ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

勇気論

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

どう生きるか?

本当に難しい時代ですけど

上手く生きている人がいるだけに

やりようはあるのだろうなと思います。

 

絶望したり

他責にして文句を述べるのではなくて

まずはその「術」を学ぶべきですよね。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 勇気論 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 勇気論 』

内田 樹 集英社 を読みました。

 

いまの日本人に一番足りないもの。

いったい何ですかね~。

そんな簡単に決められますかね?

 

あら、内田さんは決めちゃいました。

「勇気論」

おお、果たしてどんなものか

「超」楽しみに読み始めました。

 

目次

1通目の手紙 勇気とはいったい、

       何なのでしょうか?

1通目の返信 かつて勇気に続く徳目は

       「正直と親切」でした。

 

2通目の手紙 勇気は、

       狂気と関係あるのでしょうか?

2通目の返信 孔子は、

       「勇気があれば敗けることができる」と言いました。

 

3通目の手紙 「ネクタイ締めてるやつは信用するなよ」と

       父に言われたのですが…。

3通目の返信 「信用できる人間」の見極めは死活問題です。

 

4通目の手紙 職員室に呼び出された記憶を思い出しました。

4通目の返信 ルールよりも直感に従うこと。

       味わい深いエピソードですね。

 

5通目の手紙 きっかけはユーミンでした。

5通目の手紙 その2 「勇気前」と「勇気後」で、

           見える世界が変わりますね。

5通目の返信 僕は、無言の圧力に耐えて朗らかに笑う

       大瀧詠一に感動しました。

5通目の返信 その2 知性は、

           問いに触れることで活性化するのです。

 

6通目の手紙 「勇気がなくなった時代」に

       何が起こっているのでしょうか?

6通目の返信 日本人は「意地悪」になりました。

 

7通目の手紙 社会を意地悪でなくする方法とは何でしょうか?

7通目の返信 正直であるためには、

       知性的・感情的な成熟が必要です。

7通目の返信 その2 正直であるためには、

           自分から離れることが必要になります。

7通目の返信 その3 親切とは、「惻隠の心」。

           考えちゃダメなんです。

 

8通目の手紙 高い報酬を得るためには、

       人が嫌がる仕事をやる必要があるのでしょうか?

8通目の返信 感受性を鈍くする生き方は自滅的です。

 

9通めの手紙 勇気という言葉に反応した自分は

       「不安」だったのかも知れません。

9通目の返信 最後に、「勇気」の意味を調べてみましょう。

 

感想

本書は2024年に発行されたばかりのようですが

内田さんの場合は次から次へと最新作が出るので

なかなか追い付かないのが現実です。

 

この〇〇論シリーズは

私の性に合っているのか

いつも楽しく読ませていただいておりますので

本書の存在を知った時には

即ポチっとしまして

かなりの期待感を持って読み始めたのですが

大きな期待にしっかりと応えて下さいました。

 

実に勉強になりましたし、

自分の視野が広がったような気がします。

 

勇気論と題して

勇気をテーマにはしていますけど

案の定、あちこちに脱線して

でもそれが非常に面白いのです。

 

言ってみれば

生存戦略を学ぶ本ですし、

生き方、考え方の秘訣が手に入りますし、

人生とは何か?

生きるとはどういうことか?が

理解できる素晴らしい内容でした。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

勇気というのは

孤立を恐れないということだと思います。

自分が「正しい」と思ったことは、

周りが「違う」と言っても譲らない。

自分が「やるべき」だと思ったことは、

周りが「やめろ」と言っても止めない。

(P.21~22)

 

まず最初の勇気論です。

ここから話しは大いに発展していきますが、

基礎として取り上げられました。

 

この文章を読んだ時、

あれ、オレ、勇気あるかも?

全然孤立で構わんわ…とか思っちゃいました(笑)

 

「信用できる人間かどうかは、

 その人物の地位や学歴とは関係がない。

 哲学を持っていない人間を信用するな」

(P.63)

 

これは内田さんのお父さんのお言葉ですが、

ここで「哲学」が出てくるんだ…という点が

私は物凄く共感できました。

 

どんな「哲学」でも構いませんが

「哲学」がない人を私は信用できないのです。

これも勇気論かな?

 

いまの日本では、

家庭教育でも学校教育でも

「人を見る目」を養うということは

優先的な課題ではありません。

少なくとも、僕は親たちからも

教育現場の人たちの誰からも

「人を見る目を養う」ことが

教育目標の一つであるという言明を

聴いた覚えがありません。

でも、「人を見る目」を養うというのは、

ものすごくたいせつなことだと思いませんか?

(P.68)

 

はい、私はとても大切だと思います。

 

結局、人を見る目がないから

詐欺に引っ掛かったり

私たちの暮らしを悪化させる人たちに

権力を与えてしまったり、

自分で自分の首を絞めることになるのですよね。

 

全てを防ぐことはできないとしても

もう少し人を見る目があったら…と

私は思うことが度々あるのですが

皆様はいかがでしょうか?

