おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
いつも言うことですが
「賢者は歴史に学び、
愚者は自らの経験に学ぶ」というのは
本当にその通りだと思いますし、
これを知ることができた私は
幸運な人間だなとつくづく思います。
この「歴史」をどう受け止めるか?
私は広義に捉えておりますし、
それこそ上司や先輩の知見から学ぶというのも
全然ありだと思うんですね。
充分に「歴史」です。
むしろ歴史を狭義に捉えてしまうと
言わんとしているところの半分も理解できないでしょうか。
私たちは毎日のように何らかの学びをしており
それは量的には誰もがそう変わらないと思います。
問題はどう受け止めるか?の「解釈」です。
自分のポテンシャルを花開かせるのも
シャットダウンしてしまうのも
ホント「自分次第」ですよね。
学びに終わりはありませんし、
人間なんてすぐに増長して謙虚さを失って
自分を窮地に陥れるものじゃないですか?
え、私だけ?(笑)
より良いキャリアを得ようとしたり、
より良い人生を送ろうと思えば
広義の歴史から学び続けて
自分自身を成長させていかねばなりませんね。
今回ご紹介する書籍は、
【 日本人の叡智 】 です。
本書をピックアップした理由
『 日本人の叡智 』
磯田 道史 新潮新書 を読みました。
少しずつ著書も読破しています。
ちなみに今まで読んだ作品は下記です。
(検索の都合上違うものも混じってますが…)
私の積ん読本棚には
まだ多くの磯田作品が読まれるのを待っていますし、
これからもずっと読み続けること間違いなしです。
磯田さんの歴史評価は独特のものがありますし
単なる歴史の学びだけでなく、
いかに私たちの人生をより良くするか?という視点が
非常に興味深いと思ってます。
また取り上げる時代や人物もありきたりではなくて
え、誰?みたいな方にフォーカスするのも
実に素晴らしい観点であると感じるのです。
今回は「日本人の叡智」です。
どんな叡智と出会えるのか?
とても楽しみにしながら読み始めたのでした。
目次
小早川隆景―決断
曽呂利新左衛門―寵愛
島井宗室―不言
鍋島直茂―後悔
水野勝成―気概
江村専斎―程々
鹿野武左衛門―落語
安東省庵―虚心
津軽信政―洞察
徳川吉通―仁政
細井広沢ー芸道
中根東里ー清貧
穀田屋十三郎ー互助
牛田権三郎ー相場
加賀千代ー独身
宇佐美恵助ー直言
近松茂矩ー諜報
細川重賢ー撫民
三浦梅園ー合理
堀勝名ー法律
細井平州ー人選
慈雲ー浩然
徳川治保ー茶事
田中玄宰ー政治
司馬江漢ー悟道
塙保己一ー一途
只野真葛ー寛容
大槻玄沢ー徹底
松平定信ー公開
渡邉崋山ー商売
有馬頼永ー堅物
島津斉彬ー人材
黒澤庄右衛門ー処世
佐藤一斎ー教化
緒方洪庵ー毅然
日柳燕石ー国境
橘曙覧ー正直
横井小楠ー学問
本間玄調ー仁術
安井息軒ー役人
西郷隆盛ー卑怯
山岡鉄舟ー借金
浜田彦蔵ー文明
栗本鋤雲ー衛生
陸奥宗光ー不屈
坂本直ー龍馬
勝海舟ー行革
大橋佐平ー時機
正岡子規ー試験
イザベラ・バードー子供
手代木勝任ー暗殺
長岡護美ー雷同
橋本誠邦ー画道
小村寿太郎ー国民
山路愛山ー読書
秋山真之ー進歩
森村市左衛門ー鍛錬
安田善次郎ー機運
大隈重信ー価値
早川千吉郎ー器量
津田梅子ー智育
北村兼子ー夫人
堺利彦ー文章
朴敬元ー女傑
馬越恭平ー心痛
東郷平八郎ー無言
高橋是清ー努力
益田鈍翁ー健康
小川芋銭ー悠然
西園寺公望ー大臣
桐生悠々ー博愛
大錦卯一郎ー稽古
狩野亮吉ー相対
島田叡ー決然
鈴木貫太郎ー能率
小泉又次郎ー身分
小平浪平ー達観
大河内正敏ー味覚
本田静六ー幸福
尾崎行雄ー選挙
相馬愛蔵ー叱正
小林一三ー結婚
藤原銀次郎ー雇用
山本玄峰ー心眼
柳田国男ー教育
山梨勝之進ー交渉
内田百聞ー教養
徳川夢声ー話術
古今亭志ん生ー辛抱
岡潔ー情緒
新名丈夫ー気骨
加藤唐九郎ー欲望
松田権六ー批評
土光敏夫ー会議
寺田栄吉ー予算
感想
ずらずらっと長い目次を
あえて全て書きましたが、
皆さんどの程度の方をご存知でしょうか?
