ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

極北クレイマー

 

おはようございます。

 

医師、看護師の転職パートナーの

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「極北クレイマー」

海堂 尊 朝日文庫 を読みました。

 

医師臨床現場クレーマー

 

最近小説を読んでいないなあ…と思い

手に取った本書。

 

さすがの海堂作品でした!

 

海堂作品は結構久しぶりだな~という感じで

読み始めたのですが、

あっという間に引き込まれましたね。

 

今作品は、

地域医療の現状を

著者なりに広く伝えたいという

意図があったと思うのですが、

そこに福島県立大野病院の事件や、

夕張市財政破綻など、

現実に起きた問題を想像させながらも、

地域医療の行く末を問題提起した内容です。

 

読み進めていくうちに

段々とクライマックスに近づいている感が出てきて

さあいつ白鳥が出てくるんだ?

なんてドキドキしながら

ページをめくっていった訳ですが、

白鳥は登場せず、

後半は若干物足りなさを感じる部分もありました。

 

ですが、それは地域医療をテーマに掲げている以上、

致し方ないのかもしれません。

 

ドキドキワクワクハッピーエンド…ってな訳には

性質上いかないでしょうからね…。

 

むしろあれれ?と思わせるのが

著者の意図なのかもしれないと感じました。

 

地域医療って、

ある意味では日常でありますから

読者に考えさせるべき問題ですもんね。

 

ただ、司法と医療のせめぎ合いや

官僚の無策や無責任さなど、

全体を通して考えると、

非常に読み応えのある作品でした。

 

終盤に新しく院長に就任した世良先生に

海堂さんはこう語らせました。

 

「地獄の逸話をご存知ですか。

 地獄にはご馳走があり、長い箸が用意されている。

 それは長すぎて、自分の口に入れられない。

 だから亡者たちは、

 目の前に食べ物があるのに、

 飢えて争う。

 これが地獄です。

 天国は地獄の隣にある。

 天国にもご馳走があり、

 地獄と同じように長い箸が用意されている。

 そう、実は天国は地獄と変わらない。」

 

「天国では、

 長い箸で他人に食べさせてあげている。

 そして自分も他人に食べさせてもらう。

 地獄の亡者は自分のことしか考えない。

 だからご馳走を前にして飢えて争う。

 医療崩壊を騒ぎたてるのは、

 刺戟ばかり求めてさまよう地獄の亡者が成す宿業だ。

 私たちはみんな天国にいる。

 ただ気づいていないだけだ。」

 

医療の問題は、

医療従事者だけの問題ではありません。

 

私たち1人1人の患者の問題でもあります。

 

自分だけは…とか、

自分の家族だけは…という

勝手な考えをする人が増えれば増えるほど

医療崩壊は進んでしまうのでしょう。

 

元々日本人が持っていた美徳。

相互扶助、譲り合い、感謝。

 

そういったものが根底にないと、

私たちはまさに自分の首を

自分で締めてしまうという

愚を犯してしまいます。

 

メディアの問題も大きいですし、著者も、

「メディアはいつもそうだ。

 白か黒かの二者択一。

 そんなあなたたちが世の中を

 クレイマーだらけにしているのに、

 まだ気付かないのか。」

と言わせていますが、

結局質の低いメディアに

私たちは踊らされてしまっている訳で、

やはり私たち自身が、

自分中心、自分だけは…という考えを捨て、

相手の為に、社会の為に、思考し、

行動を起こす事が必要なのだろうなと強く思いました。

 

おススメ度は ★★★★★ と満点と致します。

 

過去の海堂作品とは若干趣が違いますが、

それもまた良し!と思いました。

 

それでは、また…。

 

 

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