ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

大政奉還 徳川慶喜

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

よく言われることですが、

政治、宗教、野球の話しはするなと

営業の世界ではNGとされています。

 

イデオロギーや支持する政治家、政党、

信仰する教義教団、

贔屓のプロ野球チームなどは

人それぞれですから

話題に出すのは控えたほうがいいということですね。

 

それは百も承知の上でなんですが、

我が国の政治はいかがなものでしょうか?

 

別に特定の政治家に対して

あーだこーだ言うつもりはありませんし、

私はノンポリなので

特別な支持政党もありません。

 

ただこれだけ日本経済が悪化していて

国民の生活は厳しくなるばかりですよね。

 

恐ろしいのは、

それでも自分たちのやってきたことを

全面的に正しいと強弁し、

悪びれるところが皆無なことです。

 

これは与党も野党も、どの政党も、

ほとんどの政治家も同じように見えます。

 

そしてこのままだと何も変わらないでしょうし、

むしろ悪化するばかりのように思えるのですね。

 

歴史を振り返ってみると

江戸時代の末期が近いでしょうか。

 

幕府は完全に機能せずに

何をしても失策続き。

 

時代を読み違えていて

変わるということが一向にできない。

 

挙句の果てには強権を奮っても

まったく意図する方向には動かずに

むしろ舐められる一方だったわけですね。

 

もちろんやりようはあったと思いますけど

失策に継ぐ失策を繰り返し、

大名たちだけでなく、

下級武士にすら愛想を付かされてしまったのです。

 

その結果が大政奉還です。

 

この頃とはあまりにも多くの環境が異なりますけど

政治が機能しておらず、

全くアテにならない現状のなか、

正直、野党が政権を握っても

あんまり期待もできないので

致し方なく与党を支持せざるを得ない。

 

いや支持するどころか、

消去法でいかんともしがたく…という状況ですよね。

 

こうなるともう抜本的な改革が必要と言えるかもしれません。

いや、今やらないと、このまま先進国からすべり落ち、

後世が困ることになりかねません。

 

現代版の大政奉還が必要ではないでしょうか?

 

これ、私の敬愛する内田樹さんが

何度か著書で述べています。

 

なるほど!と私も膝を打ったわけですが、

もうひとつ、廃藩置県の逆バージョン、

廃県置藩も提唱されています。

 

都道府県よりも大きい道州制

以前から話題になっていますけど、

むしろ自治体の単位を小さくしたほうが

地場にあった展開が実現できるかもしれません。

 

まあ歴史に「もし」なんてありませんし、

実際にやろうというムーブメントが起こるとも思えませんが、

今の政治家や官僚などのエリートにはない発想だと思います。

 

えっと前置きが長くなりましたけど、

大政奉還「的」な動きを起こして

今の政治制度自体をガラリと変えるというのは

あってもよいのではないかと私も考えているのです。

 

私ごときが考えたところで

何も起こらないんですけどね、

でも、現状維持ではマズイと心底思いますし、

この点に賛成してくれる人は

思いのほか多いんじゃないでしょうか。

 

と、いうわけで…

 

今回ご紹介する書籍は、

【 大政奉還 徳川慶喜 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

大政奉還 徳川慶喜 』

童門冬二 人物文庫 を読みました。

 

まえがきで、グダグダ述べてしまいましたけど

このままではマズイという危機感は

多くの人が持っていらっしゃると思います。

 

本来なら、政権を握る人たちが

率先垂範して未来のために改革を実行すべきですが、

もうだいぶお年を召していますし、

庶民の生活なんて想像もできないでしょうし、

世界情勢への対応も後手後手に回るばかりですし、

財務省や日銀、経産省も含めて

この人たちに日本経済を任せていたらダメだと思いますし、

コロナ対策も付け焼き刃な感じですし、

どう考えても「ご一新」のようなものが

必要なのではないかと思うわけです。

 

そうしましたら、たまたまですけど、

Amazonが本書を私におススメしてきたのです。

 

よく見たら私の好きな人物文庫じゃないですか。

しかも著者は童門冬二さん。

 

これは読まなきゃアカンどころか、

読まない理由がないと強く感じたのです。

まさに神の思し召しかと…。

 

2秒後にはポチっとしまして、

自宅に届き次第にすぐに読み始めたのでした。

 

目次

・二〇〇〇日目の決断

慶喜とブレーンの討論

・各方面の反応

・討幕派の密謀

慶喜登場の遠因はペリー来航

阿部正弘の幕政公開

・将軍の跡継ぎ問題

保革連合政権と慶喜

・日本の主権者は誰なのか

井伊直弼の権謀術数

安政の大獄

和宮降嫁で公武合体

・政局は江戸から京都へ ー島津久光の登場

・勅使の江戸城殴り込み

将軍後見職慶喜の初仕事

・大政委任論争

慶喜のみた京都政局

江戸城で孤立

公武合体派の巻き返し

天皇直属の大名連合

慶喜の正念場

慶喜の決断

島津久光の野望をくじく

慶喜のブレーンたち

薩摩藩の急旋回

天狗党処分

・最後の将軍としての苦闘

・エピローグ ー慶喜と国際情勢

 

