ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

子供の頃から

私は読書が好きでした。

 

当時住んでいた家の隣に

児童館があって

そこでいくらでも本を借りることができたのですね。

 

小学生当時は

江戸川乱歩シリーズとか

星新一さんの本とか

貪るように読んでいた記憶があります。

 

ところが中学生、高校生は

もう野球一色になってしまって

しばらく本から離れてしまったのですね。

 

一応、大学も野球推薦で入った手前

勉強より野球という時期を過ごしてしまったのですが

20歳くらいから読書熱が復活してきて

それからは今に至るまで

自称ではありますが「読書家」を名乗ってます(笑)。

 

きっと死ぬまで読み続けるだろうなと思ってますし、

むしろそれが楽しみでもあるんです。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ 』

鹿島 茂 祥伝社 を読みました。

 

鹿島さんは何度かテレビで見掛けていて

何となく知性を感じることが多くて

少しだけ関心を持っていました。

 

フランス文学が専門ですから

若干、私の興味からは遠いかなと思っていたのですが

本書を知った時には

これは読まねばアカンと思ったのですね。

 

鹿島さんが本を語る。

 

しかも対談相手が私にとっては

非常に好ましい人たちなのです。

 

どのように話しが展開していくのか。

とても楽しみにしながら読み始めたのでした。

 

目次

第1章 楠木建×鹿島茂

    ー『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』

    -戦略のヒントが詰まった一冊

 

第2章 成毛眞×鹿島茂

    ー『絶滅の人類史』

    -なぜ人類は生き延びたのか?

 

第3章 出口治明×鹿島茂

    ー『論語』-世界史から読む

 

第4章 内田樹×鹿島茂

    ー『ルイ・ボナパルトブリュメール18日』

    -ジャーナリスト、マルクスの最高傑作

 

第5章 磯田道史×鹿島茂

    ー『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』

    -記録は命を守る

 

第6章 高橋源一郎×鹿島茂

    ー『9条入門』-憲法と戦後史を改めて考える

 

感想

う~ん、鹿島さん、しゃべり過ぎ。

なんとあの内田樹さんよりもしゃべる、しゃべる。

負けてないのは高橋源一郎さんだけ(笑)。

 

成毛さんや、出口さん、磯田さんよりも

しゃべる、しゃべる。

 

まあ私にとっては新鮮な観点でしたから

これはこれで勉強にはなったのですけど、

もう少しゲストを立てて欲しかったな。

 

私にとっては大変に興味深い人たちなだけに

ボリュームは半々にして欲しかったです。

 

いわゆる書評本の範疇にある本書ですが

私にとってはゲストが魅力的な人たちなので

多少の文句はありながらも(苦笑)

とても面白く読めました。

 

そして書評を残すというのも

とても大事なことであることを認識しました。

 

私のこの書評ブログも

どこかの誰かのお役に立っているのかな?

 

ま、それはいいとして

本書で紹介されている書籍は

いずれも非常に興味深くて

ついポチッとしたくなります。

 

しかし私の積ん読本棚には

100冊以上の本が私が読むのを待っているのです。

 

この状態で在庫を増やすのは

さすがに気が引けるので

あらかた読み進んだ段階で検討することにします。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

マイケル・ルイスの書いた

『マネー・カルチャー』(角川書店)の冒頭に

「間違った友人をつくるよりも

 正しい敵をつくるほうが有用だ」という

フレーズが出てくるのですが、

そういうことですね。

そのフレーズはたぶん

「賢い敵は怖くない。

 怖いのは愚かな味方だ」という

ラ・フォンテーヌの寓話のもじりですね。

(P.33~34)

 

なるほどな…と思いました。

敵と味方。

時には入れ替わるものでもありますし、

自分の中で固定するのはよろしくありませんね。

 

フェーズフェーズで

柔軟に判断するのがいいのでしょう。

 

そんなことも含めて、

これを読んでいると、

ある企業の戦略や競争上の強みというのは、

成功した現在の姿だけを見ていても

わからないということをつくづく感じますね。

その戦略は、

かなり時間的な奥行きを持って動いている。

(P.44)

 

企業って常にプロセスです。

どこの会社だって歴史があり、

様々な展開を経て今に繋がっているのですよね。

 

今の結果だけを見るのではなく

時空を超えた観点が必要なのかもしれません。

 

ひとつの色しかなかったら、

やはり保たないんですよ。

どんな立派な教えでも、

嫌な人は嫌なわけですから。

僕も子どもの頃にはカントを読んで、

「永遠平和とかすごいな」

「はやく世界連邦ができたらええな」などと

アホなことを考えていたのですが、

いま思えば世界連邦はディストピアそのものですよね。

なぜかというと、

その連邦政府がどんなに立派な政治を行っても、

嫌な人は嫌だと思う。

ところが世界連邦政府ひとつしかなかったら、

それが嫌な人が亡命する先がなくなるでしょう。

やっぱり人間は一色には染まらないので、

いろいろな選択肢がないとダメなんですよ。

そういういろいろな人が共存していることが

中国社会の強みだと思います。

(P.118~119)

