ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

誰にも相談できません みんなのなやみ ぼくのこたえ

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私の仕事柄

ドクターの皆さまから

大変多くのご相談をいただきます。

 

メインは「キャリア相談」であり

これは私のライフワークとも言えて

最も得意とするところです。

 

他には「転職相談」があって

最近は「クリニック開業相談」も増えており

まれに「クリニック・病院の経営相談」もあります。

 

ただ話しているうちに

話題がどんどん広がっていったり

ついでにこれも聞いてみようとか

仕事とは関係のない相談を受けたりもします。

 

私にとっては

こういうのも歓迎であり

非常に面白くも感じていますし

むしろそういった素のドクターの姿を知ることで

本業の部分の回答が冴えわたることもあるのです。

 

そうは言いましても

冷静に後で振り返った時に

ああ、こういう話もすれば良かったなとか

こんな言い回しをしておけば

もっとご理解いただけたのにとか

反省ばかりであるのも確かなのです。

 

傲慢になって

上から目線で

偉そうに語るようになったら

もう引退しなきゃいけないと考えていますが

1件1件のご相談に対して

本気で挑んでいますので

どうしても反省ばかりになってしまうのですね。

 

もう少し人間力を上げて

知識と知性を高めて

より良いきっかけをご提供できるように

日々精進を続けなきゃなと思う次第です。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 誰にも相談できません 

  みんなのなやみ ぼくのこたえ 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 誰にも相談できません

  みんなのなやみ ぼくのこたえ』

高橋 源一郎 毎日文庫 を読みました。

 

え、源ちゃんが人生相談してるの?

そりゃ面白そう!というシンプルな理由で

本書を購入いたしました。

 

高橋源一郎さんの著書は

まだそれほど読んだわけではありませんが

私が敬愛する内田樹さんとの対談本を読んだり、

私の好きなテレビ番組である

「英雄たちの選択」という歴史番組に

コメンテーターとして出演しているのを見たりして

何だか好感度が年々上がっているのです。

 

ka162701.hatenablog.com

 

よって本書を見つけた際には

2秒後にはポチっとしていました。

 

冒頭に申し上げましたように

私は様々なご相談をお受けすることが多いので

高橋源一郎さんの回答は

かなり参考になるんじゃないかと

非常に楽しみにして読み始めたのでした。

 

目次

Ⅰ 恋をしたことがありません

Ⅱ 夫のすべてに悪寒が走る

Ⅲ 家族って何ですか

Ⅳ ブサイクって言わないで!

Ⅴ 占いが気になります

Ⅵ やる気がないけど、どうしよう

Ⅶ あめをもらってもいいですか

 

感想

や・やっぱり面白い。

源ちゃんの回答は最高でした。

 

ところが…

私はもっと深い人生論というか

そういう話が多いのかと思っていましたら

え、恋ですか?

夫婦関係ですか?

家族って?

と私たちのプライベートというか

日常生活のテーマが多くて

そんな~、

源ちゃんの才能が活かされないじゃん…と思いきや

抜群に活かされています。

 

な、そんな見方もあるんだ!とか

そう考えたら気は楽になるよねなど

ホント発想ひとつで

結果は大きく異なりそうです。

 

キャリアとか人生とか

そういったテーマはあまりなかったですけど

物の見方としては大変に勉強になりました。

 

考え方、生き方って

必ず今よりもより良くできるものなんですよね。

源ちゃん、有難うと素直に言いたいです。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

人間というものは、

ずっと同じような悩みを苦しみを抱えてきたのだな、って。

人生相談なんてものが始まる遥か前から、

おそらく、人間というものがこの世界に誕生して以来ずっと、

人は悩み、それだけではなく、

誰かにその悩みを苦しみを打ち明けてきたのでしょう。

ぜんぜん進歩してない?

いえ、人生相談のコーナーがいつも存在するのは、

ほんとうのところ、

同じ相談がひとつもないからです。

だって、人生というものは、

たったひとつで、

他に同じものはないのですから。

(P.4)

 

その通りだと思いました。

キャリアでも、転職でも、クリニックの開業でも

バックボーンは人それぞれで

固有のものがありますね。

 

そこが面白いところでもあり

難しいところなのだと思います。

 

わたしたち人間にとって、

いちばんの幸せは「自由」であることではないでしょうか。

そして、その中には、

どんな感情を持っても(持たなくても)いい

「自由」も含まれるはずなのです。

(P.23)

 

自由を制限される。

自由を排除される。

 

物凄いストレスを抱えることになりますし、

自由がないのが

この国の経済発展を阻害してきたと

残念ながら言えるのかもしれません。

 

所詮、お代官様と越後屋の関係が

最優先されてきたのですから。

 

「今はダメだけれど、次には」という人間が

「次」に何かをきちんとなしとげた例を

わたしは知りません。

「今」から逃げる者は

「次」も逃げるのです。

(P.49)

 

人間の「本性」とか「性質」というものは

そう簡単には変わらないのですよね。

期待するだけムダということでしょうか。

 

わたしは、コンプレックスを抱くことは、

傷でも闇でもなく、

「常に謙虚であるように」と

神様が贈ってくれた能力だと思うようになりました。

コンプレックスがない人間なんかと、

つきあいたくないですよ!

