ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

経営者の条件 (ドラッカ-選書)

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私が20代の頃は

正直あんまり仕事は好きではなかったですし、

出世なんてこれっぽっちも考えていませんでした。

 

しかし30代も半ばになり

トップセールになってみたり、

あれよあれよと出世して

社長を経験したことにより

考え方が大きく変わってきました。

 

経営は面白い。

トップマネジメントはやりがいだらけ。

できることなら

多くの人に経験してみて欲しいなと

今では思うようになりました。

 

だから自分自身も経営の勉強は

欠かさずに行うようにしています。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 [ 新訳 ] 経営者の条件 (ドラッカ-選書) 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 [ 新訳 ] 経営者の条件 (ドラッカ-選書)』

P・F. ドラッカー [訳] 上田 惇生 を読みました。

 

何かのSNSで本書を紹介している方がいて、

あれ?オレ、これ読んだよね?

でも10年どころか、20年くらい前かな?

 

イチ時期、

まだ経営者になったばかりの頃、

ドラッカーをはじめ

経営本は貪るように読んだのです。

 

でも、ん、最近はドラッカー読んでないな。

 

もう1回読んでみるか、

どうせ何にも覚えてないし…(笑)ということで

どなたかのおススメが響いて

思わず即購入、すぐに手に取った次第です。

 

目次

序章 成果をあげるには

第1章 成果をあげる能力は修得できる

第2章 汝の時間を知れ

第3章 どのような貢献ができるか

第4章 人の強みを生かす

第5章 最も重要なことに集中せよ

第6章 意思決定とは何か

第7章 成果をあげる意思決定とは

終章 成果をあげる能力を修得せよ

 

感想

いや~、読んで良かった。

さすがドラッカーという感じです。

 

最近の経営本は

少し浅いと言いますか、

儲けりゃ勝ち、

マーケティングを駆使して

利益をゲットすればOKみたいなものもあり

若干薄っぺらさを感じることがあります。

 

しかしドラッカー

経営をもう1歩奥深く考えると言いますか

経営哲学を語ってくれるのですね。

 

そこが私にはとても心地よく

なおかつ非常に勉強になりました。

 

経営者はもちろんですが

管理職の方々をはじめ

近い将来に起業を目指している方、

すでにフリーランスとして1歩を踏み出している方、

いつか経営者になろうと思う方などには

心からおススメできる1冊です。

 

もう古典と呼ばれるほどに

出版から随分時が経つようですが

新訳ということで読みやすくなっていますし、

とにかく内容が深いです。

 

ここを出発点にすれば

新たな経営哲学が手に入るのではないでしょうか。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

組織の内部に生ずるものは、

努力とコストだけである。

企業にはプロフィットセンターがあるかのごとくいわれるが、

単なる修辞にすぎない。

企業には”努力センター”があるだけである。

一定の業績を得るために投入した努力が少ないほど、

よい仕事をしたことになる。

市場が要求するだけの自動車や鉄鋼を生産するために、

10万人もの従業員を必要とするということは、

実のところエンジニアリング上の未熟を示しているにすぎない。

人間が少ないほど、組織が小さいほど、

そして組織内の活動が少ないほど、

外部環境への奉仕という組織にとっての

唯一の存在理由からして、

組織は、より完全に近づく。

(P.18)

 

ガツンと来ましたね~。

大企業信仰は間違いじゃないですかね?

 

結局、自分たちの思う通りに行かそうと

自民党献金するという

江戸時代のお代官様と越後屋の関係が

今でも続いているわけじゃないですか。

 

ダメなところは

市場に任せて退場してもらう。

 

これだけでいいので

政府は手出しをしないことですよ。

日本経済復活のために。

 

そして私は、

「成果をあげる人間のタイプ」などというものは

存在しないことにかなり早く気づいた。

私が知っているエグゼクティブたちは、

その気性や能力、

仕事や仕事の方法、

性格や知識や関心において、

千差万別だった。

共通点は、

成すべきことを

成し遂げる能力をもっていることだけだった。

(P.28)

 

ホントその通りだと思います。

何が何でも成し遂げるまで諦めない。

もうこれだけでいいんじゃないですかね。

あとは本人のモチベーションと運ではないでしょうか?