一応、歴史好きを広言している私でも
半数くらいというのが正直なところです。
「はじめに」で磯田さんが熱弁していますが、
本書は相当の力作のようです。
それこそ磯田さんじゃなきゃ知り得なかった方も含めて
事の大小は別にして
何かを成し遂げた人物や
その遺した言葉を取り上げています。
これがまたいいんです。
確かに著名な人物もいますけど
全く存じ上げない方も交じっていてですね
それでもそこには学びがあり、
読んでいてたくさんのメモをしてしまいました。
何度も読み返した本ですし、
何度も噛み締めないといけないなと思いました。
なにせ1人2ページなので
量としては少ないのですけど
書かれている内容が深いので
読むのに結構時間が掛かっちゃいます。
それが本書の魅力でもあり、
磯田さんの手柄なのだろうなと思います。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。
もとより他術なし。
平生、ただ些かの一字を守るのみ。
(P.28)
足るを知る…でしょうか。
現代に生きる我々は猛省しなければなりません。
長生きしたいなら
長く生きれるような人生を送りましょう。
学ばずに生きれば獣。
獣になるなら死ぬ。
(P.32)
学問。勉強。学び。
人として生まれたからには
一生涯続けていきたいですね。
万人があきれはてたる値が出れば
それが高下の界なりけり。
(P.44)
江戸時代は相場が栄えていて
その技術は現代に引けを取らないくらいに
高度なものとなっていたようです。
相場って要は人間の欲との戦いですよね。
欲望のコントロールができれば
割と勝てるということでしょうか。
君は風なり。臣は草なり。
上のやり方次第で下はいかようにもなびく。
(P.49)
人の上に立つ人。
管理職、経営者などは
心に刻み込まねばなりません。
事業はみだりに興すことあるべからず。
思いさだめて興すことあらば
遂げずばやまじの精神なかるべからず。
(P.72)
何でもかんでも初めればいいというものではありませんし、
初めてもすぐに止めるのではいかがなものでしょうか?
儲かりそうとか、
面白そうだけではなく、
世のため人のためになるかが
続くかどうかの分岐点かもしれませんね。
「商人八訓」という商業心得
一、まず朝は召使より早く起きよ。
一、十両の客より百文(匁)の客を大切にせよ。
一、買い手が気に入らず返しに来たらば、
売るときより丁寧にせよ。
一、繁盛するに従ってますます倹約をせよ。
一、小遣いは一文よりしるせ。
一、開店のときを忘るな。
一、同商売が近所に出来たら懇意を厚くし互いに励めよ。
一、出店を開いたら三か年は食料を送れ。
(P.76~77)
これなども含蓄があっていいですね。
ビジネスパーソンの1人として
儲け主義に走ることなく、
商売の神髄を追求したいと思います。
実業家宜しく歴史を読むべし。
(P.126)
本当にその通りだと思います。
ビジネスは単体で存在するものではありませんから
世の中の動きを先読みするためにも
実は歴史から学べることって多いのですよね。
戦争の為に、
百億の予算を組む国家と、
教育の為に、
百億の予算を組む国家と、
いずれが将来性あるかは
問わずして明である。
(P.165)
どっかの誰かさんに伝えたいですね(苦笑)
この国が今やらねばならないのは
少子化対策と教育への投資でしょう。
もちろん国土を守るのは大事ですけど
変に勇ましく、武力を整えても
戦う人がいなければ勝敗は自明ですね。
偉い人とは大臣とか大将とかの地位ではない。
財産の有無ではない。
世間的な立身出世ではない。
一言につくせば後ろから拝まれる人だ。
死後慕われる人だ。
(P.171)
人としての「格」は
記号にできるようなものではありませんし、
表層的な立場とは無関係ですよね。
高潔な人格と
成し遂げてきた実績。
何のために誰のために働いてきたのか。
自分自身に叩き込みます。
賃金は高く払ってよく働いてもらう。
そしていい人を少数働かせる。
これが根本的な原則だと思う。
(P.188)
うちの会社はこういう方向を目指しています。
規模がデカくても
資本が大きくても
やってることがエゲつないのでは
世間に顔向けできませんし
従業員は洗脳されてしまいます。
偉くなくとも正しく生きる。
そういう会社が今は少ないでしょうか。
全国の経営者が
本気で熟考すべき本質だと思いました。
もちろん私自身も…。
「座談十五戒」
一人で喋るな。
黙り石となるな。
(威張って)反り返るな。
馬鹿丁寧になるな。
お世辞屋になるな。
毒舌屋になるな。
(愚痴の)コボシ屋になるな。
自慢屋になるな。
ほら吹きになるな。
知ったかぶるな。
賛成居士になるな。
反対居士になるな。
軽薄才子になるな。
朴念仁になるな。
敬語を忘れるな。
(P.199)
これ…スゴくないですか?
私は正直心から感じ入りまして、
人との会話の際に
これを意識しようと強く思いました。
コミュニケーション力に自信がない方や
なぜか人を怒らせてしまう人などは
参考になさると良いのではないでしょうか?
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
ご紹介した箇所以外にも
良い学びとなるところは多かったです。
何も有名人だけじゃないんですよね。
この国を作ってきたのは…。
むしろ市井の人々のレベルの高さこそが
日本の強みと言えるでしょうし、
バブル崩壊以降は中間層がゴッソリいなくなったのが
今の苦しみなのかもしれません。
本書を読めば
自分が何を考え、どう行動するかの
大きなヒントが手に入りますよ。
それでは、また…。
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