ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

ぼくたち日本の味方です

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私たちにとってのベストウェイって

自分の頭のなかにはないような気がします。

 

だからと言って

人の頭のなかにあるものでもなく、

自分と他者とのディスカッションから

インスパイアされるものではないでしょうか?

 

答えは自分のなかにあるのかもしれませんけど

それは普段は奥深くに隠れていて

誰かと話すことで「きっかけ」をつかんで

急に目の前に現れてくる。

 

それが見えてきたからって

必ずしも思うようになるかは別なんですけど

どこかにバラ色の世界があるんじゃないかと

彷徨い続けてしまうのは

結果的に自分のためにならないかもしれません。

 

メンターみたいな人がいて

定期的にその人と話し合える環境であればいいですけど、

なかなかそういう環境って少ない気がします。

 

であるならば

知性と知恵がぶつかる場で学ぶのがよいです。

 

ということで…

今回ご紹介する書籍は、

【 ぼくたち日本の味方です 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 ぼくたち日本の味方です 』

内田 樹 高橋 源一郎 文春文庫 を読みました。

 

内田樹さんと高橋源一郎さんとの対談。

もうこれだけで私なんぞはワクワクするのですが、

今まで下記の2冊を読んだことがあります。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

どちらも大変面白かったですし、

とても勉強になりました。

2冊ともに満点評価をしております。

 

そこで本書を楽しみにしながら読み始めたのですが

な・なんと本書は

上記の「どんどん沈む日本を愛せますか?」を

単行本化するさいにタイトルを変えたんだとか…。

 

まえがきでそう書かれていて

え、マジ、ってことは自分はすでに読んでるわけ?

 

じゃ、読まなくていいわけ?と思ったのですが、

どうせ細かい内容なんて覚えていないだろうし、

このお2人の対談ならば

何度読んでもいいだろうと考えて再読します。

 

若干騙されたような感じはするけれども

まあいいのです(笑)。

このお2人なら…。

 

目次

2010年9月ー2012年3月 日本政治の動き

第1回 浮き足立つな。まあ、座って、お茶でも一杯

第2回 「まず給料を返納する」とか言う政治家は、絶対信用するな!

第3回 福島第一原発事故後の日本の「脱・原発路線」は、

    ワシントンのご意向である

第4回 「風の谷」が、21世紀の日本のモデルである。

    我々は、「腐海」とともに生きるしかない

第5回 「原発を作らせない」「沈む日本で楽しく生きる」

    この両方を実現している場所が、今、この国には存在する

第6回 我々が、橋下徹を生み出した

総括対談ー2011年3月11日以降、我々はこう生きている

 

感想

うん、やっぱり面白かった。

 

何となく覚えている箇所もあったけれども

決して古さは感じないし、

やはりこの2人の話しがとにかく面白い。

 

イデオロギーや個人の思想を超えたところで

話しが展開するから何度読んでも勉強になります。

 

前回に私がグッと来た箇所でピックアップしたところと

また違うところに今回はグッと来ていたりして

それは自分自身でも興味深いところです。

 

四の五の言うより

恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

システムとかルールってさ、

すごく例外規定が多いわけで、

実際に適用すると、

「ルールはこうなってるけど現実はこうだから」

っていうのが出てくるじゃない。

そういうときは、

「ここはひとつ、ナカとって」とか、

「ま、弾力的に運用してですな」とか、

そうやってうまくなじませてきたわけでしょ。

「ここはひとつ俺の顔に免じて」

っていうことを言う人がいれば、

別に精密なルールなんか作らなくても、

顛末な法律条項なんか作らなくても、

システムは機能するんだよ。

(P.55~56)

 

その通り!

だから硬直化した大企業や

官僚はダメなんだと言いたい。

 

システムを使うのは人間ですから

人間にシステムを合わせるべきじゃないでしょうか。

 

システムっていうものはほんとに、

最初の設定者がいなくなると、

あっという間に劣化していく。

そういうことはもうあらゆる場面で起こることなんだけど、

いちばん近いとこでは大学もそうだね。

(P.57)

 

大学だけじゃなくて

今はあらゆるところで弊害が出ているかもしれません。

 

設計者の持つ柔軟性が失われてしまい

システムが優先されてしまうのでしょうか。

 

仕事なんて、

自分で作るもんじゃない?

