ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

最近のマーケティングって

何だか「騙し」のようなものが多いと感じませんか?

 

引っ掛けというか

詐欺的というか

買わせてしまえばこっちの勝ちみたいな

非常に稚拙で、悪質な感じを受けます。

 

それを今をときめく成長企業とか

誰もが知る大手企業がやっているのだから

始末に負えません。

 

いいものができたら

多くの人に知って欲しい。

 

本来はここが出発点だと思うんですよね。

 

でもいつの間にか

買わせることが目的となってしまい、

買わせるためなら何でもありという

ねじ曲がったマーケティングが増えていませんか?

 

宣伝広告という言葉が

マーケティングに吸収されてしまってから

守備範囲が広がって

悪どいことも

できるようになってしまったのでしょうか?

 

それとも経営者が劣化してしまい

売上が上がれば

何をしても良いと思っているのでしょうか?

 

事実、20代、30代の若者が

詐欺で逮捕されるニュースを見ると

悪い方向に伝わったんだなと辛く思います。

 

まあ最近の財界なんてのは

昔のような人格者は見当たらずに

どいつもこいつも既得権を死守することしか

考えていないように見えますからね。

 

政治と結託して

自分たちの都合のいいように

政策を誘導して

国民を泣かせているように思います。

 

自分たちの存続と

利益しか考えていないんじゃないでしょうか?

 

私が無知なだけとか

穿った見方をし過ぎているならいいですが

どうも本質的な企業人の姿勢が

問われているように思えます。

 

そりゃまともな会社もありますよ。

 

でもひと頃と比較したら

だいぶ少なくなっているかもしれません。

潰れたほうがいい会社も少なくないですよね。

 

それが如実に現れているのが

マーケティングの現場と言えたりするのかと。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者 』

大竹 文雄・平井 啓 東洋経済新報社 を読みました。

 

行動経済学については

前々からいつか学ばねば…と課題感を持っていました。

 

ただ私自身は営業職が長くて

マーケティングについても学び、実践してきましたし、

経営者になってからも

「人」重視の方針で挑んできたつもりです。

 

学問としての知識は特別ないものの

現場では熟慮して実践してきたはずなのですね。

 

それなりの知見は持ってはいるつもりですけど

それでもやはりどこかで学びたいと思ってました。

 

何がきっかけだったかは忘れましたが

そろそろ…という思いが高くなりまして、

さてどれにしようかと楽天ブックスで探していたところ

本書と出会いました。

 

これは読まねばならんだろうと直感し、

すぐにポチッとしました。

 

ただ医療とは別としても

行動経済学は学びたかったので

もう1冊ポチっとしました。

 

どちらから読もうかなと悩んだのですが

こっちのほうが興味深く感じまして

まずは本書から読み始めた次第です。

 

もう1冊はいずれ読みます。

 

目次

第1部 医療行動経済学とは

 第1章 診療現場での会話

 第2章 行動経済学の枠組み

 第3章 医療行動経済学の現状

 

第2部 患者と家族の意思決定

 第4章 どうすればがん治療で適切な意思決定支援ができるのか

 第5章 どうすればがん検診の受診率を上げられるのか

 第6章 なぜ子宮頸がんの予防行動が進まないのか

 第7章 どうすれば遺族の後悔を減らせるのか

 第8章 どうすれば高齢患者に適切な意思決定支援ができるのか

 第9章 臓器提供の意思をどう示すか

 

第3部 医療者の意思決定

 第10章 なぜ一度始めた人工呼吸管理はやめられないのか

 第11章 なぜ急性期の意思決定は難しいのか

 第12章 なぜ医師の診療パターンに違いがあるのか

 第13章 他人を思いやる人ほど看護師に向いているのか

 

感想

まず初めに申し上げたいのは

行動経済学を悪用して欲しくないということです。

 

冒頭申し上げたような

マーケティングの現実を考えると

売るためなら行動経済学を利用して

客を騙して売りつけようという輩もいるんだろうな…

これからそういう人が増えないかと心配です。

 

いやすでに悪用されている感もあるのですが

それは本来的な行動経済学とは異なるでしょう。

 

社会の利益や

クライアントの利益のために

必要性が高まったはずですから

自社の売上のために

私利私欲のために

悪用されてしまうのは

何としてでも避けなければなりません。

 

あくまでも行動経済学

社会のため、クライアントのために存在するのであって

企業が大したことのない商品やサービスを

無理矢理買わせるためにあるのではないという点は

声を大にして言いたいですね。

 

ま、だからこそ「医療現場」のという

本書に惹かれたのですが、

率直な感想を述べるならば

とても面白かった、非常に勉強になったと

素直に思いました。

 

医療従事者の皆さんにとっても

とても勉強になると思いますし、

私のようなビジネスパーソンにとっても

またイチ患者としても

大変参考になりました。

 

率直に素晴らしい本だなと思いながら

読み進めておりましたし、

私どもの経営コンサル先にもご紹介をいたしました。

 