 

ここに勇気の本質が集約されているとか、

すべてが表現されているという意味ではなくて、

この一文と突き合わせることで、

勇気とは何かについて、

とても一言では言えないという

気分になってくるからです。

それでいいんです。

それがいいんです。

ほんとうに大切な概念というのは

「とても一言では言えない」ものです。

だから、それについて語り続けなければならない。

(P.86)

 

本当にそうだなと思います。

簡単に答えの出るものに

それほど大きな価値はないんじゃないかと。

 

逆に本当に価値のあるものは

そんなに簡単に手に入らないのではないでしょうか。

だから何度も何度も問い続けると。

 

わからないものは

わかるまでしっかり保留するという姿勢も

きっと大事ですよね。

 

勇敢なふるまいというのは、

明文化されたルールや

「なすべきことのリスト」に従うことではなくて、

集団の一員として

自分が何をすべきかわからなくなった時に、

直感に導かれるままに

集合的無意識に根差す知恵」に

従うことだからです。

たぶんそうだと思います。

(P.91)

 

これは勘違いしてはいけないのは

何でも直感で動けばいいというものではなく、

人格に優れていたり

しっかりした人物像であったり、

こういう人は日常的に学び

自らを磨き続けているから

直感がだいたい正しいという

前提付きではないでしょうか。

 

それが集団への貢献なのだと思います。

 

本当に何かを望んだ時

宇宙のすべてが協力して

夢の実現を助けてくれる

(P.97)

 

パウロ・コエーリョ

アルケミスト」の一文だそうですが、

確かに何となくわかる気がします。

 

逆に言うと

そこまで強く望まないと

なかなか幸運はやって来ないのですよね。

 

まったく未知の状況に投じられて、

全知全能をあげて

その状況を生き延びなければならない。

そういう場合に必要なのは

未知の状況にも対処できる機能ですよね。

「どうしていいかわからない時に、

 どうしていいかわかる」ことですよね。

「どうしていいかわかる時には正しい行動をとるが、

 どうしていいかわからない場合にはフリーズする」という

個体では危機的状況を生き延びられません。

人類は誕生してからずっと

「どうやったら知性の活動は最も活性化するか」ということを

生存戦略上の最優先事項にしてきたのだと僕は思います。

「どうしていいかわからない時にも

 どうしていいかわかる」

「答えを知らない問いについても

 だいたいの当たりをつけられる」ということが

最優先に開発すべき能力だったはずです。

(P.110)

 

少し長いですが

とても大事なことと思い全文ご紹介しました。

 

どうしていいかわからない時に

安易に答えを求めたり、

逆ギレして自己崩壊してはいけませんよね。

 

どうしていいかわからない時に

何を考え、どう振る舞うのか。

 

究極的にその人が問われるのではないでしょうか。

まさに生存戦略ですよね。

 

1 犬も歩けば棒に当たる

2 毒を食らわば皿まで

3 駄目でもともと

(P.122~123)

 

これ、アルファレコードの村井社長が

社是を作ろうとして出したものなのだそうです。

 

凄くないですか?

私もこういうシンプルで

何をすればいいのかが明確な方針を

是非とも打ち出したいと思いました。

 

「嘘をつかない方がいいよ」というのは、

人類が長い経験から、

嘘をつく人は成熟しないということを

学び知ったからだと思います。

嘘をつく人間は話がわかりやすくなる。

当たり前ですね。

人を騙そうというんですから、

わかりにくい話じゃ始まらない。

(P.161)

 

確かに…と思いました。

嘘をつく人って

要は勇気がないのでしょうね。

正義を貫くという…。

 

なぜ、成熟が求められるのか。

それは未熟な人は集団を危険にさらすからです。

ご本人が未熟なせいで危機的状況を

うまく生き延びることができないのは、

「自己責任」で済ませることができますが、

たった一人のメンバーが未熟なせいで

集団ごと滅びるということだってあり得ます。

(P.162)

 

だからリーダーやマネージャーや

トップマネジメントは

自分を磨き続けねばならないのですよね。

 

無能なトップが組織を壊す事例なんて

いくらでもありますからね。

 

親切とは

「小さな声に気づくこと」

(P.200)

 

ただただスゴイ。

まさにその通り。

 

彼はコンサルは人が嫌がる仕事をやっているから

高報酬がもらえるんだと、

ビジネスの肝はそこになると主張するんです。

(P.201)

 

う~ん、どうでしょうか?

実際のコンサルをしている私としては

この人はコンサルじゃないと思ってしまいました。

 

確かに人の嫌がることをしてあげるとか、

人が面倒くさいこととか

人が気づいていないことに気づくとか

そういうことをして欲しいと

フィーを支払ってでもお願いしたいと思う人は

決して少なくないと思います。

 

でもそれって価値でしょうか?

いやある種の価値ではあるものの

その仕事はブルシットジョブではないでしょうか?

 

あくまでも「人」の未来を

より良くするために存在するのがコンサルです。

 

プレゼンが上手いとか

最新のツールを使いこなすとか

そんなのは後の話し。

 

そこにやり甲斐や、生き甲斐や、

働き甲斐はあるのか?

 

コンサルが世の中に不要な仕事となるか

必要とされるようになるか、

その瀬戸際であるように感じました。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

もうさすが内田さんのひと言です。

内田さんの著書は

相当に読み込んできたつもりですが、

もっと読みたい、

まだまだ学びたいと

素直に思える最高の1冊でした。

 

それでは、また…。

 

 

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