ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

資本主義の次に来る世界

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人生100年時代と言われます。

私はすでに55歳ですから

もう折り返し地点を過ぎています。

 

今まで様々な諸先輩たちから

大変多くの教えを受けてきました。

 

自分という存在は

ある種の通過点のようなものであり、

自分が学んできたことを

静かに後世に伝えていくことで

生きた証になるでしょうか。

 

当書評ブログも

自分としてはその一環として

どこかの誰かが何らかの形で参考にしていただけたら

とても嬉しく思います。

 

これからもできるだけ読書を続けて

レポートのように書評を書き続けてまいります。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 資本主義の次に来る世界 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 資本主義の次に来る世界 』

ジェイソン・ヒッケル (訳)野中 香方子

東洋経済新報社 を読みました。

 

本書は完全にジャケ買いです。

タイトル買いと言ってもいいでしょうか。

 

正直に申し上げますと

私は資本主義社会に対して疑問を持っています。

 

民主主義社会は望ましい形ですが

資本主義社会が我々を幸福にしているとは

全然思えないんですよね。

 

ですけど共産主義がいいとは全く思えませんし、

より良いイデオロギーがあるわけではないのですけど

少なくとも今の資本主義は

植民地政策や奴隷制度など

かつて多くの人を苦しませてきたものと

そう変わりがないのではないかと考えています。

 

資本家のために

多くの人が搾取されるようではいけませんよね。

 

ダイナミックに変えることはできなくとも

徐々に徐々に時間を掛けて変えていかねば

最悪の場合、

人類は絶滅に近い形に追い込まれてしまうかもしれません。

 

そういう観点で

本書は真剣に学ぶつもりで

楽しみに手に取ったのでした。

 

目次

はじめに 人新世と資本主義

第1部 多いほうが貧しい

 第1章 資本主義ーーその血塗られた創造の物語

 第2章 ジャガノート(圧倒的破壊力)の台頭

 第3章 テクノロジーはわたしたちを救うか?

 

第2部 少ないほうが豊か

 第4章 良い人生に必要なものは何か

 第5章 ポスト資本主義への道

 第6章 すべてはつながっている

 

感想

いやはや衝撃的な1冊でした。

心の底から本書と出会えたことを嬉しく思いますし、

出会えなかったら恐ろしいくらいの学びとなりました。

 

現代社会を生きる人間の1人として

本書で学んだことを

何とか未来に活かしていきたいし、

少しでもより良い未来を後世にバトンタッチしたい。

 

正直、今は読後、興奮状態で

この書評を書いているのですが、

自分自身の無知を恥じ入りますし

それこそ今日から私の生き方は変わりそうです。

 

私はビジネスパーソンですし、

現在は会社の経営者でもありますから

資本主義社会にどっぷり浸かって

日々を過ごしていると言えますが、

マルクスエンゲルスの主張には

頷ける部分も多いと考えていますし、

資本主義社会がいいとは思っていません。

 

ですが疑問は持っていても

何をどう考えれば良いのか、

どんな行動を取ればいいのかわかっていませんでしたが

本書には目指すべき世界が明確に書かれており

素直に賛同できるものばかりで

資本主義の次に来るものを

真摯に追い掛けてみたくなりました。

 

何ができるかはわかりませんが、

現行の資本主義と戦い

新たな経済システムを創りあげていきたいと思います。

 

まずは小さな領域で実行してみて

死ぬまでにほんの少しでも変えることができるように

やれることをやってみようと決意を固めました。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

苦境を招いたことに関して、

化石燃料企業と買収された政治家の責任は重い。

しかし、それだけでは無為無策の説明にはならない。

他に何かーーもっと深い何かがある。

社会が石油燃料に依存していることと、

化石燃料企業の異常な行動は、

より深刻な問題の病状にすぎない。

その問題とは、過去数世紀にわたって

多かれ少なかれ地球全体を支配するようになった

経済システム、資本主義である。

(P.26)

 

経済成長のために

地球を痛めつけて

貧富の差を拡大させて

それでもカネ、カネ、カネ…と。

 

しかも大半の人は

ごく一部の資本家の肥やしになっている。

もうこういうの止めませんかね?

