ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

谷川俊太郎 質問箱

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「アート志向」が問われる時代です。

 

そもそも芸術的なセンスなど

全く持ち合わせていない私ですが、

経営者としても

ビジネスパーソンとしても

理論理屈に加えて

「アート」的な視点や発想が必要であることは

日々痛感することが増えています。

 

意識的に芸術作品に触れることは

かなり重要になってくるのでしょうけど

心を落ち着けて美術館に行ったりするのは

なかなか時間が取れなかったりもします。

 

そこで趣味である読書のなかで

「アート」を学べないか?と考えていまして、

今までもアート関係の数冊の本を読んできましたが

それを1歩進めまして、

アートと言える作家は誰か?と考えて

辿り着いたのが谷川俊太郎さんでした。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 谷川俊太郎 質問箱 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

谷川俊太郎 質問箱 』

谷川 俊太郎 Hobonichi books を読みました。

 

皆さんは谷川俊太郎さんと聞いて

何が思い浮かぶでしょうか?

 

別に私は谷川俊太郎さんに詳しいわけではなく、

詩人として著名な方であるということと

あとは絵本ですね。

 

娘が小さな頃に

よく一緒に図書館に行って

谷川俊太郎さんの絵本を借りてきて

読んでいた思い出があります。

 

その時から谷川さんの独特な感性には

何か感じるところがありましたし、

大人にも通用する奥深さがありました。

 

冒頭に申し上げたように

「アート志向」を考えた際に

谷川俊太郎さんは最適かもしれない。

 

そう思いまして

楽天ブックスで探してみましたら

ちょうど面白そうな本を見つけました。

 

それが本書です。

今までの私の読書の傾向とは異なりますけど

きっと何か得るところがあるはずだと思い、

楽しみにしながら読み始めました。

 

目次

1 a platform at dawn

2 a deep noisy forest

3 kids on a playground

4 letters from friends

5 seaside before dark

6 clerks at the exit

あとがきばなし 谷川俊太郎糸井重里

詩人から届いた答。

 

感想

本書は、「ほぼ日刊イトイ新聞」という

WEBサイトに連載されていたようで、

読者からの質問に

谷川俊太郎さんが答えるという

非常にシンプルな内容です。

 

ただ読者と言っても

老若男女問わずに

実に様々な方々から

実に多様な質問が来ています。

 

なかには質問としてどうなの?というものもあり

谷川さんも回答するのに

苦労しただろうなと思うものもあるのですが、

ところがそんな質問でも

谷川さんが言葉を紡ぎだすと

不思議なことに納得感があり、

想定外の落としどころが導き出されるのです。

 

何でしょうね、

この独特な語り口と独自の発想は。

 

ハッキリ言ってしまうと

ビジネスシーンでは全然通用しないロジックです。

でも逆に言うと

こういう発想を潰してきたから

日本経済はここまでダメになったとも言えるでしょうか。

 

ヒューマニズムの喪失と言えるかもしれません。

 

我々ビジネスパーソン

谷川俊太郎さんから学ぶところが大きいように感じます。

 

もっと人を見て、

あるべき社会を考えないといけません。

 

本書を読み終えた今、

私はとてもほのぼのとした気分になっていますし、

小さな幸せを感じています。

 

素直にこの本と出会えて良かったと思えていますし、

谷川さんをもっと深く知りたいと思いました。

 

冒頭申し上げた

「アート志向」が本書には散りばめられていますし、

よい意味で人生観に影響を与えてくれそうです。

 

今回は私の心を打った質問を

厳選して3つだけ(プラス1)ご紹介いたします。

 

質問1

車、飛行機、そのあとに続く乗りものって、

まだないと思うんです。

ぼくたちはこれからいったい

何に乗ればいいんでしょうか?

