが

僕の考えです。

「こうすれば絶対に正しい」というようなことは

誰も言えないわけですから。

選択の成否は結果を見るまでわからない。

だから、選ぶときにはためらって当然なんです。

迷って当然なんです。

ためらい、迷いつつ、自分の直感の感度を最大化して、

いくつかの選択肢のうち、

自分の生物としての「生きる力」が

いちばん活性化するものを感じる。

そんなのは頭で考えてもわからない。

だから、倫理的選択を前にしたとき、

僕たちは深く呼吸して、

肩の力を抜いて、

心を鎮めて、

わずかな入力の変化に機敏に反応できるように、

自分の心身を整える。

それは「正しいこと」を

声高に言い立てるという構えとはまったく異質のものです。

傍から見ていると、

「決断できずに困惑している」というふうに

見えるかもしれません。

でも、違うんです。

天秤が、わずかな重量の変化で、

ぴんと反応できるように

ぎりぎりまでバランスを取っているのです。

僕が、「ためらい」と呼んだのは、

そういう構えのことです。

(P.35)

 

自分を絞り込まない、

決めつけないほど人間は他者に寛容になり、

親身になる。

自分の中に弱さや卑しさや愚かさを認められる人間ほど、

他者の弱さや卑しさや愚かさに対して寛容になれる。

逆に、自分の中の弱さや卑しさや愚かさを認めない人間は、

他者に対しても非寛容になります。

目標を高く掲げて、

自己陶冶に励むこと自体は悪いことではありません。

でも、その結果、

自分ほど努力していない他人に対しては非寛容になり、

意地悪くなるなら、

そんな努力はしない方がましだと僕は思います。

(P.44)

 

船が沈みかかっているときに、

「こんな事態を引き起こした責任者は誰だ!」と、

船内で犯人捜しなんかしても始まらない。

そんな暇があったら、

船が沈まないように工夫することの方が優先する。

そのためには、動ける人には

全員ふだん以上の働きをしてもらわなければならない。

危機的状況であればあるほど、

「では、どうやったら現場の人たちの士気が上がり、

高いパフォーマンスを達成するようになるのか?」と

問わなければならない。

あたり前のことです。

(P.55~56)

 

今の日本の政治家やオピニオンリーダーを見ていると、

彼らはたぶん本当の「戦場」では

ぜんぜん使いものにならないだろうと思います。

指揮官が自分の部下を「弱兵ばかりだ」と罵倒して、

「こんな戦力では戦えない。精兵を連れてこい」と

不平をならしても、

戦況が好転するはずがない。

前線では兵士も火器も

手元にあるものだけで戦うしかありません。

手兵がわずかで戦闘力が低いなら、

彼らの欠点を微に入り細を穿って意地悪く数え上げるよりも、

彼らのパフォーマンスを上げるためには、

どうすればいいのかを僕なら考えます。

100の能力を150にする方法を考える方がいい。

(P.56)

 

「百才あって一誠なし」というのは、

幕末に人物評としてよく用いられた言葉です。

目の前に立っている人の「才」は

知識量や剣技や政策の適否によって客観的に考量可能ですが、

「誠」は自分の直感によって

その存否を決するしかない。

革命闘争のような危機的状況においては

メタメッセージの聴取能力が死活的に重要であるという

経験値をこの標語は伝えているのだと思います。

(P.76)

 

コンテンツは理解できなくても、

自分が宛て先であることはわかる。

そういうコミュニケーションというのはありうると思うのです。

ありうると思うどころか、

そういうコミュニケーションこそが

あらゆるコミュニケーションの基礎にあるもの、

レヴィナス自身の用語を借りれば、

「コミュニケーションのコミュニケーション」ではないかと

僕は思います。

(P.95)

 

翻訳するというのは、

多かれ少なかれ原著者に憑依されることです。

憑依されることなしには果たせません。

(P.107~108)

 

それより、子どもにはもっとすることがある。

自分の家庭や自分の職場や自分の住む街ですることがある。

学び、働き、家族を養い、近親者を失い、

愛したり、憎んだり、信じたり、裏切られたり、

戦ったり、許したり、

そういう「人間性の修行」を積むことの方が先だろう、と。

その現実生活の経験が哲学書を開くことを要請する。

人がほんとうに哲学を必要とするのは、

哲学書の行間に自分自身が今日生きる支えとなり、

導きとなるようなたしかな叡智を求めるときです。

テクストにすがりつくように知恵を求める者にだけ

テクストはその深い意味を開示する。

(P.118)

 

「驚かない学者」の話をしているところでした。

彼らの特徴はあらゆることを

「想定内」「説明可能」 であるとして、

うわべの落ち着きを装っている。

でも、これは知的にはかなり危険なことだと僕は思います。

もっとも知的努力を集中しなければならない対象は、

つねに「想定外」で「説明不能」の出来事だからです。

でも、あらゆることを既知に回収できる能力で

おのれの知的威信を基礎づけようとする人は、

無意識のうちに、「想定外」の事態、

「説明不能」の出来事から眼を逸らそうとします。

(P.187)

 

何かが名付けられ、理解され、類別され、

忘却されることを拒んでいる。

(P.242)

 

社会的共通資本は、

政治イデオロギーにも、市場の動向にも、

官僚制度にもかかわりなく、

安定的に保全されなければならない。

専門家が、専門的知見に基づいて、

徹底的にテクニカルかつクールに管理運営しなければならない。

別にそれは政治イデオロギーはつねに偏向するとか、

市場はつねに間違った判断を下すとか、

官僚たちはつねに私腹を肥やすというような理由からではありません。

社会的共通資本はできるだけ変化することなく、

安定的に保全されなければならない。

だから、わずかな入力差が大きな出力差を生み出すような

複雑なシステムに委ねてはならない。

(P.266)

 

 格差社会で「割を食っている」人々は、

その被害事実の切実さゆえに

この社会の構造をよく理解しており、

このシステムをどう改善すべきかについても

よく知っている。

だから、どうふるまうべきかについて、

誰かに聞く必要はない。

むしろ世の人々こそが

社会をどう改革すればいいかを私に聞きにくるべきだ。

そういう態度でいる人が

この格差社会で効果的に社会的上昇を遂げることは

まずありません。

(P.279)

 

僕が知る限りでは、

社会的上昇のもっとも一般的な方法は

「自分ができないこと、知らないこと」を早めに知り、

それを教えてくれる「メンター」を探し出し、

その人について行くことです。

「僕には知らないこと、できないことがあります。

教えてください。お願いします」というのが

社会的上昇のマジックワードです。

このフレーズが適切なときに

きちんと口に出せるひとは

高い確率で市民的な成熟の階梯を登り、

それなりの社会的上昇を達成する見込みがある。

(P.279~280) 

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

何て表現していいのか

とても難しいのですが、

内田さんの根底にある知性や教養、

それが全開であるように感じました。

 

そりゃそうですよね。

自分の書いた本を解説するのですから

内田さん自身も相当に力が入ったのでしょう。

 

また内田さんを敬愛する読者としては

ある意味では2度オイシイ内容であります。

 

現代は混迷の時代ともいえ、

賢く生きねば思わぬ事態に巻き込まれかねません。

 

しかしこの賢さとは

単にコストパフォーマンスを高めたり、

損得勘定だけでは図れないものでありましょう。

 

本書はサバイバル戦略として

知っておくべき内容が満載です。

 

それでは、また…。

 

 

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