サブタイトルにもありますように

医師と患者は

病気と闘う同志のはずなのに

相反する存在という部分もなきにしもあらずで

すれ違うシーンは少なくないと思われます。

 

本書では様々な行動経済学上の手法を紹介し

解決策を提示しています。

 

もちろん相手のあることですから

必ずしも同じ手法が

万人に通用するものではないでしょうけど

行動経済学の様々な手法をマスターしておけば

何かと役に立つこともありそうです。

 

場合によっては

モンスターペイシェント対策とか

救急車の不正利用をする輩への指導とか

そういう点でもヒントはあるかもしれません。

 

あえてここでは具体的な手法までは述べませんが

すでに皆さん意識的か、無意識かは別にして

かなり実践されてもいると思うのですね。

 

私自身も営業現場や

マネジメントの経験を積むなかで

ああ、あれは行動経済学的に正しかったのだなとか

全く無意識ではあったけれども

現場で役に立っていたものが

実は行動経済学だったのだなと

今さらながら気づけたところもありました。

 

きっと医師の皆さんなら

外来で使えるなとか

病棟での声掛けに活かそうとか

いろいろアイデアが浮かぶのではないでしょうか。

 

またインフォームドコンセント

患者さんに決断を促す際などには

かなり役立つところもあるかと思います。

 

本書は2018年8月に発行されていますので

すでにお読みになった方も多いでしょうけど、

もしまだ未読でしたら

お読みになることをおススメします。

 

仕事だけではなく

様々なシーンで活用できるでしょう。

 

それだけに悪用が心配です。

詐欺師集団などは

もしかしたら参考にしているかもしれません。

 

まあ、あやつらは使えるものは何でも使い、

人を騙すことに躊躇しない人たちですから

防ぎようもないですけどね。

 

私自身も今回得た知見を

ビジネスや経営にどう活かすかは

慎重に考えたいと思います。

 

やはりベースに

正義感や、倫理観があって然るべきですし、

何のために…という目的こそが

最重要なのだろうなと痛感しました。

 

経営で言えば理念でしょうし、

ビジネスモデルの根幹には

それが誰のためになって

誰を利するのかというゴールも

見据えていかねばならないでしょう。

 

ただ個人ベースではなく

国家ベースで考えた場合には

国民の健康を守るためにも

最大限に行動経済学

大いに活用すべきですね。

 

すでに様々な研究がなされているでしょうし

ここ数年で実践して

結果に結びついているところもあるでしょうけど

まだまだ工夫の余地や

実験を積み重ねていくべきでしょうか。

 

コロナ禍では

反省すべきところが

各方面で多いでしょうけれども

行動経済学という観点で考えれば

もっと対処のしようがあったかもしれません。

 

行動経済学を学ぶという目的は

本書を読んで相当にハイレベルで実現できました。

 

やはり医療には命が掛かっていたり

ひとつ間違えると日常生活を一変させるような

大きなリスクが内包されているのですね。

 

もし行動経済学をビジネス的に捉えてしまったら

悪用に悪用を重ねて

後で後悔したっていいじゃん

売上が上がれば勝ちじゃん

ジャンジャン売って上場して

大手に会社を売っぱらえば

億万長者になれるじゃん…と

実に恥ずべき馬鹿馬鹿しいレベルに

陥るのではないかと危惧します。

 

医療にはできないことです。

 

最近は自由診療では

驚くような事態があったりするので

ビジネスの良くない点を

模倣してしまっているように感じますけど

本来、医療は人を癒す、病気を治すことが

最大の目的なはずですよね。

 

そういう崇高な理念が

本書にはしっかり散りばめられています。

 

その点では大変に好感が持てましたし、

本当の行動経済学って

こういうことだよね…という

原理原則を本書からは学べました。

 

昔はビジネス界も

荒れ果てた街を復興するという

社会的な大目標を達成するために

みなが力を合わせていたのですが

最近は今だけカネだけ自分だけですから。

 

人間とは何か?

ここからやり直さなきゃいけないと思います。

 

様々なバイアスが掛かるでしょうけれど

真っ当に学び、真っ当に活用しなければなりません。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

とにかく本書の優れているところは

おかしな「導き」をしないことです。

 

〇〇であるべきだとか

〇〇が妥当だろうとか

〇〇せねばならないという箇所は

全くないのですね。

 

問題提起をして

ヒントを与えて

さあ、みんなで考えようという

非常に好感の持てるスタンスです。

 

これこそが行動経済学の神髄と言えるでしょうか。

 

私は行動経済学が悪用されないかと

やたらと心配をしてしまいましたけれど

本書はそこはおそらく計算づくで

そうではないよ

行動経済学はこう役立たせるんだよという

実に真摯で正直な姿勢を堅持しています。

 

うん、やはり多くの方に読んでいただきたいな。

素直にそう思える良書でした。

 

それでは、また…。

 

 

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