ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

転職ばっかりうまくなる

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

世の中には転職をおススメする情報が

あまりにも多いですけど

話し半分どころか

話し5%くらいで聞いたほうがいいですよ。

 

実際に転職をしても

年収が上がる人は3割程度と言われます。

 

これは厚生労働省の雇用動向調査にて

発表されたものですから

信憑性は高いでしょう。

 

問題はですよ、

転職をしたのに年収が上がらなかった人、

むしろ下がってしまった人が

7割もいるということなのです。

 

でもWEBでも、街中でも

転職すればすべてハッピー!という

間違ったアナウンスが多いじゃないですか。

 

冷静にこれを見てみると

ほとんどが「転職エージェント」か

「求人サイト」の企業が

自社の宣伝広告のために行っているのですね。

 

これ、おかしいと思いませんか?

 

私は転職エージェントで20年以上経験と積んでいますし

経営者としていくつもの求人サイトを利用しています。

 

そんな私から見ても

断じて「おかしい」と思いますし

自分の会社はこういった宣伝広告は絶対にしないと

断固とした思いで決めております。

 

誤った転職に関する情報や

人をミスリードする情報は

バッサバッサと斬り捨ててまいる所存です。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 転職ばっかりうまくなる 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 転職ばっかりうまくなる 』

ひらい めぐみ 百万年書房 を読みました。

 

何で見たかは忘れましたけど

何となく、この本は

読んでおいたほうが良さそうだなと思い、

すぐにポチっと購入しました。

 

正直、内容に期待はしていません。

著者のエッセイくらいな感じで受け止めていました。

 

ただ前述したように

世の中にはあまりにも間違った転職の話しが

超絶、多すぎるのです。

 

こういう風潮は良くありませんし

地味ながら日本経済低迷の要因?

少なくとも私たちの暮らし向きが

悪くなるばかりであることの要因のひとつだと思ってます。

 

ライトな内容っぽいですから

気軽には読めそうですけど、

個人的にはちょっと厳しい目線で読み始めました。

 

目次

◎一社目  倉庫、コンビニ

 アルバイトはたのしい
 倉庫ではたらく
 お金がない
 時間の換金には限度がある

◎はじめての就職活動

 転職エージェントに登録する
 初めての面接
 「世の中そんなに甘くないんだよ」
 再最終面接

◎二社目 営業

 入社一か月目
 ほほえみ地蔵
 社会人練習
 踏んだり蹴ったり
 血便、ふたたび

◎はじめての休職

 ダチョウか、タカか、ペンギンか
 川と裁判傍聴の日々

◎三社目 webマーケティング

 おでんを食べながら働く
 「圧倒的成長」をしたくない

◎四社目 書店スタッフ

 滑り込み転職
 手取り十五万円クライシス
 レモンの輪切りと人生
 「好きなこと」を仕事にする
 (二十八歳・書店アルバイト)
 転職活動、ふたたび
 トイレットペーパーがない

◎五社目 事務局・広報

 入社して一か月で辞めたくなる
 「給料も払いたくない」
 「仕事ができる・できない」は環境の違い
 「ひらいさんは文章で成功しない」
 なにもない首里城

◎六社目 編集・ライター

 職場には川が必要
 デスクでごはんを食べること、窓がないオフィスで働くこと
 「書く」という仕事
 甘いものが食べられない期
 偏りをはかる

◎七社目 ライター・作家(フリーランス)←「社」ではないですが……。

 倉庫バイト・リバイバル
 働き方革命
 やってみたいことを、やってみる
 転職の数だけ人生の味方が増える
 フリーランスの生活と占い
 肩書は書かない
 いつ、どんな理由で辞めてもいい
 夢って、なんだろう

 

感想

ま、案の定という感じです。

 

この内容で他の方々は

どんな感想を持ったのだろうかと

Amazonのレビューを確認しましたら

すこぶる良い。

 

五つ星を付ける方が

とても多くいらっしゃいます。

 