マーケットがあって、

それにどういうニーズがあるのかって探すんじゃなくてさ、

「俺はこれがやりたい!」って言ってると、

「もっとやって」っていう人が出てきてさ、

「じゃあちょっとお鳥目ちょうだいよ」

「うん払うよ」ってなって、

続くってもんでさ。

(P.63)

 

う~ん、確かにそうかも。

自分に当てはめてもそうだと言えそう。

 

でもベンチャー企業が大きくなっていく過程で

こういうシンプルさも失われてしまいますね。

 

小さくても光る会社。

そういうのがいいのかも。

 

定型ってのはね、

食えないんだよ((笑))。

こういうときは、やっぱり頭をパッと切り替えてね。

みんなが向こうに行ってるときって、

逆の側のガバーっと広いスペースが空いてるのよ。

そこでなんでもできるんだからさ、

(P.64)

 

ローリスクはローリターンだし、

レッドオーシャンでは勝負になりません。

 

年長者が教えるべきことって、

若い人を励ますことだと思うんだよ。

「難しいぞ」って脅かすだけじゃ、

若い人は委縮しちゃうもの。

(P.65)

 

今は脅す人ばかりで

希望がなくなってるんですよね。

 

信頼されるためには結局、

自分の無能とか非力に関する

カミングアウトが必要だと思うのね。

「これはできません」

「このへんはダメです」

「このへんはなんとかなります」

ってきちんと開示してくれるなら、

信頼ってできるんだけどさ、

統治者は「全部できます」って言うでしょ?

できないのに。

だから信用されないんだよ。

(P.77)

 

言われてみれば確かに…です。

等身大を知るからこそ

その人を信じることができるのですね。

逆も然りか。

 

結局ビジネスって、

「これをやればこれだけ金が入る」っていうことになると、

今のことしか考えなくなるんだよね。

(中略)

なんの努力もしないで

これだけ金が入ってくるっていうのは、

どこかの人間が利益を奪ってるからでしょ。

それは誰かっていうと、

未来のこの土地に住む人たちなんだよね。

(P.172)

 

ビジネスパーソンの1人として

身につまされます…。

 

世のため人のためだったのに

金儲けしか頭になくなる人って多いですし、

未来、子孫のために働くという発想は

とても大事なもののように思えます。

 

今の日本人が再考すべき常識って、

我々はかつて存在し、

今はいなくなった人たちや、

これから生まれてくる人たちとのつながりのなかで生きていて、

先人からの贈り物を受け継いで、

それを享受し、消費しながら生きていて、

それに何かを加算して、

次の世代に贈らなきゃいけない、っていうような

考え方だと思うんだ。

(P.179)

 

今だけカネだけ自分だけ。

こんな世の中になってしまったら

結果的に未来を失い、

カネが金が手に入らず、

自分も他人も堕落してしまうのでしょうね…。

 

どんなに都市化が進んでも、

自分の生身という自然からは逃れられない。

ほっときゃ汚れるし、病気するし、

傷つくし、老化するし、

いずれは死んで腐乱して、

バクテリアに食われて分解してゆく。

そういう生々しく、

意思の統御に服さない自然を抱えて生きているわけでしょう。

だから、僕は自然の上に軸足を置いているほうが落ちつくの。

身体という自然を基準にして生きていると、

記号的で抽象度の高いシステムの上に

生活基盤を置くのが、息苦しくなるんだ。

都市生活ってほんと記号的だなというのは

いちばん感じたのがバブルのとき。

みんなが不動産とか株やって、お金儲けしてたでしょ。

(P.199~200)

 

現代社会の記号優先。

言われてみれば

何とつまらないことに

私たちは我が身を委ねてしまっているのでしょうか。

 

フィジカルから遠ざかれば

人としての本来性を見失うことになりそうです。

 

結局さ、社会のフェアネスの判定基準って、

自分がどう評価されているかなんだよね。

自分が評価されるシステムはフェアなシステムで、

評価されないシステムは悪いシステムだっていう。

(P.204)

 

それがリアルですけど

評価されてこそ

人に対して尽くせるようになるとも思えます。

 

個人としての戦闘能力はそこそこでも、

集団のパフォーマンスを底上げする力がある。

負け戦とか長期低落傾向局面のときに、

「負けしろ」を少なくする能力とか、

みんなの士気を高める能力とかって、

今の日本の企業の人事考課基準ではゼロ査定なんだよ。

負けても大きく崩れないとか、

歩留まりを高めるとか、

そういうような能力って、

本当に貴重なんだけど、

「勝つ戦略」の中では査定対象外なんだよ。

(P.256)

 

集団は単一になるとリスクが増大しますね。

多様性こそが集団を生き延びさせるのでしょう。

 

富裕層が小集団になればあんるほど

消費活動は鈍磨する。

消費って、「みんなが適当に小銭を持っている」ときが

いちばん活発で、

格差が拡大するとダメになっちゃう、

そういうもんでしょ。

(P.266)

 

グローバリズムに翻弄された国々を見れば

まさにその通りということでしょうか。

我が国も含めて…。

 

貧しいってのはさ、

お金がないことじゃない。

お金の前でよろめいてしまうのが

貧しいっていうことだと思うよ。

札束見せられても「それが何か?」って言える、

それが豊かってことじゃないの?

(P.272)

 

お金は大事だよ。

でもお金に翻弄される人生って

ちょっと寂しくないかい?ということか。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ といたします。

 

前回も満点としていました。

つくづく自分のバカさ加減を好ましく思います(笑)。

 

何度でも楽しめる、学べるなら

まあそれも良しでしょう。

 

これからの時代の生き方を

手に入れることができたような気がします。

 

それでは、また…。

 

 

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