ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

齋藤隆夫 かく戦えり

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私の読書のポリシーは

「人を知る」ということと

「社会の仕組みを知る」ということです。

 

自分なりには

この「2大原則」を意識しながら

読む本をピックアップしているつもりです。

 

いずれも生存戦略上で

とても重要なことであると考えており、

バランスよく自分に知識を与えていると思います。

 

あくまでも自己評価ですけど

自分なりにはですけど

実に良い読書ライフを送れていると感じてます。

 

そして仕事面では

転職エージェントを20年以上しておりますので

やっぱり「人」に関して学ぼうという

意欲がとても強いです。

 

転職支援のスタンスが

キャリアプラン」を重視していますし、

その前提には「ライフプラン」があると考えてますし、

そういう私に関心を持って下さる

ドクターが「キャリア相談」という形で

お声を掛けて下さっているのですね。

 

またこのドクターの皆さんが

私とは少し異なりますけど

毎日「人」を診ている

「人」のプロフェッショナルなのですね。

 

つまり「人」に関しては

深く、深く、追求するのが日常です。

 

ですから「人」について医師と語り合うと

2時間でも3時間でも話してしまいますし、

「人」の不思議さ、

「人」の凄さ、

「人」の汚さなどなど

私自身も日夜研究しているつもりです。

 

よって「この人は!」と思う

偉人と出会うと深く知りたくなるんですね。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 齋藤隆夫 かく戦えり 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 齋藤隆夫 かく戦えり 』

草柳 泰三 グラフ社 を読みました。

 

齋藤隆夫…。

もう3年ほど前になりますが

下記の本を読みました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

何で知ったのかは忘れましたが、

齋藤隆夫さんを知り、

この人は知らねばならない、

是非とも勉強したいと思って読んだのが

「回顧七十年」です。

 

こちらの書評で

「齋藤隆夫氏については

 さらに深く学びたいと思いますので

 他の本も探してみます。」

と書いており、

その後に見つかったのが

今回ご紹介する

「齋藤隆夫 かく戦えり」です。

 

ところが存在を知ってから

なかなか出会うことができなくてですね、

ブックオフでは見つからないし(笑)、

街の書店にもありません。

 

仕方なくAmazon楽天で探してみたのですが

な・なんと、定価より高い中古品しかないのです。

 

おお、それだけ価値のある本なんだなという楽しみと

いずれブックオフで出会うかなという邪な考えがあって

しばらくスマホのメモアプリに入れておいたのですが

やっぱり見つからず…。

 

そして3年が経ち、

そろそろ読みたい!と意を決して

定価より高い金額で購入をしました(笑)。

 

そこまでして買ったのですから

積ん読にならずに

届き次第にすぐさま読み始めたのでした。

 

目次

いま、なぜ、齋藤隆夫か ーはしがきにかえてー

 

第1章 「寸にして断たざれば尺の憾みあり、

     尺にして断たざれば丈の憾みあり。

     一木と雖もその根が深く地中に蟠踞するに至っては、

     これを倒すことは容易ではない」ー粛軍演説より

 

第2章 「政党を排斥して国民的基礎を有せざる軍人内閣に対して

     政民両党は挙国一致とか非常時という掛け声に

     圧倒され反対もできない」ー『回顧七十年』より

 

第3章 「戦場の露と消えた数万の将兵

     法律の力に依り死んだのでありましょうか。

     けっしてそうではありませぬ」ー国家総動員法批判演説より

 

第4章 「徒に聖戦の美名にかくけて、国民的犠牲を閑却し、

     曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、

     かくの如き雲を掴むような文字を並べ…」

     ー支那事変処理方針への質問演説

 

第5章 「われわれが政治上の議論をするにあたりましては、

     なるべく詣勅とか勅語というようなものは

     引用したくないものであります」ー懲罰委員会の席上で

 

