ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

中年以後

 

おはようございます。

 

医師の人生設計をベースにして

キャリアプランを元に転職や開業をご支援する

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

中年…。

いつの間にやら

私もそういう年代に突入していました(笑)。

 

でも中年って悪い事ばかりではないし、

そもそも年を重ねるという事は

マイナス面よりも

プラス面の方が大きいと思うんです。

 

本日のブログのタイトルは、

『 中年以後 』 といたしました。

 

ベテラン医師転職

 

 

本書をピックアップした理由

『 中年以後 』

曽野 綾子 光文社文庫 を読みました。

 

私は現在48歳なのですが、

4月生まれですのでもうすぐ49歳になります。

 

おお…50歳も目前か…という事で

思う事がいろいろありまして…(苦笑)。

 

敦盛ではないですが、

人間五十年 下天の内をくらぶれば

夢幻の如くなり

一度生を得て 滅せぬもののあるべきか

ふむ…どう考えても

人生の折り返し点は過ぎてる訳で…。

 

後半戦をどう生きるか?

いろいろ考えているんです。

 

不惑の年代を超えて

天命を知る年代に突入する訳ですからね。

 

そんな中、好きな作家の1人である

曽野綾子さんの「中年以後」という著書を見つけました。

 

これはきっと参考になるのだろうと期待して

読み始めたのでした。

 

目次

・ただ人間だけがいるーこの世には神も悪魔もいないことを知る頃

・許しと受容の時ー出自の部分で受けた毒気を自ら抜く

・桜の精の悪戯ー中年以後にしか人生は熟さない

・正義など何ほどのことかー横軸で働く正義よりも、縦軸の慈悲

・今日は、私ー醜いこと、惨めなことにも手応えある人生

・大皿は入れたものをすぐ冷やすーほんとうの人生の価値判断を完成する

・土の器を楽しむー失うことを受け入れる準備

・時の変質ー妻が見慣れた家具のようになる

・達人の条件ー死ぬまでにしておきたいことのためのお金

・親を背負う子ー一見損な役回りをかってでられるか

・読まれなかった日記ー自分史に人への恨みは書くな

・固い顔も和らげるー算数通りにならない人生

・親しい他人ー子供がいる、という寂しさ悲しさ

・ロンドンの街角でー年月を経た自然の出会い

・価値観の交差点ー体力の線が下降、精神の線は上昇

・禁欲と享楽ー組織を愛するなんて幼稚な感情

・立ち去る年長者ー私も同じような罪を犯しました

・風の中の一本の老木ー末席の楽しさを知る

・いなくてもいい人、の幸福ー田園に帰ればいい

・危機はそこにあるー現実を信じず、悪いことを予測する

・憎しみも人を救うー常識的迷惑は避けるのがいい

・誠実の配分ーあちら立てれば、こちら立たず

・吹き溜まりの楽しさー自分の手に余ることがない範囲

・人間を止めない人ー徳のある人になること

 

感想

こんな事を申し上げると

曽野さんファンに叱られそうですが、

率直に言って想像していた以上に

人生の後半について

考えるヒントが散りばめられていました。

 

中年を揶揄する訳ではなく、

中年へのエールとアドバイスが本書の目的です。

 

いや~私は出会えて良かった…と

素直に思えた良書でした。

 

3か所だけ私がグッと来た所をご紹介します。

 

中年になって初めて人間はほんとうに欲しいものがわかる。

自発的に何かをしようとする。

若い時には、

自発的に選ぶなどという高級なことはとてもできない。

すべて時間稼ぎのモラトリアムである。

何になりたいのか、何になれるのか、

どちらもわからないから、

取りあえずちょっとしてみたいと思うことを学んでおいて、

それで食おう、という程度のいい加減な選択である。

 

これなどは私も若い時に読んだらムッとするでしょうが、

今ならそうかもしれない…と共感できます。

 

だからこそ中年は責任者になるのだと思います。

さて次ですが…

 

来る者は拒まず、去る者は追わず、

与えられるものは感謝して受け、

しかし与えられなくても文句を言わず、

こちらが与えられる立場に置かれたら法外な幸運と思って感謝し、

慎ましい生活を爽やかに思い、

すべてのものの存在をどんなに小さいものでもいとおしみ、

天地の美しさを思い切り賛美し、

栄耀栄華を幻と思い眺め楽しみ、

健康も病苦も人生の最後の彩りと思えることだろう。

 

これくらいの達観を知るのは

中年以後だと思います。

 

しかし現代社会では

中年以後のクレーマーの多いこと…。

トホホ…と言いたい所ですが、

結局は知性と教養に欠けて

幼稚だという事なのでしょうね…。

最後に…

 

中年以後、多くの人たちはますます自分が組織の中心にいる、

と思うようになる。

事実、年を取ると共に、人はその部の責任者になり、

会社を代表する立場の1人になり、

村を運営するさまざまな組織の顔役になる。

その中には、実際に「余人をもって換えがたい」

特殊な技能、知識、人脈の中心にいることになる人も出て来る。

自信を持つのはいいのだ。

しかし人間の意識は常に分裂する必要がある。

自信を持ちつつ、世間の一切のことは、流動的だ、

という自覚を持つことが必要なのである。

自信を持ちつつ、自信を持たないということが重要だ、

などというのはむずかしいことかもしれない。

しかし人生も人も嵐のように過ぎ去るものなのである。

 

中年以後の生き方は

人として成熟しておかないと

かなり大きなリスクを

背負う事になるような気がします。

 

中年以後の失敗は

若い頃とは違って取り戻せません。

 

自分をなくてはならない人だと思った瞬間に

坂を転げ始めてしまうのかもしれませんね…。

 

抜粋なので前後の文章を知らないと

誤解してしまうかもしれません。

 

でも中年以後をどうあるべきかを知る事により、

人を知り、世間を知り、

自らを生きやすい方向に導けるように思いました。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

久々のS級ランクと認定します。

 

若い人が読むと腹立たしいと思いますが、

40歳を過ぎた人は

本書は読んでおいた方が良いと思います。

 

もちろん全面的に賛成とはならないでしょうが、

どこかでふむ…なるほど…と

頷ける所があるでしょうし、

私のようにあちこちで学びを

手に入れる人もいるかもしれません。

 

突き詰めると

中年が正しく生きる為には…

 

物の判断については子供となってはいけません。

悪事については幼子となり、

ものの判断については大人になって下さい。

 

聖書の言葉だそうですが、

正しき中年は

これができないといけないでしょう。

 

子どもの頃から積み重ねてきたものが

本当に正しかったのか…。

 

これを知るのが中年以後であり、

最後に修正できるのも

この年代なのでしょうね。

 

これからどう生きるか?という事を

つくづく考えさせられました。

 

それでは、また…。

 

 

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人間にとって成熟とは何か

 

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