 

谷川さんの答

雲に乗るのもいいし、

風に乗るのもいいし、

音に乗るのもいいし、

気持ちに乗るのもいいんじゃないかなあ。

機械じゃない乗りもの、

手でさわれない乗りものが

未来の乗りものです。

(P.12~13)

 

これが最初の質問なんです。

私はこれを読んだ時に、

ニヤリというか、

今まであまり持ったことのない感情が沸いてきて

ああ、本書を買って良かったと確信しました。

 

質問46

二十歳になると大人になると言いますが、

谷川さんの考える、

大人と子どもの違いを教えてください。

 

谷川さんの答

昔なら社会のほうが

元服とかイニシエーションの儀式などで、

はい、今日から大人ですよって

決めてくれたらしいけど、

いまの成人式にはそういう力はないよね。

投票できるようになったら大人とか、

免許証取れるようになったら大人とか言っても、

大人っぽい子どももいるし、

子どもっぽい大人もいるから、

子どもと大人の間に境界線を引くのはむずかしい。

でも自分の中にある子どもっぽさに気づいていて、

それを他人と対したときに

うまくコントロールできる人は

大人と言えるんじゃないかな。

逆に自分は子どもっぽくない、

ちゃんとした大人なんだと

信じこんでいる人は子どもっぽいような気がします。

どんな大人も百パーセントではなくて、

かならず何パーセントかの子どもが

含まれているというのがぼくの考えですから、

からだの大きさのように

見て分かる違いがあれば

それでいいとも思えるし。

(P.122~125)

 

大人論は世にさまざまありますが、

理屈ではなくて

社会的ではなくて

人間っぽさがシンプルに出ていて

谷川さんの回答を好ましいと思いました。

 

考えてみれば

大人になり切れていない大人とか

大人とは決して言えない大人とか

害しかない大人とか

人に迷惑を掛ける大人とか

自分勝手すぎる大人が最近は増えていますから

私たち大人は

大人とはなんだ?

大人としてどう振舞えばいいのか?を

もっと考えて、

責任ある行動を取らねばならないのでしょうね。

 

質問61

心の中の鬼はどうやって退治しますか?

谷川さんの心の中にも、鬼がいますか?

 

谷川さんの答

昔いた、いま鬼は行方不明。

もうどこかへ立ち去ったかもしれないが、

まだどこかに隠れてるのかもしれない。

もしまた出てきたら………

退治するという発想はやめて、

とりあえずハグする。

で、当分同棲していっしょに酒飲んだりして、

鬼の愚痴を聞いてやる。

(P.164~165)

 

これなど現代社会に毒されていると

茶化されていると思いがちですよね。

 

でも、その深みを考えてみると

むしろ現代社会のほうが病んでいるようにも思えます。

 

私たち人間は時代や社会に翻弄されて

私たち自身の心の内側を

あえて見ないようにしているのかもしれません。

 

生きるって何でしょうか?

お金を得るだけですか?

仕事だけが生きるってことでしょうか?

自分らしい地に足の付いた答えを出したいですね。

 

最後にもうひとつだけご紹介します。

 

質問58

ウラナニシジミというチョウチョがいます。

南方系のチョウで、

夏から秋にかけて分布をどんどん北に広げるのですが、

暖地を除いては越冬することができず、

冬の訪れとともに死に絶えてしまいます。

彼らをどう思いますか?

 

谷川さんの答

ジタバタせずに、

自然に従って死んでゆくのは

えらいと思う。

(P.156~157)

 

全国各地に蔓延っている

老害な方々に送りたいです。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ といたします。

 

実はすでに本書の続編も購入済みです。

 

自分の心が荒れてきた時や

心を落ち着けたいと思った時に

そっと手に取ろうと思ってます。

 

毎日が忙しくて

心に余裕がないと思われてる皆さん、

是非とも本書を読んでみて下さい。

 

1~2時間程度で読めてしまいますが

あえてたっぷり時間を掛けて読んでみて下さい。

 

それこそ1日、1つの質問だけで充分です。

きっと心が洗われるのではないでしょうか。

 

あと最後のあとがきにある

谷川さんと糸井重里さんの対談も素晴らしかったです。

ここにも確実に「アート志向」がありました。

 

いや~、本書は多くの人に読んで欲しいなあ。

 

きっと世の中から戦争はなくなりまし、

くだらない争いではなく

自然と共生の方向に進むんじゃないかな。

 

それだけにビジネスパーソンに読んで欲しい。

いや、もっと言うならば

政治家や官僚こそが読むべきでしょうね。

 

それでは、また…。

 

 

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