おはようございます。
医師の転職パートナーを心底目指している
ジーネット株式会社の小野勝広です。
『思考停止社会 「遵守」に蝕まれる日本』
いやはやこれまたスゴイ本と出会いました。
郷原さんの著書は、
『「法令遵守」が日本を滅ぼす』を読んだきりで
久しぶりだったのですが、
さすがに切れ味抜群でございます。
結局のところ、
「法令を単純に遵守するのではなく
法令を適切に使いこなすことが必要です」
という著者のひと言に尽きるのでしょうが、
その理由が実際に起きた事象から
具体的に理解をさせてくれ
とても実感が持てる内容でした。
ひと頃、やたらと法令順守が叫ばれ、
コンプライアンスという
それまでは聞いた事すらなかった用語が
急速に社会に浸透していきましたが、
やはり事を急ぐと
あまり良い事はないのかもしれません。
本書は2009年2月に発行されましたので、
取り上げているトピックスも少し古いです。
ですが、普通にニュースを見ていた私は
完全に思考停止していた事を知り
愕然とさせられました。
裁判員制度など詳しく解説させられると、
真実はそうだったのか…、
全く知らずに生きてきてしまった…と
後悔の念を持つ事となりました。
そしていずれの事件も、
根っこにある問題は同じ。
起こっている現象の本質を見ようとせず、
当事者の法律違反だけをことさら問題にして
「法令遵守の徹底」という形だけの対処しかしない。
そしてメディアが短絡的に、
センセーショナルに取り上げて騒ぐから、
本質的な解決にまで至らない、
という事を教えてくれます。
所詮、法というもの自体も我々人間が、
日本人が作ったものである訳ですし、
中には現代社会に合わなくなっているものもあり、
完璧なものではないんですよね。
それを絶対視し過ぎると、
問題の背景、構造に目を向ける事をせずに
あまりにも簡単に決を下してしまう。
一見、法令を順守し、素晴らしき社会が
待ち受けているように思うのですが、
実は全くそんなことはなく、
むしろ、社会のあらゆるところで、
歪みが出てきているという現実…。
う~ん、実に悩ましいです。
そして本書を読みつつ、
医療にも同様の問題は忍び寄っており、
似たような事象が
すでにあちらこちらで発生しているような気がしました。
そもそも法よりも重い命を扱う場所だけに
法でがんじがらめにしても
上手く行かないと思います。
社会規範や倫理を抜きにして
ただ法令順守を叫ぶだけでは
医療の抱える問題の本質は
全く見えないのでしょうね。
非常に難しい問題ですが、
法律は、正義感や、倫理、社会規範よりも前に
来てしまっては本来の意味を
なさなくなってしまうのかもしれませんね。
非常に勉強になりました。
もっとニュースの裏側を読んでいかなきゃだ…。
最後に目次をご紹介します。
第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止
第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止
第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止
第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止
第5章 厚生年金記録の「改ざん」問題をめぐる思考停止
第6章 思考停止するマスメディア
第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか
第8章 思考停止から脱却して真の法治国家を
おススメ度は ★★★★☆ と致します。
何事もこれでいい…、
ここまででいい…、
そう考えた段階でお終いなんですよね。
まさに思考停止。
向上心を持って、
より良い世界を、より良い未来を
求めていかねばならないな…と。
そう痛感しました。
その為に学び続けねばならないんですね。
一生勉強だ(苦笑)。
それでは、また…。
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