 

この話しは中国のことですけど

別に中国だけが当てはまるのではなく、

個人で考えても選択肢がないのは辛いです。

 

そういうところに自分を

また組織を追い込んではいけないのですね。

 

中国人と日本人が戦ったとき、

一対一なら絶対に中国人が勝つけれど、

十対十なら日本人が勝つ、とよく言われるんです。

中国人は一人のときは強いけど、

集団になるとてんでバラバラ、

諸子百家になっちゃうというんですね。

一方、日本人は十人でも二十人でも一本にまとまるので、

団体競技になると強い。

陸上の短距離走でも、

リレーではメダルが獲れたりするわけです。

(P.119)

 

これは素直にそうかもしれないと思いました。

日清戦争当時は眠れる獅子なんて言われて

結果的にもあり得ない敗北となったのですが

そもそもの国民性の問題なんでしょうかね。

 

サッカーや野球などのスポーツを考えても

そのまま当てはまりそうですね。

 

ユゴーは「小ナポレオン」と言うけど、

個人をいくら罵倒しても何の意味もない。

個人ではなく

構造を摘出することに意味がある、と言うんです。

二度起きたことは三度でも四度でも起こるのだから、

それを止めるには構造に注目して、

起こらないようにしなければいけない。

その構造というのは、

いわゆるポナパルディズムのことです。

革命があるとかならずその反動がくる。

一種の右派ポピュリズムですね。

この意味で、

左派政権や革命政権が興った後の反動の行く末は、

マルクスの構造分析でだいたい読めてしまうんです。

(P.173)

 

この「構造」という観点は

個人的に物凄く納得できます。

 

私は「構図」「構造」「仕組み」を考えろと

いつも周囲に述べていますので

自分がそれをできているかは別として

やはり大事な見方なんだなとしみじみ感じました。

 

統計は公文書の形でよく残りますから、

公文書の保存をおろそかにすると

結局は命に関わるんです。

速水先生は、

日本はよく統計が残っているといっていました。

僕もそう思います。

江戸時代もけっこう統計の元ネタが豊富な社会でしたし、

明治政府でも、最初に杉亨二という人物が、

統計をしっかりやるために

山梨県などをモデルにして

国勢調査のもとみたいなことを始めています。

そういう先人たちが残した統計が

非常に大事なんですね。

記録は命を守る砦になっている。

(P.199~200)

 

統計は大事。

記録は大事。

公文書は大事。

 

当たり前のことだと思いますし、

現代を生きる我々が

後世に紡ぐべきことのひとつですよね。

 

それがイチ時期、いや今でも?

隠したり、廃棄したり、

そんな馬鹿なことをしようとする

政治家や官僚は万死に値すると思います。

 

お亡くなりになった方に

塩を塗り込むようなことはしたくないですけど

あの政権は私利私欲のために

未来を壊すヒドイ行為をしていましたね。

 

結果的に今痛い目に合っているわけですが…。

 

学者を若いうちに自由に海外に行かせるということが

いかに重要かということですね。

これは学生にいつも言っていることですが、

考えるとは何かというと、

最終的に比較することしかないんです。

比較とは差異と類似を見出すこと。

そしてその差異と類似を見出せるのは、

縦軸の移動なら歴史学

横軸なら人文地理学および旅行だけなんです。

だから、若いうちにそれをやっておくのが何よりも大切。

一点だけを、それこそ一所懸命にやるのでは、

あまり面白い研究は生まれてこないと思いますね。

(P.207~208)

 

これもあの政権に文句を言いたいところですが

結局、学者の知性を奪いたかったのですよね。

私利私欲のために。

 

確かに全ての学者が素晴らしいとは言わないけど

政治家よりは余程まともじゃないでしょうか。

 

そして私たち日本人は

もっと勉強しなければ世界に後れを取るばかりでしょう。

大人こそ学問をすべきじゃないかと

我が身を振り返る意味でも強く強く思います。

 

評価

おススメ度は ★★★☆☆ といたします。

 

ちょっと厳しい評価ではありますが

鹿島さんとこれだけ魅力的な対談相手を用意した割には

期待に届かなかった印象です。

 

個人的にも少し残念ですが

このメンツだったら

何倍も面白いものが作れたんじゃないでしょうか。

 

出版社の問題なのか

鹿島さんの問題なのかはわかりませんが

期待が大きかった分、

期待外れに終わったと言わざるを得ません。

 

それでは、また…。

 

 

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