おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
若い方を中心に
AIの活用が進んでいますね。
私自身も「ChatGPT」を利用していますし、
今後仕事上でも
様々なAIを使わざるを得なくなるのだろうなと
しみじみと感じています。
ただAIを使っていて思うのは
こちらのレベルがシビアに問われるなということです。
バカな質問をすれば
それなりの答えしか返ってこないし、
本質的でよい質問をすれば
やはりよい答えが返ってきますからね。
また現状のAIはあくまでも答えではなく
思考のきっかけとか広がりといった
補助的なツールなのだと思います。
得た知見をどこまで発展させるかは
質問者である自分が問われてしまうのですね。
哲学を学ばなきゃいかんな。
AIを使いながらそんなことを考えました。
今回ご紹介する書籍は、
【 この人を見よ 】 です。

本書をピックアップした理由
『 この人を見よ 』
ふとニーチェを読もうと思ったのです。
別に大した理由はありません。
さて、何を読むか?
やはりニーチェと言えば…
「ツァラトゥストラはかく語りき」がいいかなと思うものの
マンガは読んだし(笑)
いろいろなところで語られていますから
まずは外しました。
では「人間的な、あまりにも人間的な」とか
「道徳の系譜」や「偶像の黄昏」は
興味はあるけれども何となく気が乗らず
「善悪の彼岸」は随分昔に読んだけれども
よくわからなかったしほとんど覚えていない。
ということで
ふと思い出したのが「この人を見よ」です。
「神は死んだ!」とキリスト教を全面否定し、
「生の高揚」という
新しい道徳を説いたことで知られるニーチェが、
発狂寸前に完成させた自伝。
これだと何となく思ったのです。
私たち現代日本人にとっては
わりと知られていますけど、
何で読んだか忘れましたけど
どなたかが「あんなのニーチェじゃねえ」みたいなことを
何かの本で述べていたので
ああ、そうなんだと素直に受け止めていました。
そんなこんなでどこまで理解できるかわかりませんけど
今回は「この人を見よ」を読み始めました。
目次
序 言
なぜわたしはこんなに賢明なのか
なぜわたしはこんなに利発なのか
なぜわたしはこんなによい本を書くのか
反時代的考察
人間的な、あまりに人間的な および二つの続篇
曙 光
たのしい知識
偶像のたそがれ
ワーグナーの場合
なぜわたしは一個の運命であるのか
解 説
訳 注
感想
これがニーチェだ。
ひと言で申せば
そういう内容ですね。
オレがニーチェだ。
オレが正しいんだ。
この方は天才の1人と言って
差し支えのない人物だとは思いますけど
その天才性をいかんなく発揮できたかと問えば
少し間違った方向に進んでしまった感もあります。
そうは言ったって
200年近く経っても
こうして書籍が読まれているのですから
確実に天才と言っていいでしょう。
本書にはその天才性と
裏腹な凝り固まった思想の両面を知ることができ
私としては大変に勉強となりました。
ニーチェって
こういう人なんだなというのが
再確認することができましたし、
意外と多いですよね。
その対策を学べたとも言えるかもしれません。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
私は私自身をしっかり手中に収めていた。
私は自分自身を再度健康にした。
こんなことがやってのけられる条件は
ー心理学者なら誰でも承認しようがー
根が健康であるということなのだ。
典型的に病弱な人間は健康になることは出来ない。
ましてや自分で自分を健康にするなど思いも及ばない。
ところが、典型的に健康な人間にとっては、
反対に、病気であることが生きること、
より多量に生きることへの強力な
刺戟にさえなり得るのである。
実際こんな風に、今から考えると、
あの永かった病苦の時代が私には偲ばれて来る。
私は生をいわば新しく発見したのである。
勿論、私自身の生をも含めて。
(P.19)
こんなことを言いながら
本書執筆後に発狂してしまったのですから
ニーチェらしいと言いますか、
やはり天才というのは
才能がベッタリ張り付いているだけではなく、
何かが大きく欠けているのだなと
そんなことを考えてしまいますね。
例えば「同権」という概念に馴染まないように、
「報復」という概念もぴんと来ないものだが、
私はそういう人に似ていて、
大小を問わずともあれ愚行が自分に加えられた場合に、
私はそれに対するいかなる対抗策も、
いかなる防衛策もー
そして当然なことだが、
いかなる弁明も、いかなる「釈明」も、
自分で自分に禁止しているのである。
私流の報復といえば、
相手から受けた愚劣に対して
できるだけ素早く
何らかの鋭利さを送り届けてやることにほかならない。
(P.27)
う~ん、粘着質…。
もしニーチェが現代に生きていたら
かなりの厄介者かもしれません。
いや当時でも充分厄介な存在だったのかもしれませんが
X(旧twitter)ではブロックされまくりそう(笑)。
ドイツの息がかかると、
文化は駄目になるのだ。
(P.52)
ニーチェが反キリストの立場であり
アンチドイツでドイツが嫌いというのは
うっすらと理解していましたが、
本書においても遺憾なく発揮されています。
ニーチェの主張を読んでも
どうも理解がしにくいのだけど、
誰かを毛嫌いするというのは
意外と天才に共通している特性のようにも思います。
ま、良くも悪くもですけど。
大袈裟な言葉、大仰な身振りには用心した方がいい!