感想

ふむふむ。

大政奉還に至る経緯が非常にわかりやすく書かれています。

さすが童門冬二さんですね。

 

だいたいこの人物文庫というシリーズは

人物文庫ですから「人物」に焦点を当てていますし、

副題があっても「人物」名のあとに付くパターンが多いです。

 

しかし本作品は主要テーマが「大政奉還」であり、

その中心人物である徳川慶喜が後にきています。

 

おそらく出版社としては

徳川慶喜 大政奉還じゃダメですか?と

童門さんに何度も確認したんじゃないかと思うのです。

 

しかし童門さんは首を縦に振らずに

あくまでも 大政奉還 徳川慶喜 と

頑固に押し通したんじゃないかと

勝手に想像しますが、

意外とその通りのような気もします。

 

確かに主人公は?と問われれば

徳川慶喜と言わざるを得ないのですけど、

とにかく大政奉還が行われたプロセスと考えると

実に様々な人物が登場するわけですし

老中の阿部正弘島津斉彬という

非常に実力と魅力を持った人物が関わってきていますし、

井伊直弼安政の大獄なども

大政奉還に至るには必須の出来事だったとも言えそうです。

 

どうしても明治維新というと

西郷隆盛大久保利通桂小五郎坂本龍馬など

江戸時代では下級武士であった若手の活躍に

スポットが当たることが多いですが、

本書はここにはあまり触れません。

 

メインテーマは大政奉還なのです。

 

一応、歴史好きを広言している私ですし

特に明治維新前後は好きな時代でもありますし、

魅力的な人物も目白押しですから

それなりの知識は持っているつもりです。

 

また私は無類の西郷好きでもありますので、

どうしても薩摩藩であったり、

西郷を中心とした歴史を見てしまいがちです。

 

あとは新選組ですね、

近藤や土方、沖田なども好きなんで

ついそっちに意識が向いてしまうのですが、

本書は大政奉還であり、徳川慶喜です。

 

ある意味ではこのように絞ってくれたのは

とてもわかりやすくて有難いです。

 

通史という点では

ある程度頭に入っておりましたが、

それがどのように徳川慶喜に影響を与えて

大政奉還に結びついたのか?

 

それがわかったのは本書の利点です。

 

正直、徳川慶喜

まあ将軍になる前は一橋慶喜ですけど

この方のパーソナリティって

非常に複雑でわかりにくいので

それがなぜなのかも多少理解できました。

 

御三家のなかの水戸藩の位置づけ、

徳川斉昭という父親の個性と思惑、

こういった出自を知ることにより

何となく慶喜の人格や性格にも影響はあったのがわかります。

 

没落期にあった徳川幕府とは対照的に

朝廷及び薩長は現状打破への思いが強く、

あんまり品のいいことをしない下級武士が力を持ち

岩倉具視のような狡賢い公家と連携したことから

勢いがグンと増したという側面もあったのでしょう。

 

これはもう必然というか

運命のようなものであって、

同じ環境、同じ背景、同じ人物たちが

もう1度同じことをやってみろと言われても、

たぶん実現できないのではないでしょうか。

 

逆に徳川慶喜がもう1度同じ時代に生きたら

もしかしたら上手く立ち回って

江戸幕府を存続させたかもしれません。

その可能性は大きいように感じます。

 

それがよいのかはわかりませんし、

明治維新がなければ

諸外国にいいようにやられたかもしれませんから

何だか微妙ではあります。

 

ただ本書を読むことによって

大政奉還というイチ出来事に対して、

しっかり整理をした形で知識を得られましたので

その点は良かったなと思います。

 

ちなみに読み物としては秀逸です。

ストーリー展開も早く、

登場人物たちの行動の理由がわかるので

非常に面白く読めました。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

さて、大政奉還を学んで、

時の将軍、徳川慶喜を詳しく知り、

現在の日本が大政奉還をするべきか否か。

 

いやいやそんなの一緒にできるわけがありませんし、

天皇陛下だってさすがに困るでしょう。

 

陛下の元に切れ者の人がいて、

政治のグランドデザインを新しく描き直し、

国民に夢と希望を持たせることができるならば

そんな可能性があってもいいとは思いますけど

まあやっぱり現実的ではないですね。

 

ただ何でしょうね、

今のこの閉塞感が強い時代。

 

若者が夢や希望を失い、

悶々と生きざるを得ない時代を考えると

このままじゃマズイという思いは強くなるばかりです。

 

少なくとも政権与党が

同じ危機感を感じてくれているならいいですが、

政権維持以外の目的を持っているようには思えず

また野党も政権奪取以外の目的は持っておらず

このまんまじゃヤバいという思いだけが募るばかりです。

 

どなたか、私の考えていることに

よくわかるぞ~、自分も同じようなことを思ってるぞ、

そんな方はいらっしゃいますでしょうか?

 

賢者は歴史に学ぶと言われますし、

一応、歴史から学んでみましたが

ご一新が必要じゃね?という考えは

強くなるばかりです。

 

それでは、また…。

 

 

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