ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを軸にして

常勤先の転職、クリニック開業をサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

東 浩紀…。

いずれ読みたいと思っていたのですが、

ようやく機会が訪れました。

 

本日のブログのタイトルは、

【 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 】

といたしました。

 

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本書をピックアップした理由

『 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 』

東 浩紀 講談社 を読みました。

 

以前にルソーの「社会契約論」を読みました。

その際に一般意志という思想に触れて

思うところがいろいろあった訳です。

 

それとは別に東浩紀氏についても何かで知り、

存在論的、郵便的」という本に興味を持っていたんです。

 

ただ本書を見つけた時には、

お、東浩紀さんの本だ!

え?しかも一般意志?ルソーを語る?

フロイトGoogle

ん~、興味津々…。

 

私にとっては

関心の高い分野ばかりを

興味ある東浩紀さんが書いたとなると

これは読まねばアカンと思い

即購入して即読み始めたのでした。

 

目次

第一章

第二章

第三章

第四章

第五章

第六章

第七章

第八章

第九章

第一〇章

第一一章

第一二章

第一三章

第一四章

第一五章

う~ん、意味のない目次紹介(笑)

 

感想

こ・これは…スゴイ本です。

ぶっちゃけルソーよりわかりやすいし(笑)、

ルソーの理論を超えてしまっているかもしれません。

 

著者曰く、

民主主義の理念は、

情報社会の現実のうえで

新しいものへとアップデートできるし、

またそうするべきだと主張しています。

 

その上で、

本書は民主主義の可能性を論じた本である。

そしてまたルソーを読解する本でもある。

とも述べています。

 

つまりルソーが論じた一般意志という理論、

そして私たちが盲信している民主主義、

そこに現代社会の最大の特徴であるIT化を足してみると…

とてつもない希望が持てる社会になるかも?と

著者なりのロジックを構成したのが本書なのですが、

これが非常に興味深い。

 

こういう社会にしたいとも思うし、

自然とこういう社会になるかもしれません。

あと5年、いや10年後が実に楽しみになりました。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介します。

 

一般意志は政府の意志ではない。

個人の意志の総和でもない。

一般意志は、人民が集まり、会議を開き、

侃々諤々の議論を重ねてたがいの差異を乗り越え練りあげる、

わたしたちが一般に想像するような

「合意」とはまったく異なる存在である。

一般意志は、一定数の人間がいて、

そのあいだに社会契約が結ばれ

共同体が生み出されてさえいれば、

いかなるコミュニケーションがなくても、

つまりは選挙も議会もなにもなくても、

自然と数学的に存在してしまう。

(P.56~57)

 

もはや自分たちの意志を

だれかに「代表」してもらう必要はないのではないか。

ましてや、何十万もの有権者が、

数年にいちどだけの選挙で「民意を託す」ことには

いかなる正当性もないのではないか。

(P.92)

 

本書の出発点は、

近代の政治思想が抑圧し排除したルソーの「夢」が、

情報技術の世界において思わぬかたちで回帰している、

そのダイナミズムへの注目にある。

その「欲望の回帰」を可視化することで、

現代の起業家やエンジニアが目指しているものを

きちんと思想史の文脈に位置づける、

それが本書の執筆動機のひとつだ。

(P.102)

 

検索の価値は、

ユーザーがその「すでに存在している情報」を

発見できるよう、

画面に表示されるサイトの数を限定すること、

すなわち「情報量の減少」にこそ存在しているのである。

(P.109)

 

議論の過程で彼らがそこに放り込んだ無数の文章について、

発話者の意図から離れ集合的な分析を可能にする

メタ内容的記憶保持の性格にこそ

あるべきと言うべきではないだろうか。

(P.127)

 

青年は動物と人間のあいだで揺れている。

未来の社会も動物と人間のあいだで揺れている。

そのように捉えると、

現代社会が「子ども化」しているという

よく聞かれる嘆きの声は、

案外正鵠を得ているのかもしれない。

ただしそれは、人間はそもそも子どもでしかありえない、

完全な大人になり理性的な存在になることなどありえない、

その現実をようやく直視する時代が来たという

意味においてである。

(P.198)

 

筆者が本書でその蛮勇をあえて奮ったのは、

ネットが政治を変える、

ソーシャルメディアが政治を変えると喧しく言われている、

その光景の底の浅さにいささかうんざりしたからである。

ネットは政治を変える。

確かにそうだろう。

というよりもそうでなくてはならない。

しかしそれはおそらく、

単純に電子選挙だとかネット政党だとかといった話ではない、

そこよりもさらに深く、

そもそも政治とはなにか、

あるいは国家とはなにか統治とはなにか、

その定義そのものをラディカルに変える

可能性に繋がっているのだ。

筆者はそれを明らかにしたかった。

世界は複雑になりすぎた。

国家と熟議は耐用年数を超えている。

人類はこれから、

否応なしに、人間的な理性の力だけではなく、

動物的な憐れみの力を利用して

社会設計をすることを迫られる。

(P.250~251)

 

非常に刺激的かつ考えさせられる良書です。

多くの方に読んで頂き、

未来を我々の手で構築したいです。

既得権者から剥ぎ取らなければ…。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

今の政治家が本書を読んだら

半分も理解できないどころか、

腹立たしくて読むのを止めるでしょうね。

 

でもそれでいいのです。

過去の遺物は去ればよい。

ネットが自然と葬り去る。

 

いつまでも一部の権力者に上手い汁を吸わせるのではなく

本当の意味で社会全体が得をするような

健全な力が働きつつある。

 

私たちは新しい社会を作る仕組みを

手に入れつつあるのかもしれません。

 

その為には、ネットの本質を知り、

ネットの意義や価値をさらに深掘りする

必要があるのだろうなと感じました。

 

絶賛おススメの良書です。

 

それでは、また…。

 

 

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