(P.93)

 

自分を許せない人生って辛いですよね。

でも自分をすべて許してしまうのも

それはそれでどうかと思います。

 

それは死ぬ間際まで

大事に取っておくのがいいかもしれませんね。

コンプレックスは個性です。

 

わたしの考えでは、

「頭が良い」(すなわち「知性」がある)人間とは、

ものごとを深く考えることができ、

そして、自分の人生を

自分で決めることができる者のことです。

(P.106~107)

 

その通り!と思いつつも

自分で決めていると思っていても

実は自分では決めていない

いろんなものに流されてしまっていることも

実はかなり多いのだろうなと思いました。

 

本当の意味で熟慮し

自分で決めるというのは

そう簡単なことではなさそうですよね。

 

あなた方の

「悪いのは自分じゃない、相手だ」という自信は、

どこから来るのでしょう。

自分に悪いところはなかったのか、

もしかしたら深く相手を傷つけたことがあるのではないか。

一度、そのことを徹底して

考えてみることをお勧めします。

(P.125)

 

現代社会ではこんな人が増えていますから

誰しもが、自分は何にも悪くない、

悪いのはあいつだ、社会だ、と

他責にばかりしていますね。

 

そしてそれ自体が自分にとって

大きなマイナス面となっていて

いいことが何にもない

遠因のひとつになっているのかもしれません。

 

「いじめ」の恐ろしさの本質は

「他人に支配されること」だと

わたしは思っています。

他人に支配され、

自分の生き方ができなくなること。

(P.189)

 

難しいですね。

他人に支配されたくないという

自由を求めるその姿勢こそが

他人を支配したいという

自分の自由を守るために

人の自由を奪うことにもなりかねません。

 

ゼロイチで思考するのではなく

グラデーションのなかでのバランス感覚が

問われるところでしょうか。

 

否定には肯定ですよ。

「呪いの言葉」には

「祝福の言葉」をぶつけるしかありません。

(P.203)

 

矛盾とは矛と盾なわけであり、

明暗は明るいと暗いなわけであり、

プラスにはマイナス、

凸凹もそう、

相反するものこそが

最大の攻撃であり防御と言えるのかもしれませんね。

 

ホント昨今では

相手を批判、否定、非難して

マウントを取れば

自分が浮かばれるような風潮が強いですけど

周囲の人は呆れた顔で見ていますよね。

 

こういう人に対しては

賛同して、肯定して、称賛することが

対応策としては有効なのかもしれません。

 

ああ、こいつには何を言ってもムダだ…

マウント取れないと思われれば被害は防げそうですね。

 

あなたのほんとうの悩みは、

職がないこと、ではないと思います。

いまのあなたは、たとえ職を得ても、

ほとんど喜びを感じないでしょう。

あなたがほんとうに必要としているのは、

職業ではなく、

どんなときにも、

あなたに向かって

「生きることは素晴らしい」と

語りかけてくれる

もうひとりの「あなた」だと思います。

(P.209)

 

こういう人、多いのかもしれませんね。

これは嫌だ、あれも嫌だ、

こいつは嫌いだ、あいつも嫌いだ、

でも本当は自分に原因がある…みたいな。

 

それも自由ではあるんですけど

もし自分を成長させたいとか、

自分の人格を磨きたいと考えるならば

そんなことを言ってる場合じゃないのですよね。

 

自分と折り合いを付ける。

自分の進むべき方向を見定める。

話しはそこからと言えるかもしれません。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

自分の人生は

誰のものでもありません。

 

自分のものですし、

自分次第でいかようにでもなりますね。

 

でも誰かのせいにして

自分を慰めて

自分はこのままでいいんだ

変わるべきなのはあいつだ、社会だと考えてしまうと

状況は好転しないどころか

悪化するばかりではないでしょうか。

 

高橋源一郎さんの考えは

実にユニークです。

 

普通の人にはなかなか出てこない

面白い発想や考え方が

本書においてもたくさん語られています。

 

これはそれだけご苦労をされてきたとも言えるでしょうし

物語を紡ぎ出すためにも

必要不可欠な能力なのかもしれません。

 

誰にだって悩みはあるでしょうけど

高橋源一郎さんの考え方の欠片でも手に入れれば

様々なことに突破口が見えてくるように感じました。

 

私自身のキャリア相談にも磨きがかかりそうです。

 

それでは、また…。

 

 

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