 

事実上、時間を整理しすぎてしまう危険性はあまりない。

通常、だれでも、自分自身の重要度については、

過小ではなく、過大に評価しがちなものである。

そして、あまりにも多くのことが、

自分でなければできないと考えてしまう。

極めて大きな成果をあげる者でさえ、

極めて多くの不要かつ非生産的な仕事をしている。

時間の要求を整理しすぎる危険が妄想にすぎないことは、

かなり重症の病人や障害者が示す

恐るべき成果の大きさから知ることができる。

(P.54)

 

面と向かって言われたら腹立つでしょうけど

でも、これは真実、真理でしょうね。

 

自分を優秀と勘違いしている人ほど

自分勝手な判断で

意味のない仕事をしているのかもしれません。

厳しい物言いですけど。

 

いかに肩書や地位が高くとも、

努力に焦点を合わせたり、

下に向けての権限を重視する者は、

ほかの人間の部下であるにすぎない。

これに対し、

いかに若い新入りであろうとも、

貢献に焦点を合わせ、

結果に責任をもつ者は、

最も厳格な意味において、

トップマネジメントである。

組織全体の業績に

貢献をもとうとしているからである。

(P.71)

 

本書を通じて

「貢献」に焦点を合わせるというのは

著者が最も強く主張しているところですが、

私が思いますに、

主語を自分から組織に移した時点で

勝算は高くなるのだと思うのですね。

 

出世したくない若い世代の方々には

この点をよく考えていただきたいものです。

 

視野が広がるだけでなく、

「視座」を上げる必要があるんです。

エグゼクティブになるには…。

 

なりたくないというのもわかりますが

なれるならなっておいたほうが

将来の、年を取った時の選択肢が増えますよ。

 

ビジョンや能力や実績において、

今日の水準を維持しているだけの組織は、

適応の能力を失ったというべきである。

人間社会において、

唯一確実なものは、変化である。

自らを変革できない組織は、

明日の変化に生き残ることはできない。

しかも、貢献に焦点を当てること自体、

人材の育成にとって、

強力な助けとなる。

人間は、課された要求の水準に適応する。

貢献に照準を当てるエグゼクティブは、

ともに働くすべての人間の視点と水準を高める。

(P.76)

 

レゾンデートルの問題でしょうか。

ここに切り込んでいかないと

自分の成長を自分で止めてしまいます。

自分のため、家族のため、

そして一緒に働く人のため、

もっと言えば後世のためにも

自分を高める必要があるのですよね。

 

知識労働者は、”物”を生産しない。

イデアや情報や概念を生産する。

知識労働者は、ほとんどが専門家である。

事実彼は、通常、

一つのことだけを非常によく行えるとき、

すなわち専門化したときにのみ、

大きな成果をあげる。

しかし専門知識はそれだけでは、

断片にすぎない。

不毛である。

専門家の産出物は、

ほかの専門家の産出物と統合されて初めて

成果とすることができる。

われわれがなすべきことは、

ゼネラリストをつくることではない。

専門家が、彼自身と彼の専門知識を活用して

成果をあげることができるようにすることである。

言い換えれば、自らの産出物たる

断片的なものを生産的な存在とするためには、

それを利用する者に、何を知ってもらい、

何を理解してもらわなければならないかについて、

専門家自信に徹底的に考えさせることである。

(P.82)

 

エグゼクティブが

真のエグゼクティブにならんとするためには

熟慮すべきポイントでしょうか。

 

他の専門家の産出物と統合されるという点が

最重要ではないかと感じました。

 

組織に働くエグゼクティブは、

人間関係について優れた才能をもつことによって、

よい人間関係をもてるわけではない。

自分の仕事やほかの人間との関係において、

貢献に焦点を合わせることによってのみ、

よい人間関係をもてるのである。

貢献に焦点を合わせることによって、

彼らの人間関係は、生産的なものとなる。

そして生産的であるということが、

よい人間関係の唯一の定義である。

(P.85)

 

我が意を得たり!です。

仲良しグループを否定はしませんが

仕事の仲間であるならば

世のため人のために貢献することで

本当の意味でのチームになるのだと思います。

 