 

成長からの脱却というアイデアは、

思うほど荒唐無稽なものではない。

わたしたちは数十年にわたって、

人々の生活を向上させるには

成長が必要だと教えられてきた。

しかし、実はそうでないことがわかってきた。

あるポイントを超えると

ー高所得国はそのポイントをとっくに超えているー

GDPと社会的成果の関係は破綻し始める。

これは特に驚くようなことではない。

GDPは実質的な市場価格で測定された総生産の指標である。

問題を引き起こしているのは総生産量の増加ではない。

わたしたちが何を生産しているか、

人々が生活に必要なものにアクセスできているか、

所得がどのように分配されているか、が問題なのだ。

(P.36)

 

人間の欲望には限度がありませんね。

100億持っている人は1000億欲しがる。

どこまで行けば気が済むのか。

 

しかもそれを得るために

どれだけ多くのものを搾取しているのか。

 

資本主義の特徴は、市場の存在ではなく、

永続的な成長を軸にしていることだ。

事実、資本主義は史上初の、

拡張主義的な経済システムであり、

常にますます多くの資源と労働を商品生産の回路に取り込む。

資本の目的は、余剰価値の抽出と蓄積であるため、

資源と労働をできるだけ安く手に入れなくてはならない。

言い換えれば、資本主義は、

「自然と労働から多く取り、少なく返せ」という

単純な法則に従って機能しているのだ。

生態系の危機は、

このシステムが必然的にもたらす結果だ。

資本主義は生物界とのバランスをわたしたちから奪った。

(P.47)

 

言うてみれば

地球と人類から搾取して

自分だけ金持ちになる。

詭弁を弄して騙しまくってきた報いは

いずれ来るのだろうけど

その時は資本家だけでなく

全人類が被害に合わねばならないところが

とてつもなく恐ろしい。

 

貧困とは、個人が余剰労働力を持たない状態、

すなわち、個人が財産を持たず、

生計を立てるには勤勉に働き続けるしかない状態を指す。

ゆえに貧困は社会において必要不可欠な要素であり、

貧困がなければ、国家とコミュニティは

文化的な状態を維持できないだろう。

それが世の習いだ。

貧困は富の源である。

なぜなら、貧困でなければ人々は働かず、

金持ちは存在せず、

富の所有者たるべき人々にとって、

改良、快適さ、利益は存在しないからだ。

(中略)

資本主義の支持者たちは、

富を生み出すには

人々を貧しくする必要があると考えていたのだ。

(P.65)

 

これを世界中の人々が知ったら

世界中で革命が起きますよね。

マルクスはそれが見えていたのかもしれない。

 

搾取の仕組みが巧妙化しているだけに

現代資本家の罪は重い。

 

二元論は、植民地における土地の強奪だけでなく、

人々の身体の強奪を正当化するためにも利用された。

それはヨーロッパの奴隷貿易に顕著に表れている。

誰かを奴隷にするには、

まずその人の人間性を否定しなければならない。

(P.83)

 

我々は今でも奴隷ではないだろうか?

いや断じてそうではないと言い切れる人が

果たしてこの世界にどれだけいるのだろうか?