確かに読み物としては面白いですし、

著者と似たような境遇の方々には

安心とか、溜飲を下げるというのは

やっぱりあるのだろうなと思います。

 

ただですね、

まあ本書のタイトルですが

「転職ばっかりうまくなる」には反して

著者は全然転職は上手くなってないですよ。

 

ちょっと手厳しいことを言いますが

むしろいつまでも経っても何も変わらず

同じようなことを繰り返しているだけです。

 

まだしばらくはいいでしょう。

でもこの調子で40代、50代になってみなさい。

後悔先に立たず。

 

自分、今まで、何をしてきたんだろう。

必ずそう思うこと、間違いなしですよ。

 

もちろん本人の選択ですし、

それでいい

未来なんてどうでもいい

今が楽しければそれでいい

とにかく苦労はしたくない

できるだけ努力はしたくない

どうせ自分にはできない。

 

そういう話しを

拡散してしまっていいのでしょうか?

 

私はキャリアに関わる仕事を長くしてきましたので

いろんな方と出会いました。

 

もしこの方の担当になったとしたら

かなり悩ましいです。

 

自分をわかっていない。

夢も希望もない。

自分がどうしたいのか

どうなりたいのかもわかってない。

わかろうともしていない。

いやむしろわかりたくない。

幼稚すぎませんか?

 

これを良しとする風潮が広がるのは

社会的に、国家として、危険だと感じます。

 

いわゆる「キャリア論」的に考えたら

本書から学ぶところは全くありませんね。

 

何だろう…

弱い自分を肯定するとか、

ギリギリの生活をしているのは自分だけじゃないとか

社会が悪い、会社が悪い、上司が悪いと

いつも他責にして自己を振り返らないとか

そういう人は本書を読んで

ああ、自分は間違ってないなとか

自分みたいな人は他にもいるんだなと

胸をなでおろしたりするのでしょうけど

本当に大丈夫でしょうか?

 

日本経済は低迷を続けていますし、

二極化は広がるばかり。

 

財界と政治は結託して

自分のことしか考えていないんですよ。

 

何かと言えば増税されるし、

社会保険料も増すばかり。

 

世の中本当に甘くないですって。

 

社会の仕組みを学んで

構図、構造を見極めないと

誰も助けてくれません。

 

そりゃ今の日本社会がいいだなんて

これっぽっちも思いませんけど

現実的には一寸先は闇のような

厳しい環境があるわけじゃないですか。

 

上に政策あれば下に対策ありとも言われますけど

何にもしないで生きていたら

上の政策にいいようにやられちゃいますよ。

 

下は下でたくましく生きていかねばならんのです。

知性と知恵が必要です。

 

これだけ物価も上がっているのですから

最低時給が少しずつ上昇していても

物価上昇には全然追い付いていないですし、

年々厳しくなるばかりではないでしょうか。

 

正社員になったって

月給20万円とか、10万円台では

かなり厳しい生活にならざるを得ませんよね。

 

しゃかりきに仕事をするとか

モチベーション高く仕事とするとか

そういう問題ではありませんよ。

 

給料を上げようと思えば

キャリアアップしなければならないだけです。

 

つまり高給で雇ってくれる元となる

「スキル」と「経験」があるかどうかが

シビアに問われるだけなのです。

 

これが社会の仕組みです。

20代とか、30代前半のうちは

ポテンシャルを期待されたり、

給料が高くないので

お試しで採用してみるかということはあります。

 

著者も若かかったから

何度もチャンスはあったのですけど

すべて棒に振ってしまってますね。

 

エモーショナルに寄り添えば

それは上司が悪いよね~とか

悪いのは会社だよ…とか

大丈夫、あなたは全然間違ってないとか

何とかなるよ~とか

慰めのひとつくらいは言えますけど

社会って本当に厳しいものなのですよ。

 

その厳しさが身に染みてくるのは

40代、50代、60代とか

年を取ってからです。

 

