おはようございます。
医師の転職、開業を
ご検討している方々へお役に立ちたい
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「医学は科学ではない」
米山 公啓 ちくま書房 を読みました。
ちょっと古い本(2005年10月)なのですが
タイトルに惹かれて読んでみました。
米山公啓氏の本は
何冊か読んでおりますので、
安易な医療否定本ではないだろうと思い、
わりとワクワクしながら読み始めました。
結果、非常に勉強になりました。
昨今は、医療従事者にとって
困難な時代のように感じています。
そしてその原因は
我々一般の人々、
つまり患者側にもあると私は考えています。
本書は医師から見ると
反論したくなる箇所が多いのではないかと思いますが、
それは現代医療にメスを入れているからとも
言えるように思いました。
医療に手厳しい面もあれば、
医療を守ろうともしている。
これが著者のスタンスではないかと感じたのです。
そして患者側に対しても
非常に冷静かつ客観的な考察をしています。
なぜ医療に完全を求めるようになったのか?
健康食品や
代替医療に流されてしまう患者の
心理状況や事情。
医療に対する患者側の不信や不満。
そういったものを
実に鋭く分析しております。
正直、私はここまで客観的になれるのは
スゴイなと思うほどでした。
かなりわかってくれている感を持ちました。
で、本書のタイトルですが…
「医学は科学ではない」
この言葉に医師や医療従事者は
どんな反応を示すのでしょうか?
そりゃそうだろ…という方もいれば、
こういう事を言う輩がいるから
医学が誤解される…というような方も
いらっしゃるんですかね?
著者は、医療は対象である
1人1人によって
同じ病気でも症状が異なるし、
プラシーボ効果などを見ても、
医学がすべて科学だとは言いきれないという
スタンスです。
難しい事は私にはわかりませんが、
医学は科学的な部分もあり、
非科学的な部分もあるというのが
正解ではないかと私も考えておりますので、
著者の主張は賛同できます。
ただ専門家から見ると
根拠に甘さがあったりはするのだろうなとも
思ってはいます。
著者は医学は科学ではないと言いつつも、
全く非科学的だとは当然考えておりませんし
むしろ患者側としては非常に理解しやすい、
受け入れやすい主張をしているように感じました。
端的に言うと、
「医師の尊厳は保ちつつも」
「医療技術を万能と考えることなく」
「患者の自然治癒力に謙虚な態度で臨む医師」
を著者は理想像としているのではないでしょうか?
これは今後の医療を見つめるうえでの
重要な指針になる考え方かもしれません。
医学が科学でなくとも、
医学の価値は変わらないと思います。
いやむしろ科学だけではなく、
非科学的な部分もあるからこそ、
医学ってのは
一生を掛けて学び続ける
価値があるのではないでしょうか?
人間のすごさ、深さ、不思議さ。
そういったものには
謙虚であり続けなければいけないのだろうなと
思った次第です。
最後に目次をご紹介します。
第1章 統計学が医学なのか
第2章 医学は芸術だった
第3章 医者は科学的根拠で治療しているか
第4章 人間的だからこそ科学ではない
第5章 医学を科学と誤解する人たち
第6章 患者は医療に何を求めるのか
第7章 健康食品と代替医療
第8章 医学をどう考えるべきか
おススメ度は ★★★★★ と致します。
医療従事者だけでなく、
是非一般の方にも読んで欲しい1冊です。
名医や有名病院を探したりするのもいいですが、
本書を読めば医療に対して
どういう姿勢で、
どういう考え方を持つべきかが
理解できるのではないかと思うからです。
何事も根本的な土台が
しっかりしていないといけませんよね。
全国民が本書を読んだら、
日本の医療は
相当に良い方向に進むのではないかと思いました。
それでは、また…。
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