 

資本主義の長い歴史を振り返ると、

この物語には欠落があることがわかる。

囲い込み、植民地化、強奪、奴隷貿易……

この物語に欠落しているのは、

資本主義の歴史において、

成長は常に強奪のプロセスであったことだ。

自然と(ある種)の人間からの、

エネルギーと労働の強奪である。

確かに資本主義はいくつかの驚くべき技術革新をもたらし、

それらは驚異的なまでに成長を加速させた。

しかし、テクノロジー

成長のために果たした最大の貢献は、

無からお金を生み出すことではなく、

資本家が強奪のプロセスを

拡大・強化できるようにしたことだった。

(P.88~89)

 

一部の金持ちが

多くの人から搾取してきたのが

資本主義の歴史。

みんな金持ちになろうとして

結局は搾取されっぱなし。

次の金持ちは自分だと思いながら

搾取され続けている。

 

資本はさらなる資本を生み出すために

再投資されなければならない。

このプロセスは決して終わらず、

ひたすら拡大し続ける。

地元のレストランが

具体的な必要を満たすことを目指すのと違って、

交換価値を蓄積するこのプロセスに明確な終点は存在しない。

それは根本的に人間の必要という概念から切り離されたものだ。

(P.93)

 

システムの暴走に

人間の欲が乗っかってしまい

暴走に拍車を掛けて

地球を壊して住めなくしてしまう。

明らかに間違ってますよね?

 

ここまで「成長」という表現を使ってきたが、

成長と聞くと、良いことのように思える。

なぜなら、成長は、

自然のプロセスについての理解に深く根ざしているからだ。

子供は成長し、作物は成長する。

同じく経済も成長すべきだ、と人は考えがちだ。

しかし、この喩えは根本的に間違っている。

自然界における成長には常に限界がある。

わたしたちは子供の成長を願うが、

3メートル近い背丈を望むわけではないし、

ましてや際限のない指数関数的成長は決して望まない。

そうではなく、ある段階まで成熟したら、

その後は健康的なバランスを維持して欲しいと思っている。

作物についても、成長を望むのは、

収穫できるようになるまでであって、

その後は新しい作物を植える。

これが生物界における成長の仕組みだ。

やがて成長のグラフは水平になる。

資本主義経済における成長はまったく別物だ。

資本の成長要求のもとでは、

グラフは決して水平にならないー

経済学者と政治家が、

「お金もモノももう十分にある」と言う未来は

決して訪れないのだ。

(P.125)

 

死ぬまで走り続けなければならないラットレース。

生きるとはいったい何なのだろうか?

成長という言葉に我々は騙されていないだろうか?

 

この先の戦いにおいて技術革新はきわめて重要だ。

それどころか不可欠である。

(中略)

あらゆる技術革新と効率向上が必要とされる。

しかし、わたしたちが直面する問題は、

技術とは無関係だ。

問題は、成長にある。

何度も繰り返すが、成長要求は、

最高のテクノロジーがもたらす

利益を帳消しにしてしまうのだ。

資本主義は、技術革新を奨励するシステムと見なされがちだ。

実際、その通りだ。

しかし、逆説的だが、

技術革新が生態系にもたらすはずの利益が

資本の論理によって制限されている。

この状況は必然ではない。

(P.162~163)

 

成長以外の目標設定。

GDPではない指標。

幸福のために生きる。

資本主義がダメだからと言って

共産主義がいいわけではない。

新たな経済システムを私たちは作らねばならない。

 

資本が資源の限界に突き当たると、

攻撃的なレントシーキングに出ることを明らかにしている。

それは既存の価値を強奪するために、

巧妙なメカニズムによって

利益や富を公共および貧困者から吸い上げ、

富裕な個人の手中に収めようとする行動で、

不平等をますます悪化させる。

(P.169)

 

アメリカのやってきたことって

ずっとこれですよね。

言うこと聞かないと武力で脅し、

戦争を仕掛ける。

 

ある点を過ぎると、

成長は「非経済的」になる。

富より「貧困」を多く生み出すようになるのだ。

この状況は多くの国や地域に見られる。

高所得国が成長を追求し続けることは、

不平等と政治不安を助長し、

過労や睡眠不足によるストレスや鬱、

公害病、糖尿病や心疾患んどの不調の原因になっている。

(P.183~184)

 

日本のこと?と思いました。

バブルの頃に方針転換していたら

今頃どうなっていたんだろうか?