本能が余りに早く「自己を知る」ことは、
危険以外の何ものでもないのだ。
ーーうかうかしている間に、
意識の全表面を組織化し、
いずれは意識を支配すべく使命づけられている「理念」が、
意識の深層において
次第次第に成長するようになるであろう。
ーそうなると「理念」は命令し始める。
「理念」は個々の性質や才能を、
徐々に横道や脇道から正道へと連れ戻して、
ある準備を施すのだが、
これらの性質や才能はやがて全体のための
なくてはならぬ手段であることが判明してくる。
ー「理念」は自らのために役立つ能力を次々と育て上げ、
しかる後、それらを用いて自己の主導的課題である
「目標」や「目的」や「意味」について
何事かを打ち明けるに至るのである。
(P.66~67)
なぜ生きるの?
なぜ働くの?
なぜ学ぶの?
こういったシンプルな問いに
自分なりの答えを出せない大人は
幼稚であると言わざるを得ません。
別にそれが致命的に悪いとは思わないけど
知らないよりは知っておいたほうがいいかなと。
なぜならここって人間か?生物か?の
厳格な分岐点ではないでしょうか?
生物だし、人間なんだけど
より人間らしく生きようと思えば
こういった哲学とは上手に付き合わねばなりません。
そういうプロセスを経ることが
「大人」ってやつではないかな。
カネカネカネとか言ってる奴は
蜜蜂が蜜を探して彷徨ったり
ライオンが獲物を探し続けているのと
同レベルのように思います。
私は、私というものを取り違えて貰いたくないのである。
ーそのためには、私が自分自身を取り違えないことが
まずもって必要である。ー
前にも言ったことだが、
私の生涯において、
人から「悪意」を向けられたためしがほとんどない。
「悪意」ある批評を書かれた場合も
ほとんど挙げることが出来ないくらいだ。
これに反し、私の書いたものは
まるっきり分らんという愚純ならいくらもいるのだが。
・・・誰かが私の本を一冊手に取るだけで、
それは彼が自らに与えることのできる
最も稀有な光栄の一つであると私には思われる。
(中略)
私はこれほどの距離感を抱いている以上、
どうして自分が知り抜いているあの「近代人」たちから
ー読まれることを願うはずがあり得るだろう!^
私の勝利はショーペンハウアーのそれとは正反対なのだ。
ーすなわち「今も読まれず、かつ将来も読まれず」なのだと
言っておきたい。
(P.74)
何となくですけど
そして天才というのは孤高であり
孤高だからこそ天才と言われるようにも思います。
私たちももう少しそうあってもいいかもしれません。
仮に天才にはなれなくても。
自分の人生に主導権を握る。
自分らしさ、自分ならでは。
あの頃私の本能は、
断乎としてもうこれ以上譲歩を重ねたりはすまい、
他人の意向に合わせたりはすまい、
自分で自分を取り違えるようなことは
もう止めようと決心した。
どんな種類の生活だって、
たとえこのうえなく不利な条件、病気、貧困であっても
ー例の不甲斐ない「自己喪失」に比べれば、
まだしもましだと私には思われた。
「自己喪失」に私が陥ったのは、
最初は無知と若さのせいであった。
その後は惰性といわゆる「義務感」のために、
ずるずるとこの状態にかまけていた。
(P.117)
自己喪失したまま生きている人は
昔も今も多いかもしれません。
そしてそれに無自覚な人も多そうです。
それでいいなら
それもひとつの生き方ですが、
もし疑問を感じるのであれば
なぜそうなのか?
どうすれば脱却できるか?は
考えたほうがよいかもしれませんね。
だってそれが人生だもの。
善人は決して真理を語らない。
偽りの岸辺と偽りの安全場所を君たちに教えたのは、
善人たちであった。
君たちは善人たちの嘘の中で生まれ、
その中に匿われてきた。
いっさいは善人たちによって、
底の底まで偽わられ、
捻じ曲げられている。
(P.183)
これはニーチェが
ツァラトゥストラに語らせているところですが
これこそがニーチェの真骨頂であり
気を狂わせてしまった要因かと思います。
ある一面ではそうなのですけど
それだけではないはずです。
どうしてニーチェは
ここまで頑なになってしまったのかなあ。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
面白かった。
思っていたよりは難しくなかった。
そして本書を読んで良かった。
ニーチェの思想がよくわかりました。
良い面も悪い面も。
当初思い描いていた目的は果たせたので
わりと満足しています。
本当のニーチェを知りたい方には
ここから手を出すのも良いかもしれません。
それでは、また…。
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