第6章 「戦争の局を上御一人に結ばせてしまったのは、

     いかにもまずいよ、日本は」ー終戦の翌日、疎開先の宗鏡寺で

 

資料 齋藤隆夫演説集

 

感想

歴史好きの私ですし、

昭和史は日本人として

学ぶところが多いと思っていますので

本書には大満足です。

 

すでに「回顧七十年」で

齋藤隆夫氏の凄さは知っていましたが、

本書では著者である草柳大蔵さんの取材力が凄くて

おそらく相当の資料を読み込んだのでしょう。

 

齋藤隆夫氏の実像に迫っており、

端々に日記を織り交ぜながら

非常にリアルな実態を知ることができました。

 

特筆すべきは

齋藤隆夫氏の有名な演説である

「粛軍に関する質問演説」

国家総動員法案に関する質問演説」

支那事変処理に関する質問演説」

この全てが網羅されており、

丁寧に時代背景とともに説明がなされている点が

素晴らしい!と拍手したくなりましたね。

 

巻末には資料という形で

全文を載せてくれているのも嬉しい限りです。

 

齋藤隆夫を知るなら本書だなと感じました。

 

日本中が戦争やむなしと突き進むなかで

陸軍が「軍事力」で幅を利かせるなかで、

よくぞこんな演説ができたものだと

心より尊敬を申し上げたいです。

 

ひとつ間違えれば逮捕されたり

暗殺される可能性だってあったのでしょうけど

齋藤隆夫氏の肝の据わり方が半端ではなかったのでしょうか。

 

さすがの陸軍も手を出せず、

演説内容を問題視して追放することに成功しましたけど

次の選挙で復活当選し、

戦後はさらに活躍の幅を広げるなど

まさに信念の人と呼べるでしょう。

 

長年、政治家をしていたのに

選挙のたびに金策に回らねばならないほどの

清廉潔白な人。

 

正義感が強く、

おかしいものはおかしいと言える人。

 

近衛文麿などに総理大臣をさせるなら

よほど齋藤隆夫のほうが良かったんじゃないか?

そんなことを考えさせられました。

 

えっと、読後、興奮しながら

この書評を書いているのですが

齋藤隆夫氏を知らない方には何のこっちゃ?って

話しかもしれませんね。

 

そんな方は是非ともWikipediaをご覧になって下さい。

齋藤隆夫

 

ホント凄い人なんですよ。

あんまり有名ではないかもしれませんが。

 

個人的には齋藤隆夫は

教科書に載せるべきと強く思います。

 

昭和史に関心の高い方は

是非とも本書をお手に取って下さい。

きっと満足できることでしょう。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

冒頭申し上げた

「人を知る」という意味では

齋藤隆夫ほどの方はそうはおりませんけど

自分自身の人間性を磨くために

詳しく知っておくべき人だと思います。

 

ちなみに本書は

平成18年に復刻版として出版されたようですが

著者である草柳大蔵氏の筆の鋭さというか

まるで昭和の前半にタイムトリップした気分にさせられます。

 

時代の息吹と言いますか、

良くも悪くもこの時代の日本は

「熱さ」があったんですよね。

 

残念ながら大東亜戦争に突入し、

手痛い敗北となり

日本中がひっくり返ったわけですが、

齋藤隆夫氏だけは

戦前も、戦中も、戦後も変わりませんでした。

 

いやそれどころか

戦後のほうが生き生きとしていたかもしれません。

 

このブレない姿勢。

頑固一徹

流されない知性。

 

学ぶところ「大」です。

 

今の政治家で

齋藤隆夫を学んだ人が

どれだけいるでしょうか?

 

おそらくごくごく少数と思います。

恥ずかしい限りです。

齋藤隆夫の爪の垢を煎じて飲めと言いたいです。

 

それくらいに政治家として

日本歴代のなかでも優れた方だと思います。

いや~、とても良い学びになりました。

 

それでは、また…。

 

 

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