 

まあ自民党と大企業が結託して

資本主義経済として成長、成長と言ってるのだから

100%無理ですけどね。

 

早くこの両者を引き離さなきゃ。

今はチャンスですけど

越後屋とお代官様の癒着は現代でも続いている。

 

脱成長とは、

経済の物質・エネルギー消費を削減して

生物界のバランスを取り戻す一方で、

所得と資源をより公平に分配し、

人々を不必要な労働から解放して

繫栄させるために必要な公共財への投資を行うことだ。

それは、よりエコロジカルな文明への第1歩となる。

もちろん、その結果、GDP成長は減速、停止、

あるいはマイナスに転じるかもしれない。

しかし、そうなっても問題はない。

なぜならGDPは重要ではないからだ。

(中略)

これはまったく別の種類の、

そもそも成長を必要としない経済に移行することなのだ。

その経済の中心になるのは、

際限のない資本の蓄積ではなく、

人間の繁栄と生態系の安定である。

(P.210~211)

 

全面的に賛同します。

一刻も早くこの方向に進んで欲しい。

自民党政権と結託した大企業に鉄槌を下すか

彼らが変わるか。

 

資本主義は効率重視の合理的なシステムだと、

わたしたちは考えがちだが、

事実はまったく逆だ。

計画的陳腐化は、意図的な非効率の典型である。

その非効率さは(奇妙なことに)

利益の最大化という観点から見れば合理的だが、

人間の要求とエコロジーの観点から見れば、

非合理的だ。

資源、不必要なエネルギー、

人間の労働を浪費しているという点でも

きわめて非合理的だ。

(P.214)

 

無理矢理成長しようと思えば

歪みも大きくなるばかりですね。

すぐ壊れる商品を作るなんて

資源の無駄遣い以外の何物でもないです。

 

資本主義にはもう一つ非効率的な側面がある。

それは物を所有することだ。

(P.219)

 

サブスクを推し進めましょう。

 

人々はあくせく働いて、

自分が必要とする以上の収入を得なければならないが、

それはひとえに富裕層に家賃を支払ったり

借金を返済したりするためなのだ。

まるで現代の農奴制であり、

まさに農奴制と同じく、

自然界に深刻な影響を及ぼしている。

(P.230)

 

結局資本家って金儲けしか頭にないから

地球を壊して人が住めなくなろうと

人が何人死のうが

カネさえあれば何とも思わないんだよね。

極論だけど、不労所得を禁じてしまえばいいのに。

 

資本主義は、生産性と利益を驚くほど向上させるが、

それらを豊かさと自由にではなく、

新たな形の人為的希少性に変える。

そうしなければ資本蓄積のエンジンが止まる恐れがあるからだ。

成長志向のシステムの目的は、

人間のニーズを満たすことではなく、

満たさないようにすることなのだ。

実に不合理で、生態系にとっては暴力的だ。

(P.237)

 

ん、そう考えると

悪いのは資本主義ではなく

資本主義使いこなせない

強欲な人間のほうなのか?

 

ま、責任を追及しても意味はないし、

システムも、人にも問題はあるでしょう。

 

過去を悔いるのではなく反省するもの。

問題はこれからどうするか?でしょうね。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

いやそれどころか2倍、3倍の星を付けたいくらいですし、

私の読書歴のなかでも確実にベスト5に入る良書でした。

 

本書を読んだことにより

私自身の人生も、生き方も考え方も変わりそうです。

 

私ごときにできることは

それほど多くはありませんが、

半径5メートルからジワジワと広げていきたいです。

 

日々精進です。

 

それでは、また…。

 

 

*ジーネットTV 毎週新着動画をアップしています!

医師キャリア相談

*ZOOMキャリア相談を無料で行っています。

 

ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
ジーネット株式会社 公式ホームページ
医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>

よろしければ下記もポチっとお願いします!
      にほんブログ村 転職キャリアブログへ