私利私欲とか、

私が、私が、と言っているような人は

仲良しグループで和気藹々としたいのでしょうけど

それではビジネスは成り立ちません。

 

貢献するチームの構成員こそが

本当の仲間になるのではないでしょうか。

 

成果をあげるエグゼクティブは、

人間の強みを生かす。

彼らは弱みを中心に捉えてはならないことを知っている。

成果をあげるためには、

利用できるかぎりの強み、

すなわち同僚の強み、上司の強み、

自分自身の強みを使わなければならない。

強みこそが、機会である。

強みを生かすことが、

組織に特有の目的である。

もちろん組織は、

人間それぞれがもっている

弱みを克服することはできない。

しかし、組織は、人間の弱みを

意味のないものにしてくれる。

組織の役割は、

人間一人一人の強みを、

共同の事業のための建築用ブロックとして

使うところにある。

(P.96)

 

弱みにフォーカスするのは

ブラック企業特有の特徴です。

恐怖政治でマネジメントするには

もっとも簡単で、バカでも可能な管理です。

 

まともな会社は強みにフォーカスしないとね。

強みのコラボ、強みの融合こそが

強いチームへの第1歩ではないかと思います。

 

企業、政府機関、病院に働くエグゼクティブの多くは、

自分にさせてもらえないことについてはよく知っている。

(中略)

成果をあげるエグゼクティブも、

自らに対する制約条件は気にしている。

しかし彼らは、してよいことであって、

しかも、する値打ちのあることを簡単に探してしまう。

させてもらえないことに不満をいう代わりに、

してよいことを継ぎから次へと行う。

しかもその結果、

同僚たちには重くのしかかっている制約そのものが、

彼らの場合は消えてしまう。

(P.128)

 

本人の捉え方、考え方次第なのですよね。

他責にしたら何も始まらない。

主導権を握ったものが勝ちますね。

 

成果をあげるエグゼクティブは、

多くのことをなさなければならないこと、

しかも成果をあげなければならないことを知っている。

したがって、彼ら自身の時間やエネルギー、

組織全体の時間やエネルギーを、

一時に一つのことに集中する。

しかも、最も重要なことを最初に行うべく、

集中する。

(P.140)

 

意識的か、無意識かはありますが、

ただでさえ忙しいエグゼクティブは

最も重要なことから片付けていくのは

身に沁みついていますよね。

 

境界条件を簡潔かつ明確にするほど、

意思決定は成果をあげるものとなり、

達成しようとするものを達成できる可能性が高まる。

逆に、いかに優れた意思決定に見えようとも、

境界条件を明確にするうえで著しい欠陥があれば、

成果をあげられないことはほとんど確実となる。

境界条件は、通常、

「この問題を解決するために最低限必要なことは何か」

を問うことによって、明らかにされる。

(P.178)

 

何のために?という目的と

どの程度という計算が成り立たねば

失敗の可能性は高まるばかりですね。

これこそがビジョンであり、先を見通す目でしょうね。

 

何事についても、

選択肢すべてについて検討を加えないならば、

視野は閉ざされたままとなる。

成果をあげるエグゼクティブが、

意思決定の教科書に出てくるような原則を無視して、

意見の一致ではなく、

意見の不一致や相違を生み出そうとするのは、

このためである。

(P.204)

 

多数決とか、

満場一致というのは

トップマネジメントの責任放棄だと思います。

 

みなの意見を聞き、

最後は孤独になって熟慮して決断する。

すべての責任を負う。

 

それがトップの仕事ですからね。

 

本書は教科書ではない。

その理由の一つは、

成果をあげることは、修得はできるが、

教わることはできないからである。

つまるところ、成果をあげることは、

教科ではなく自己修練である。

(P.230)

 

そういうことだと思います。

誰かにクレクレ言っても与えられません。

自分で掴みに行くものなのですよね。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

ドラッカー、さすがでした。

少し古い本ですけど

全然色褪せていません。

 

経営やマネジメントに興味のある方には

必読の書と言えるのではないでしょうか。

 

それでは、また…。

 

 

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