その時に…

若いうちに頑張っておけば良かったとか

もっと勉強しておけば良かったなんて

気づいたって完全に遅いのですよ。

 

誰が言ったかわかりませんが

「今だけカネだけ自分だけ」というのは

人生を壊してしまう人の特徴だと思います。

 

著者に圧倒的に欠けているのは…

・コミュニケーション能力

→ 自分から溶け込もうとしない

・中長期的な視点

→ 今しか考えていない

・社会の中で生きている実感

→ 常に自分、自分と自分のことばかり

・世の中嫌なことばかり
→ そこで踏ん張らないから嫌なことが増えていく

・キャリア戦略、人生戦略
→ 今だけ良ければそれでいい?

 

私はこのように感じたのですね。

さすがに私も社会に出てから30年以上が経って

いろ~んな方と出会ってきました。

 

著者に近い方もいましたけど

その人たちが今どのように生きているのか

著者に見せてあげたいし、

こういう内容の書籍を企画して発行した

百万年書房の社長さんにも見せてあげたい。

 

こういう情報が

どれだけの人の人生をぶち壊してしまうのか?

その責任を全く考えないのでしょうか。

 

高度経済成長期のように

日本が右肩上がりで

国全体が裕福だったらいいのでしょうけど

今はどんどん厳しくなっていて

ごく一部の人が

弱者から吸い上げて

負け組は悲惨になるばかりなのが

現実的に起きていることではないでしょうか。

 

だったら…

そうならないように…という

社会的なアナウンスが必要なのではないかと

私だったら考えます。

 

この本と出会ったことにより

未来を棒に振る人が増えないことを祈ります。

 

自分の人生ですから

決めるのは間違いなく自分自身です。

 

でも誤ったアナウンスを元にして

大事な人生を壊さないで下さい。

 

日経ビジネスWeb版によると

新しく立ち上げた中小企業が

10年後に生き残っている確率は

6.3%と言われているそうです。

10社に1社も生き残れないんですよ。

 

フリーランスだったらどうでしょうか?

私が知る限り、

結局、会社勤めに戻る人は

それなりに多いように感じます。

 

中小企業白書によると

10年後に生き残っているのは1割未満ですって。

 

本書では

取り合えず著者はフリーランスになって

めでたし、めでたし、となってますけどね

私は10年後が気になります。

 

キャリアの仕事をしてきた人間の1人として

スキルと経験を身につけるために

中長期的なキャリアプランを持ったほうがいいですよと

声を大にして言いたいですね。

 

評価

おススメ度は ★☆☆☆☆ といたします。

 

かなり厳しい評価ですが

この本を読んで

自分を慰めていたら

ちょっとこの先が心配です。

 

確かに世の中は甘くはないですが

このような生き方をしていたら

年を取れば取るほどに

窮地に陥ってしまうのではないかと

私はとても恐ろしくなりました。

 

別に仕事だけが人生ではないですし、

誰もが必死こいて仕事をするのがいいとも思いません。

 

でも昔から

働かざるもの食うべからずと言われるわけで

どうせ食うなら

健康的で、安全安心な、

美味しいものを食べたほうが良くないですか?

 

生活に満足したくないですか?

余裕を持った暮らしをしたくありませんか?

時にはちょっとした贅沢もいいんじゃないですか?

 

それなりの年齢になった時に

絶望するような人生を送るのでは

やっぱり自分自身が困るのではないでしょうか。

 

あれも嫌、これも嫌、

私は私、好きなように生きるって

最近は子供ですらしないんじゃないですか?

 

大人は自分のことは

自分で責任を取らねばなりません。

とまあ、かなり批判的な書評になりましたが

著者の文体とか、文脈は

個性的で、なおかつわかりやすく

好感が持てます。

 

転職とか、キャリアという内容以外なら

とても面白く読めそうだとも思いました。

 

それでは、また…。

 

 

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